道は続くよどこまでも
【プロローグ】
娘小1初めての運動会。「今年は久しぶりに運動会にも祭りにも参加できるよ」と喜んでいた夫は、母国でちょっとしたトラブルが起きてトンボ返りしてしまった。
またワンオペ育児&家事&大黒柱の開始。とはいえ、母や妹が近くにいるので恵まれている。
難があると言えば夫が居ると思って入れてしまった夜や土日の仕事だ。運動会の日に入れてしまった出張もしかり。習い事の送り迎えや食事支度などを考慮すると仕事と仕事の合間に帰宅しながら少しずつ生活を回していかなくてはならない。
出張の日は二日間の子どもの世話と寒い運動会の付き添いを全面的に母にお願いする。
当日、5時おきで不在にする家の片付け、洗濯、ゴミのまとめを終え、出張準備をする。子どもたちを叩き起こして2日分の着替えと運動会の準備。ドでかいオムライスを二皿作って朝6:30には実家に子どもたちを連れていった。
「よろしくお願いいたします」
そこにあるのは大変、という悲壮感よりはやるしかない、という昂揚感。一昨日の徹夜と今朝の早起きという寝不足も相まって少々興奮気味にタスクをこなす。
出張先は道東。帯広行きとかち1号は札幌発7:58、つい先頃も帯広出張があった私は7時08分最寄り駅発のJRに乗れば駅ナカで朝食を買う余裕を持って接続できる事を知っていた。
母に駅まで送ってもらう。6:58…余裕だ。駅舎に入り、ふと電光掲示板を見上げると7:08札幌行きがない。
そんなバカな。
調べると7:08は平日ダイヤのみ運行。そうか、今日は土曜日か…大丈夫。次の7:22に乗っても特急とかち1号への接続は間に合う。ただし、接続時間は4分。私は7時に開いたばかりの駅員室に声をかけ、札幌駅の到着ホーム、出発ホームに変更は無いか聞いた。
…8番ホームと9番ホーム…よし、一旦階段を駆け下りて隣のホームへ上がるのは少々骨が折れるが、まだ足腰はしっかりしている。4分あれば余裕だ。駅ナカのエビとアボガドのサンドウィッチは残念ながらあきらめよう。幸い、カバンにチョコレートが入っている。口にチョコレートを含み、特急車内では空腹を忘れて睡眠負債の解消に努めるしかないな、…と自嘲しながら7:22の普通列車でまずは札幌へ向かった。