2024/07/25 日経新聞 朝刊 個人的厳選4トピックス
[1面] 中国メーカー、米制裁企業に部品供給
戦車のレーザー装置 ロシア兵器生産関与か
中国の機械メーカーが米英による制裁対象であるベラルーシの軍需企業に対して、ロシアの兵器生産に必要な精密部品を供給し続けていることが明らかになりました。具体的には、中国の「広東緑循科技」がベラルーシの「BelOMO」から兵器照準器に使われる部品を受注し、ロシア国営VTB銀行の上海支店が関与していることや、「崇徳宇航(天津)科技」が「ディアプロエクトル」との間でフランジ部品の供給契約を締結していることが確認されており、これにより中国とロシア、ベラルーシの軍需産業が緊密に連携していることが示されています。日本経済新聞が入手した取引記録によれば、中国メーカーは2023年に制裁対象に指定された後も供給を継続しており、中国政府は軍事支援を否定しているものの、米欧の情報機関はこれを把握しており制裁を強化する方針です。
最低賃金、全国平均1054円に上げ
過去最大50円増
中央最低賃金審議会の小委員会は、2024年度の最低賃金の目安を全国平均で時給1054円に引き上げることを決定し、これは現在の1004円から50円の増加であり、22年連続の引き上げとなる。引き上げ幅は過去最大で、物価上昇への対応を重視し、労使双方が折り合った結果である。 最低賃金は全労働者に適用され、毎年改定されるが、23年度からの伸び率は4.98%で1982年度以来の高水準となった。2024年の春季労使交渉では賃上げ率が平均5.1%と高く、最低賃金も同程度の引き上げが必要と判断された。各都道府県の審議会で最終決定され、適用は10月中の見通しで、全都道府県で900円を上回り、1000円を超える県が16都道府県に増加する。
円、全面安が一服 日米金融政策、転機にらむ
一時153円台
外国為替市場では、24日の夜に円相場が対ドルで一時1ドル=153円80銭台まで上昇し、円売り圧力が一服しました。この日は特定の材料がなかったにもかかわらず、円がドルだけでなくユーロや英ポンドなど幅広い通貨に対して買われる展開が続きました。背景には日米金融政策の転換点と金利差の縮小への意識が強まっていることがあり、円キャリー取引を縮小したり解消したりする動きが広がっているからです。特に、河野太郎デジタル相や岸田文雄首相、茂木敏充幹事長など政府・与党関係者から日銀による金融政策の正常化を容認する発言が相次いでいます。今後の日銀の金融政策決定会合で利上げに踏み切るとの予想は3割程度にとどまるものの、FRBが利下げを行い日銀が利上げに踏み切れば、日米金利差の縮小が進み、円売りリスクが高まる可能性があります。
賃上げ余力、広がる格差
大手のパート時給、最低賃金に先行
中小・零細は追いつけず
2024年度の最低賃金が全国加重平均で時給1054円に引き上げられることで、企業はさらなる賃上げを迫られることになります。特に中小・零細企業は経営体力に乏しく、賃上げ余力の格差が広がる可能性があります。最低賃金の引き上げ幅は過去最大の50円で、足元のパート時給は引き上げ後の最低賃金をすでに270円上回っています。都市部の大手小売業ではすでに賃上げが進んでおり、イオンリテールやニトリホールディングスはそれぞれ7.02%と6.01%の賃上げを実施しました。一方、中小・零細企業では賃上げの勢いに追いつけない事例が増えており、従業員30人未満の企業では影響率が21.6%に達しています。最低賃金の引き上げは「年収の壁」を意識した就業調整や人手不足を懸念する声もあります。政府は最低賃金を30年代半ばまでに時給1500円まで引き上げる目標を掲げており、企業側は生産性の向上や企業再編などで対応する必要があります。リクルートワークス研究所の坂本貴志研究員は、省人化投資や業務内容の見直し、M&A(合併・買収)による競争力強化が重要と指摘しています。
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