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SmartHR Design System のアクセシビリティについて学んだ話

エゾジニアのつっかーです。
全国的に大寒波ですね。朝、我が家のガラス戸に、理科の教科書に載ってそうな綺麗な氷の結晶が一面に張り詰めていて「氷河期かーい!」と息子が突っ込んでました。皆さん、がんばってサバイバルしましょうね。

さて、本日ご縁があってクラウド人事労務ソフト  SmartHR さんの Web サイトアクセシビリティに関する研修を受講してきました。大変中身が濃く、2時間あっという間に過ぎておりました。興奮冷めやらぬうちに感想を書き留めたいと思います。

経緯

私の所属企業の一つである株式会社ゆめみで、SmartHR さんのサービスサイト運用・保守を支援させていただくことになったことがきっかけです。私はプロジェクトマネージャーロールで参画しています。

今回の研修は、サービスサイトを運用保守する上でパートナー企業であるゆめみに気をつけてほしい観点をインプットすることが目的でした。前述のSmartHR プログレッシブエンジニアグループの方々が講師となり、実際の SmartHR さんのサービスサイトを例に、アクセシビリティ向上のポイントについて説明してくださいました

カウンターとなる SmartHR のメンバーの皆さんは、本当に NICE な人柄の方ばかりで、かつ透明性の高い社風やノリが弊社ゆめみにも近しく、お世辞抜きで楽しくお仕事させていただいています。

アクセシビリティに限らず、今後も多くを学ばせていただくとともに、僭越ながら我々の知見も共有させていただいて、一緒に成長させていただける関係になれれば、と思います。

みんな大好き SmartHR !

冒頭に記載した通り、SmartHR は人事労務領域で圧倒的なシェアを誇る Saas サービスです。私の所属する情シスコミュニティやスタートアップ界隈では「SmartHRしか勝たん」「SmartHR は人権」と言った発言をちらほら見かけるほど熱狂的なファンがいます。

その背景にはミッションである
労働にまつわる社会課題をなくし、誰もがその人らしく働ける社会をつくる。
に真摯に向き合い、さまざまなステークホルダーに対する配慮に溢れたデザインであるからではないか、と勝手ながら考えます。

私自身も事業会社の情シスとして SmartHR を導入検討したことがありますが

  • ITに苦手意識を持つ人でも直感的に触れるUI

  • 労務担当者の苦労を考え抜いた数々の機能

  • 豊富な他システムとの連携やセキュリティへの配慮

  • 稟議書にすぐ添えられる数々の隙のない費用対効果資料

などなど挙げればキリがない。嫌いな人いないよね?って感じです。

また従業員の皆さんのエンゲージメントが高いことも有名。私の友人もSIerから転職して現在働いていますが、顧客とプロダクトへの愛情に満ち溢れていて、すごく充実しているとのことでした。素敵!

SmartHR Design System

そんな SmartHR さんはデザインに対するこだわりや考え方についても例外ではなく、社外に「SmartHR Design System」という Web サイトで公開しています。

誰でも・効率よく・迷わずにSmartHR らしい表現をするための」デザインシステムとある通り、社内の各部署やパートナー企業向けに整備されたのがきっかけとのことですが、これが素晴らしくスッキリまとまっていて、大変勉強になります。

そのコンテンツの一つが、本記事でフォーカスを当てるアクセシビリティとなります。

アクセシビリティとは?

ここからは本日学んだ内容の受け売りです。

アクセシビリティとは、サービスや情報をより多くの人が使えるかどうかの、その度合いのことを指します。

これは障害当事者だけでなく、さまざまな環境や状況にいる人、高齢者、日本語以外を得意な言語とする人なども含んだ考え方です。

SmartHRは働くすべての人を後押しするために、より多くの人が使えるアクセシビリティの高い製品開発を専任のチームを中心に全社で進めています。

https://smarthr.design/accessibility/#h2-0

冒頭で紹介した通り、SmartHR さんは誰もがその人らしく働ける社会を目指しています。主力プロダクトの一つである SmartHR は、組織の全ての従業員が利用する業務アプリケーション。よって、真にサクセスするには誰もがアクセスできなくてはならない、というモチベーションのもと、アクセシビリティに向き合っているとのことでした。

やさしさではなく、品質

本日の研修でもっとも印象に残ったキーメッセージ「やさしさではなく、品質」。これは研修の講師のお一人で、SmartHR プログレッシブエンジニアグループに所属されているアクセシビリティエンジニアの辻さんが、以下の記事で語っておられます。辻さんは先天性の全盲者で、社内外でアクセシビリティを高めるためのコンサルティングや啓発活動も行っています。

当たり前の社会をつくるための仕組みや技術なのにそこに『やさしさ』はいらないはずなんですよね。

https://note.com/oujimiyahara/n/n44e25b43f814

目から鱗が落ちる想いでした。私は視覚・聴覚ともに健常なのですが、もしもテレパシーで意思疎通するエスパーの国に一人混ざった時に「つっかーはテレパスできないから、みんな口で話してあげようね!」って空気になったら・・・と想像しました。

「しよう」ではなく「あげよう」。わずかな違いが、大きな隔たりを表していると感じました。

アクセシビリティは視覚障害だけが対象ではない

ここまでの話で、アクセシビリティとは全盲者の人を対象としたもの?と思った方もおられるかもしれませんが、実際はより多様です。

視覚障がいにも色盲や弱視、乱視などの分類がありますし、操作デバイスであるキーボード、マウスを利用できないとか、外国語話者だとか様々なケースがあります。

SmartHR Design System では、7 つの観点からなるチェックリストを整備し、ガイドラインとして適用しているそうです。

デモ:スクリーンリーダーを使って Web サイトにアクセスする

アクセシビリティについて理解するため、実演いただきました。前述の辻さんがスクリーンリーダー(テキスト読み上げソフト)を使って、実際のサイトにアクセスし、目的の情報に辿り着く様子を拝見しました。

浅学ながらスクリーンリーダーについて存在は知っていたものの、実際に利用している様を拝見するのは初めてでしたが、何より驚いたのはテキスト読み上げ速度。感覚的には 10 倍速。一般的な会話だと 5 秒ほどはかかるであろう文量をギュギュッと圧縮して 0.5 秒で読み上げる感じ。何を言ってるかまったく聞き取れません(辻さんはかなり速い方とのことでした)。

一方、なかなか目的の情報に辿り着けないことも伝わりました。昨今の Web サイトでは当たり前のハンバーガーメニューは、スクリーンリーダーでは存在が認知されません。カルーセルに至っては、読み上げすらされず、バックグラウンドのテキストが繰り返し読まれます。これは辛い。

代替テキストの入力などされている、配慮されたサイトが題材でしたが、特定の人にとっては大変使い勝手が悪いものになることを実感しました。

人間、完璧なものは作ることができませんが、できる限り完璧を目指すことがすべての人にご奉仕する第一歩であると感じました。

まとめ

SmartHR Design System のアクセシビリティについて、中の人の講義を受講しました。これまでふわっと認知していたことの解像度が上がり、アクセシビリティという概念に関心を持ちました。

最後に宣伝

今回のアクセシビリティ研修のメイン講師である桝田 草一さんが著者の一人である「Webアプリケーション アクセシビリティ」が近日発売予定だそうです。

私の大好きな技術評論社の WEB+DB PRESS plus シリーズということで、即ポチりました(私には一円も入りません)。社内に紹介したところ、すでに予約している者がおり、アクセシビリティに興味を持つ方におすすめとのことです(私には一円も入りません)。これを機にアクセシビリティについて学んで見たい、という方は購入してみてはいかがでしょうか(私には一円も略。

以上、つっかーでした。


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