うつすということ

「言葉は上手に使ったら 気持ちのそばまで近づけるけれど 同じものにはなれない」

BUMPのアリアという曲に出てくる歌詞だけど、言葉じゃなくてもなんでもそうだ。

表現というものはなんでもそうだ。

絵画にしても音楽にしても。

表現というのは何かを何かに写すこと。写す時に移してしまっている。

何かから何かを移してしまっている。

ずらしがある。ズレがある。

世界は鏡に鏡を合わせたようなものだ。

水が心に映り、心が水を映す。

それをまた何かに移す。

川の水の流れが石を削り、水の流れを石の形に移す。

一般的に心がないと言われているものでも、

表現のし合いをしている。

鏡に鏡を合わせている。

うつし合っている。

ズレがある。

そしたら表現に求められる正確性とは、となるが、

むしろずらすことに意義がある。

無限にずらしていくことに、正確性が出てくる。

無限にずらしていくと、その無限のずらしの中に、

ある程度変わらないものが出てくる。

将棋の駒を幾通りもの動かし方をしているうちに定石が出来てくるように。

正確性はただ追い続けるしかない。

100%というものがない。

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