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読書感想文 成熟スイッチ 林真理子

2023年1冊目の読書感想は林真理子さん。
林真理子の書く小説が好き。特に歴史小説が好き。
雑誌などで連載しているエッセイもつい読んでしまう。
小気味いい毒があるのが好き。あと言葉遣いがポップ。
この本の中だと「プチ村上春樹」とか「口角上げ女」とか。
思わず笑ってしまうし忘れられない毒のあるポップさ。

ミーハーで常識的で自信家で見栄っ張りでポジティブで才能があって。
きっとめっちゃ話がおもしろい人だろう。と思ってた。
この本はそんな林真理子からお話を聞いている気分にさせてくれる。

日大の理事長になったというニュースを見て、驚くと共にめっちゃぴったり。と思っていた。人生終盤により権威的な地位も欲しくなったのかな。って。
けど、どうやら違う様子。
「この件に関しては野心ではなく使命感であり、運命だったと思っています。
 「理事長になった運命を楽しもう」という気持ちでやっています」
「背伸びなくして成長なし。この言葉を胸に真剣に働き続ける日々です。」
って書いてたし。
十分お金も地位もあるのに、まだまだ成長を目指して真面目に働くなんてすごい。
と感服。あの状況の日大の理事長は林真理子氏が適任すぎ。

本の内容は
年をとって、成熟して、穏やかになって、自身を振り返り、「人として成熟するとはこういうこと」と、4つの視点からまとめているもの。
①人間関係の心得
②世間を渡る方法
③面白がって生きる
④人生を俯瞰する

覚えておきたいとおもった箇所をメモ。

田辺先生は「女は六十歳からよ。六十を過ぎてから、すごく自由になってくる。体力は落ちるけど、「こんな可能性もある」「こんな考え方もある」と視野が広がるから生きやすくなるのよ」と教えてくださいました。

47ページ

歳をとるのが楽しみになる素敵な言葉。

サブカルチャーの世界で生き続けていくには、圧倒的な「センス」が必要とされます。サブカルチャーの対義語はメインカルチャー、つまりは大衆向けの王道です。
ここで言う「センス」とは何か。「おしゃれ」「通好み」「メジャーではない」ということ。
センスがあると王道には行けないので、万人の支持を得ることはできません。大衆的な人気を得るには、ある種のつつくさい野暮ったさが必要なのです。

110.111.112ページ

納得!売れるものはちょっとダサさがあるもの。と思っていて、それは何故かを言語化してくれた。センスある人に支持されたいのか。万人受けしたいのか。そこを理解してこそ。

私が思っている保守とは、自分がやりたいことにエネルギーを注げるよう、世の中との軋轢をなるべく少なくしたいということ。それが賢い大人のやり方ではないかなぁと。保守的とはイコール現実的でもあると思うのです。

115ページ

自分がやりたいと思うことが見つかったのなら、あまりめんどうなことを考えず、まずはいろいろ経験を積んでいくことをおすすめします。そのうち丈夫な枝が何本か生えてきて、幹もいっそう太く立派になっていくことでしょう。

154ページ

俯瞰力と自己愛をバランスよく持っていれば、人生の苦難がちっぽけなことに見えたり、少しでも面白く乗り越えられたりすることはあると思います。

163ページ

ブスすぎる卒業写真の仕上がりに自分でおもしろがったり、大人になったら美人になると思っていたお話。就職試験を全部落ちた時に不採用通知の束を保管して将来のネタにしようと思っていたこと。めっちゃ強い!
自分を俯瞰で見れること。そして根拠のない自信であっても自分を力づけてくれる自己愛。

「いつも楽しそう」というのは自分自身はもちろん、家族や周囲の人をお幸せにしてくれる、大切な姿勢ではないでしょうか。

170ページ

弟さんのお話。めっちゃ素敵な弟さん。そんな風にありたい。

一つ何かやると必ず何かを教えてもらえる。つまりは何もやらなかったら何も学べないということです。
ちょっとしたことでいいから何か新しいことをして、昨日とは少し違った自分になってみる。成熟にはキリがありません。毎日新しいスイッチをいれながら、自分お変化を楽しむことができたら、なんて素敵な人生でしょう。

182ページ


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