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大切なことはマンガとアニメが教えてくれた〜チームワーク編

マンガやアニメを見続けて30数年のオッサンです。これまでジャンルを問わず様々な作品を視聴し学んだことは数知れず。本記事では「チームワーク」をテーマに、影響を与えた作品のエピソードを紹介したいと思います。

執筆のきっかけ

Twitterのフォロワーさん(@hg4h2ry1)が note を執筆されました。その文中にて往年の名作バスケ漫画「スラムダンク」のとあるセリフが引用されていました。

「お前のためにチームがあるんじゃねぇ。チームの為にお前がいるんだ!!」
                     『SLAM DUNK』 / 安西監督

私も大好きな台詞でして反応したところフォロワーさんから「Youもブログ書いちゃいなよ!」と背中押されまして、ホイホイ書いてる次第です。

はじめに:チームワークとは

皆さんはチームワークと言う語にどのような印象を持たれているでしょうか。Wikipediaの定義に依れば「集団に属しているメンバーが同じ目標を達成するために行う作業、協力、意識、行動など。」だそうです。英語版のほうがより詳細に解説されているので、興味のある方は読んでみてください。

人によって捉え方が異なると思いますが、私の解釈において重要な点は「同じ目標を達成するため」であることと、作業や行動といったアクションだけでなく「協力、意識などのマインドシップが含まれていること」です。

ラグビーの世界で有名な言葉に「One for All, All for one」があり、私も好きな言葉です。「一人はみんなのために、みんなは一人のために」と訳されがちですが、ニュアンスとしては「メンバーはチームのために、チームは(ひとつの)目標のために」が適切だそうです。「チームワーク」の本質をよく表現した言葉だと思います。

ラグビー経験者の方がより詳しく解説されている note を執筆されています。

以上を踏まえ、私が「チームワーク」に対する考えを形成する上で重要なインプットとなったマンガのエピソードが2つあります。以下ではそれを紹介します。

攻殻機動隊:Stand Alone Complex

攻殻機動隊は士郎正宗原作の名作SF作品です。多数のスピンオフ作品が展開されていますが、なかでも「Stand Alone Complex」は作中に登場する治安維持組織「公安9課」を取り巻く様々な事件が描かれています。

公安9課を指揮する荒巻課長は、理想の上司として名前が挙がる有能な指揮官です。彼の名言は多々ありますが、中でもチームワークについて言及した以下の台詞は、ファンの間でも評価が高いです。

我々の間には、チームプレーなどという都合のよい言い訳は存在せん。有るとすればスタンドプレーから生じる、チームワークだけだ。
          『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』 / 荒巻大輔

初めてこの台詞を目にした時、私は違和感を感じました。一般に想像される「チームプレー」はポジティブ、「スタンドプレー」はネガティブな語です。一方、本台詞ではそのニュアンスが逆転しています。

本台詞の文脈におけるチームプレーとは「互いに忖度し責任を集団に転嫁すること」です。さらにスタンドプレーとは「個々のメンバーが自発的に行動すること」です。

公安9課は曲者揃いの少数精鋭集団です。全員が単独行動で結果をだすプライドと実力を備えています。しかしながら作戦行動にあたっては、コミュニケーションを密にとり、自己顕示欲のために暴走することもなく、一つの目的を達成するために全員が有機的に連携します

これはビジネスの世界でも同様です。ミッション・ビジョン・バリューを共有した上で、それぞれがプロの仕事を行う。指示を待ち、忠実にこなすだけでは二流。一流のプレーヤーは、チーム(=企業や事業)としての成果を最大化するためになにをすべきか考えて自発的に行動する。これぞ理想のチームであり、結果として生じるチームワークです。

余談ですがこの台詞は、社会人になって最初の評価面談で、当時の上司(課長)から教えてもらいました。彼は優秀なプロジェクトマネージャーであり、指揮官でした。

彼の目指す理想のチームは「公安9課」であると。実際、彼が率いるチームは公安9課を地でいく集団でした。全員が共有するものは「顧客に対して価値を提供する」という一点だけ。私の理想のチーム像は、このときに決定づけられました。

SLAM DUNK

さてここでSLAM DUNK(スラムダンク)です。私が影響を受けた順はスラムダンク⇨攻殻機動隊ですが、ここではあえて逆に紹介しました。それは、攻殻機動隊の項で述べた「スタンドプレーから生じるチームワーク」と言う概念がスラムダンクの世界においても存在するからです。

スラムダンクは井上雅彦による高校バスケを題材にした名作スポーツマンガです。私は当時中学生でしたが、英語の定期試験で「とあるシーンのセリフを英訳せよ」という問題が出題される程度に流行していました。問題用紙にジャンプ紙面がそのままコピーされていたときの衝撃はいまだに覚えています。

スラムダンクの主役であるチーム「湘北高校」は、かつての名将・安西監督が率いる問題児集団です。主人公の桜木花道をはじめ、全員が互いを毛嫌いしているようなチームです。

特に主人公のライバルである「流川楓」は唯我独尊を絵にかいたようなキャラクター。天才の名を欲しいままにし、決してパスを回さず、1on1で勝ちにいくことを信条としています。

高校卒業後は渡米し NBA を目指しています。しかし安西監督に渡米の意向を伝えたところ「まだ早い」と否定されます。納得のいかない流川に声をかけたのが安西夫人。以前、安西監督が指導した一人の選手(谷沢)のエピソードを語ります。

日本人としては規格外の体格を武器にひとり相撲で試合に勝ち続ける谷沢。チームメンバーに頼らずお山の大将となっていた彼は、自身のキャリアアップのみを目的として試合に臨むようになります。満を持して渡米の意図を安西監督に伝えたところ、冒頭のセリフとともに一喝されます。

「お前のためにチームがあるんじゃねぇ。チームの為にお前がいるんだ!!」(再掲)

安西監督の真意は伝わらないまま谷沢は渡米、NBAに単身挑みます。しかし、日本では規格外だった体格も現地では標準。テクニックも凡庸でチームメンバーとのコミュニケーションも満足にできません。ろくな指導も受けれず埋もれていく谷沢。最後は悲しい結末が…

このエピソードを聞かされた流川、しばらくはプレイに変化はなかったのですが、作品の終盤で自身の才能を上回る天才(山王・沢北)と出会ったとき、これまで頑なに拒んできたパスを積極的に行うようになりました。唯我独尊を地でいくキャラクターを知る人たちからすると衝撃でした。

「わかってねえな…この意味を……誰も。あの流川がパスしたんだぞ…あの流川が。あの…天上天下唯我独尊男がパスを‼︎」
                     『SLAM DUNK』 / 清田信長

パスを選択肢に含めることで、1on1でも勝ちにいくことができるようになります。プレイヤーとして一皮むけた流川。チームの勝利に大きく大きく貢献します。

ここで重要なのは「全体のために個を殺したから勝てた」わけではないことです。流川はあくまでチームの勝利の手段のひとつとして、これまで拒んできたパスを実行し、かつフェイクとして組み込むことで1on1の勝率を上げることに成功しました。

流川個人の目標(NBAで勝負できるトッププレーヤーになるため1on1で勝ち続ける)を二の次として、チームの目標を優先することにより、結果としてスタンドプレーの質を向上することにも成功しました。評価は結果についてくることを表しているとも言えます。

まとめ

私のチームワークに対する考え、そしてそれを形成するインプットとなったマンガをご紹介しました。

私の考えるチームワークとは「チームの目標」を達成するために行った行動や思考の「結果」です。ハイコンテキストな集団は、各々が一見スタンドプレーをしているようにみえて、実は各々が全体を俯瞰したうえで行動しているということです。

「大切なことはマンガとアニメが教えてくれた」シリーズ、気が向いたら続けたいと思います。

補足:スタンドプレーが悪目立ちする状況について

ここまで、スタンドプレーはチームワークを乱すものではない、という文脈で綴ってきましたが、1つの役割を複数人が分担もしくは協業するような状況では、スタンドプレーは悪目立ちしがちです

スポーツの場合はたいてい一人が一つの役割を担っていますし、せいぜいチームは20人以下だと思います。一方、ビジネスの世界では企業はおろか、1つのプロジェクトチームが1000人を超えることもままあります。組織が大きくなるとチームが細分化され、結果としてチームのミッションも狭くなり、全体感をもつことが難しくなります。

では個性を殺すほかないのか?その点についてはチームプレーとチームワークの違いという切り口から、別の記事(T.B.D)で考察してみたいと思います。


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