月島軍曹とジョージ・クライとダルイゼンくんのフルメタルジャケットの怪物 魂の解放と赦しと愛の戦い

ゴールデンカムイ』三期の三話「いご草」は『魔法少女まどか☆マギカ』の三話「もう何も怖くない」やオジサン的には『新世紀エヴァンゲリオン』の第拾九話「男の戰い / INTROJECTION」並みに強烈だったのではないだろうか?

僕はスタンリー・キューブリック監督の『フルメタルジャケット』を軸にして『ゴールデンカムイ』三期三話の「いご草」と『HUGっと!プリキュア』『ヒーリングっど❤プリキュア』先週の朝ドラ『エール』を複合して批評したいと思います。

ここからは『フルメタルジャケット』『ゴールデンカムイ』『HUGっと!プリキュア』『ヒーリングっと♥️プリキュア』『ファイトクラブ』『シドアンドナンシー』『エール』『羊たちの沈黙』の内容の核心に触れていくのでネタバレになる事をどうか御容赦を。

まずは『フルメタルジャケット

フルメタルジャケット・キューブリック

フルメタルジャケット』の原作はグスタフ・ハスフォード小説ショート・タイマーズ』でスタンリー・キューブリック監督である。

キューブリックは『ショート・タイマーズ』のタイトルを無断で変更してフルメタルジャケット』にしさらには脚本をグスタス・ハスフォードが書いたのにキューブリックはやはり無断でディスパッチ/ベトナム特電』を出版したマイケル・ハーを雇って当然ながらもグスタス・ハスフォードには無断で脚色させた。

(マイケル・ハーは『地獄の黙示録』のウィラードのモノローグを書いている)

まぁこれもキューブリックの悪癖原作小説を別の小説家に脚色させる悪い癖があります。

(代表的な例で『シャイニング』

それでグスタス・ハスフォードに脚本にまたもや(!?)無断でクレジットさせなかったから裁判沙汰になっている。

フルメタルジャケット=完全被甲弾すなわち鋼でフルコーティングされた弾

このタイトルの意味は恐らくキューブリックの意図はハードなまで人間性を削ぎ落とされたマシンとしてフルコーティングされた兵士の事である。

何故ならキューブリックは『時計じかけのオレンジ』で自由の限り悪さを尽くす不良少年アレックス刑務所の治療で政府によるルドヴィコ療法機械じかけの人間にされ悪さも反抗も人間らしい事一切出来ず徹底的にいじめられ観客に爽快感と同時に不快感与えて倫理観を揺さぶれたアレックス皆同情して可哀そうとまで感じてしまうような状況を描き人間性を削ぎ落とし破壊する全体主義を批判してるからだ。

(以下そのような単語表現はフルメタルジャケットとさせていただく)


そんな監督だからスタンリー・キューブリック監督の作風『突撃』『スパルタカス』『博士の異常な愛情』『2001年宇宙の旅』『時計じかけのオレンジ』などシステムや戦争や人類の歴史や未来の人間模様をフルメタルジャケットのドラマ滑稽かつ悲哀に満ちた描き方で突き放して描く。

冷酷無比な怪物

そして人間を神の如き俯瞰した視点登場人物を突き放す監督だから『フルメタルジャケット』もスタンリー・キューブリック監督十八番の二部構成で前半は海兵隊下品かつ壮絶な罵詈雑言を浴びせられ新兵訓練教官の訓練指導や訓練兵仲間のリンチをくらい人間性が徹底的に破壊された一人の兵士ロレンス事ゴーマパイルフルメタルジャケットな兵士になるも教官を殺した自殺する


一応海兵隊名誉のために書いておくが基本海兵隊は常に最前線に赴く軍隊の性質上志願兵強制入隊ではないし教官のハートマン軍曹役のリー・アーメイ(役者やる前は本当に海兵隊の新兵訓練教官)に訓練の目的言わせたらむしろ戦場でPTSDにならないように人を殺しても人間性が傷つかないようにコーティングして生き残れるようにしてるのであえて憎まれ役になってるだけである。

それは他の新兵訓練描いた『愛と青春の旅立ち』や『ジャーヘッド』でも描かれる。


後半はベトナム戦争の話で従軍パートで兎に角戦争良い悪いの彼岸の果てにうんざりしていく描写と小隊が一人の狙撃兵により壊滅危機に陥り主人公のジョーカー皮肉屋と言う意味)が狙撃兵を正体突き止めたら少女で仲間が少女狙撃兵を撃ち少女狙撃兵は瀕死になって(瀕死の少女狙撃兵はShots of Meと息を殺した声で呟く)ジョーカーとどめを刺しそこで主人公のジョーカーフルメタルジャケットの兵士として誕生する


そこでは戦争はフルメタルジャケットにならななければ戦場では生き残れないさらに人間が怪物になるにはフルメタルジャケットにならざる得ないともとれる話でフルメタルジャケットな人間はすなわち冷酷無比な怪物ってわけだ!

「いご草」

さて三話「いご草」では月島軍曹こと月島基は何故鶴見中尉の忠実なフルメタルジャケットな部下かと言えば実は鶴見中尉以外信じるものが何もないって話でしたね。

明治29年 陸軍監獄

月島基は父親がクズで人殺したと噂されさらには「悪童」「荒くれ者」「糞ガキ」と言われ佐渡では忌み嫌われ暴力しかコミニケーション取れない男が月島基だった。

しかし唯一の生きる希望が恋人のいご草ちゃんだった

月島基といご草ちゃんは誓う

戦争が終わったら駆け落ちしよう

しかし…

日清戦争に召集されて帰還して見たら月島基は戦死したとデマを流されいご草ちゃんは生死が行方不明となっていた。

……デマを流したのは父親だった。

そして月島基は人としては越えてはならない一線を完全に越えた。

待ち構えたのは尊属殺人としての刑

だが月島基は満足し死刑を受け入れていた。

そしてその告白を今まで聞いてた男がいる。

鶴見少尉である。

鶴見少尉は意外なことを語り始める。

いご草ちゃんは死んではいない。

いご草ちゃんを気に入った三菱の幹部にいご草ちゃんの両親が玉の輿成功させるために父親にわざとデマ流したと……

それを聞いて安堵した月島基。

月島基の出獄条件として鶴見少尉が提示した条件は........

ロシア語マスターしろ!

9年後 日露戦争 奉天

鶴見は中尉となり月島基が野戦病院にいたころ月島基と同郷の男が語り始める。

いご草ちゃんの遺体がお前の親父の家から見つかったぞ!

怒りが頂点に達した月島基は鶴見中尉に問い詰める。

あの子で俺を騙してほしくなかったと……

そこに砲弾が舞い込み鶴見中尉は前頭葉破損そして月島基も再び野戦病院に担ぎ込まれる。

鶴見中尉は再び語る。

月島の親父がいご草ちゃんを殺したとは盛り過ぎた話だとは思わないか?

鶴見中尉はこれも中央を騙すための方便と語る。

そこには生気を失った目をした月島基の顔が映り鶴見中尉に絶対的忠誠を尽くすフルメタルジャケットのキリングマシンとして月島軍曹が誕生した瞬間だった。

その生誕の瞬間を見てるのは鶴見中尉と病室を除いている月島軍曹の同郷の男が........

フルメタルジャケットなジョージ・クライ

この話何かといえば『HUGっと!プリキュア』のクライアス社の社長でボスのジョージ・クライ思い出しましたね。

ジョージ・クライの世界破滅の目的は神に近い愛する妻キュアエールこと野乃はながプリキュアとして戦って命を失って愛する者をプリキュアとして戦わせた世界や社会の犠牲にさせる身勝手でエゴイスティック極まりない残酷な人類が許せなくて何も信じない何も愛さないそれは神に近い愛する伴侶失ったから心が死んだフルメタルジャケットの冷酷無比の怪物になったって話ですね。

『HUGっと!プリキュア』ってメインテーマは「なんでもなれるなんにでもなれる」多様性なんですがサブテキストはあきらかに「愛するものを失った者は愛が深いゆえに世界や社会や全人類に対して冷酷無比のフルメタルジャケットの怪物になる」ですね。

そんな世界や社会や人類全体を憎んだフルメタルジャケットな男がプリキュアやプリキュアになった人々に救われる

この展開やメッセージはポール・ニューマン主演の『暴力脱獄』や『ジョーカー』の元ネタの一つ『カッコーの巣の上で』や『ショーシャンクの空に』を思い出した。


それらのテーマは人生は型どおりに生きなければならない牢獄である!

だがその牢獄たる人生も考え方ひとつで楽しくなるし楽しく生きたら皆自由に生きれる

そしてそれを継承していけばいい

すなわち野乃はなことキュアエールは全人類を応援しプリキュアにする事で世界や社会や全人類を呪って憎むあまりその憎んでた世界や社会や全人類と同じくエゴイズムの塊になってしまった夫ジョージ・クライのエゴイズムの塊であるフルメタルジャケットの呪いを解放してあげていきジョージ・クライは魂の解放を得る。

その魂の解放はジョージ・クライが来て欲しくなかった未来すらも変えるのが感動的だ!

フルメタルジャケットアーミー月島

さて『ゴールデンカムイ』なのだが「いご草」の月島基が唯一無二でいご草ちゃんしか信じない愛さないこの世で絶対的に一番信じられる者しかも神に近い存在を失ったから心が死んでフルメタルジャケットになり鶴見中尉に徹底忠誠心持った屈強な兵士の月島軍曹になったと言う道理ですね。

愛してるが故に憎むダルイゼンくん

そして『ヒーリングっど❤プリキュア』のダルイゼンくんですよ!


彼はビューゲンズにより花寺のどかちゃんの病気となり蝕んでいました

そして宿主であるキュアグレースこと花寺のどかちゃんにしか興味持たない理由は明白です。

前途した月島基ジョージ・クライですよ!

ダルイゼンくんは何も信じないニヒリストで神も信じない恐らくビョーゲンズやキングビョーゲンすら信じてないフルメタルジャケットな怪物でしょう?

そんなダルイゼンくんが唯一生きる希望であり愛を感じる神の如き存在聖母でもあり恋人でもある究極の女性なのがキュアグレースこと花寺のどかちゃんですよ!

だから愛してるが故に憎んでるんですよ!

自傷行為ですよ!

自分自身が憎いし愛して欲しいフルメタルジャケットの怪物だからこそキュアグレースこと花寺のどかちゃんに執着してるんですね!

生の実感

その愛の論理は映画の『ファイトクラブ』に近い!


すなわち愛するがゆえに傷つけるし傷つけたからこそ愛せたんですね。

『ファイトクラブ』にはタイラー・ダーデンがツーリスト(主役のナレーター)に向かって言う台詞がある

「痛みもなしに傷もなしに大人になれると思ってるのか!?」

「痛みを受け入れろ!!」

それは『ヒーリングっど❤プリキュア』と『ファイトクラブ』のテーマが繋がってる気がするんですね

すなわち通過儀礼ですね。

それはキュアグレースこと花寺のどかちゃんの口癖「生きてるて感じ」と『ファイトクラブ』テーマは呼応してる。

どちらも主人公は生の実感を得ると言うことと自分自身が生み出したフルメタルジャケットなドッペルギャンガーと戦う話だ!

ただ『ヒーリングっど❤プリキュア』におけるダルイゼンくんとキュアグレースこと花寺のどかちゃんとの関係は美女と野獣の物語ですから28話でキュアグレースこと花寺のどかちゃんがフルメタルジャケットなドッペルギャンガーの怪物ダルイゼンくんに対して決意するのはあきらかに恐れや憎しみではありませんね。

それに『ファイトクラブ』だと書きましたが『ファイトクラブ』は女性差別的で高度消費社会により男性性が去勢された男性の復権がありますが『ヒーリングっと♥️プリキュア』は女の子の話で通過儀礼やりますからやってる事は大分違いますね。

つまり『ヒーリングっど❤プリキュア』の今やってるのはダルイゼンくんの正体つまりはキュアグレースこと花寺のどかちゃんのドッペルギャンガーであることを知ったことでフルメタルジャケットなドッペルギャンガーの怪物のダルイゼンくんの魂を解放し救い愛すべく戦う決意したんですね。

つまりはフルメタルジャケットのドッペルギャンガーな怪物と対峙し戦う決意した女の子の話でフルメタルジャケットと化した怪物の魂の解放です。

云わば愛ある戦いですね。

つまりは自分が他意であれフルメタルジャケットであるダルイゼンくんを生み出してしまいしかもそれは悲しき怪物だった......フルメタルジャケットのドッペルギャンガーのダルイゼンくんを如何に魂を解放し赦し愛するか?という地平線に立ったんですね。

美女としての通過儀礼

これはつまり『ヒーリングっと♥️プリキュア』は『ファイトクラブ』のドッペルギャンガーの要素持った『美女と野獣』だ!

『ヒーリングっと♥️プリキュア』の流れはやはり『キングコング』(1933年)『フランケンシュタインの花嫁』『大アマゾンの半魚人』『半魚人の逆襲』『フランケンシュタイン対地底怪獣』『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』『羊たちの沈黙』『シザーハンズ』『シェイプ・オブ・ウォーター』の流れだろうその作品群の美女の役割の地平線に立てたのがキュアグレースこと花寺のどかちゃんなんですね。

それまでは子供だったキュアグレースこと花寺のどかちゃんがダルイゼンくんというフルメタルジャケットなドッペルギャンガーの悲しい怪物を知って対峙するって流れは島田裕巳先生が書いた本『映画は父を殺すためにあるー通過儀礼という見方』で書かれてるようにすなわち一連のキュアグレースこと花寺のどかちゃんが味わうダルイゼンくんによる受難はキュアグレースこと花寺のどかちゃんが体験する通過儀礼の一つで『ファイトクラブ』における殴り合いに該当することになる。

『ファイトクラブ』は殴り合いが本質ではない

前述した

「痛みもなしに傷もなしに大人になれると思ってるのか!?」

「痛みを受け入れろ!!」

と言ったような台詞があらわすように通過儀礼の一種の痛みなのだ!

『シドアンドナンシー』

そう言う意味でダルイゼンくんとキュアグレースこと花寺のどかちゃんの愛の戦い愛の結晶はアレックス・コックス監督セックス・ピストルズのベーシストシド・ヴィシャンスの映画『シドアンドナンシー』を思い出す

『シドアンドナンシー』はシドがナンシーによって問答無用にジャンキーとして堕ちて行きナンシーはシドに麻薬でラリってる最中に殺されシドも後を追うように麻薬のオーバードーズで死んでいく全く救いのない話だが妙なすがすがしさと開放感が溢れる映画で何故なら二人が純粋無垢に見えるから見てる側は死んでようやく本当の意味で結ばれたのだようにも見えるのだ。

決意と愛の戦い

そして今ようやくキュアグレースこと花寺のどかちゃんは少女としてフルメタルジャケットなドッペルギャンガーの悲しい怪物ダルイゼンくんと同じスタートラインに立ってるのでしょう!

フルメタルジャケットのドッペルギャンガーな悲しい怪物のダルイゼンくんという怪物を乗り越え『シドアンドナンシー』の二人みたいにダルイゼンくんの魂を解放し赦し愛しそしてビョーゲンズやキングビョーゲンを乗り越えたとき初めてキュアグレースこと花寺のどかちゃんは真の意味で病を克服し大人になれるのかもしれない!

そしてすべてが終わった後こそキュアグレースこと花寺のどかちゃんとダルイゼンくんが『ファイトクラブ』の人格の統合や『シドアンドナンシー』の死に向かって突き進む恋人とは違うプリキュアが導く『美女と野獣』の真のハッピーエンド迎えるかもしれない!

もしかしたらキュアグレースこと花寺のどかちゃんとダルイゼンくんの関係は『ファイトクラブ』におけるツーリスト=タイラー・ダーデンとマーラ・シンガーみたいに病気を克服したキュアグレースこと花寺のどかちゃんとダルイゼンくんは手を手を取り合い愛し合うかもしれない。

悪鬼が如き戦争

で!朝ドラ『エール』ですが作曲家の小山裕一はこの世は音楽で出来てると想いそしてイノセントがあり順風満帆な(波乱万丈な部分はあれど)人生送ってきたのだけど太平洋戦争しかも太平洋戦争でもっとも愚かだと世界中から言われたインパール作戦に同行し小山裕一が愛した世界である音楽が徹頭徹尾汚され小山裕一のイノセントと人間性破壊されるフルメタルジャケットになってしまったと言う救いのない展開……


これもやはり前述した月島基やジョージ・クライやダルイゼンくんと似ていて小山裕一にとって音楽と言う唯一無二の神に近い存在を失ってしまう愛のない世界すなわち悪鬼の如き戦争や唯一無二信じられる愛の世界そのものを奪うフルメタルジャケットを育成させる社会やシステムは人類史上最悪なんだよ!って事ですね。

究極のひきこもりたち

それでじゃあ月島軍曹もドッペルギャンガーのダルイゼンくんも救いあるか?と言えばあるんですね!

フルメタルジャケットの呪いから解放されたジョージ・クライも小山裕一も愛で救われたんだから愛って人間変えるんだなと感じます。

逆に言えば愛のない世界で口先だけで多様性と言われても差別やヘイト残るだけだろう!ってのは感じますね。

彼らはみんなある種精神世界の引きこもりのコミニケション障害ですね。

はっきり言ってしまうと心がフルメタルジャケットな人たち。

さらに言うと彼らは『羊たちの沈黙』のレクター博士と同じ究極の引きこもりですよ。


人を馬鹿にし神を信じない無神論者で人肉と人の不幸食べる天災レクター博士でも献身的に捜査し一生懸命なクラリス愛することで神を信じ人を愛せるようになって「君がいるだけで世の中信じられる」って言えるんだからフルメタルジャケットなダルイゼンくんも月島基も変われるよ!

I’m Still Standing

まぁ最後に愛されなかった男の復活の物語でエルトン・ジョンの伝記映画『ロケットマン』の「I’m Still Standing 」を歌い上げるラストの映像と元ネタ映像載せときますね。

元ネタ映像超絶ダサいMVの一つとして有名です(笑)


是非とも『心の指紋』読んでもらえればありがたいです。 これはまだプロットタイプですので有料化の際はサービスします