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値上げ

刑事ドラマで刑事が白い粉を舐めて「これはシャブだな!」というシーンが良くありますが、舐めたら刑事も覚醒剤の使用罪で捕まる上に、最悪は薬物中毒で死ぬこともあります。シャブは「骨までしゃぶり尽くす」という意味でシャブとなったようですが、いずれにしてもこんなことをする刑事はまさに「あぶない刑事」です(笑)現実ではあり得ません。
薬物に手を出すのは「うまく曲が書けない」「ストレスから逃げたい」「弱さを解消したい」など不安な心に起因する場合がほとんどのようです。薬物を使用するのはもちろん論外ですが、人は誰でも心に弱い部分を持っていると思います。

それをふまえて今回のテーマは「値上げ」です。「商品の値上げが出来ない」という声を良く聞きますが、実際は値上げは自由にできます。値上げが出来ないというのは心の弱さからきているのでは無いかと思います。要するに値上げしたら「売上が減るのではないか」「販売先から切られるのではないか」「お客様から見放されるのではないか」などほとんど不安な心からきている事が多いのではないでしょうか。もちろん中には「ギリギリの価格で提供して喜んでもらいたい」という心の優しい方もいらっしゃるかと思いますが、商売は慈善事業ではないのでしっかり利益を出す事も優しさです。利益から法人税を払うことも社会への優しさですし、利益をお客様や社員へ還元するのも優しさではないかと思うのです。
また値決めに関しては、京セラや第二電電を興し、赤字続きのJALをわずか1〜2年で高収益体質に変えた稲盛和夫さんも「値決めは経営である」と言っています。
つまりそれほど値段を決めることは社長としても会社としても重要なポイントだということです。
今この業界では油や原料大豆の価格がどんどん上がっている状況です。このような状況だからこそ「値上げ」を検討している方は、ぜひ一歩踏み出していただきたいと思っています。

値段を上げるということのデメリットとして客離れを心配される方も多いかと思いますが、多くの場合は別に原因があります。まずは「値上げ=客離れ」ではないという事を前提にお話しします。値上げをして客離れが起きる原因は価格に対して商品の
1、品質が合わない
2、アフターが悪い
3、価値がない
など様々かと思いますが、逆も然りで価格と価値が一致していれば私の経験上問題はありません。また、価値に対してしっかり対価を払ってくださるお客様を見つける(見つけてもらう)努力も大事な事だと思います。値上げをする際に大事なポイントを以下に書いてみますので、ぜひご参考になれば幸いです。


【原価から売価を決めない】 みなさん商品の原価計算をするかと思いますが、原価計算を元に商品売価を決めることはお勧めしません。お客様側からの視点で物を見るとわかると思いますが、お客様は我々が思ってるほど商品原価を気にしていません。例えば主婦がユニクロでTシャツを買う時、スターバックスでコーヒーを飲む時など、いちいちその商品の原価を考えませんよね。要は商品原価ではなく、商品価値にお金を出すという事です。ここに売り手と買い手の感覚差があります。

【業界内の一般価格は無視する】 大豆の相場価格はネット上にも新聞にも載っていますので私どもは相場を無視して値付けをすることはありませんし、BtoBはBtoCより相場感を無視することは難しいかと思います。ですが周りと比べてどうだこうだではなく、自分の作った商品に対して、いくらで値付けするかは基本自由です。販売に自信があれば豆腐1丁1,000円でも何も問題はありません。(1,000円は極論かもしれませんが、周りが100円〜150円だとしてもそこは気にしなくても良いということです、自由にかつ自信を持って値決めを行なってください)

【安売りしない】 低価格戦略は大手の戦略ですので、中小は決して同じ土俵に上がってはいけません。ここは大事なので、もう一度言います。中小企業が低価格戦略を取れば遅かれ早かれ倒れる運命になります。一生懸命作っていらっしゃる商品です。苦しい時もあるかと思いますが、皆様の商品を安売りだけは絶対にして欲しくありません。


このように考えるとやっぱり「値上げ」はメンタルですよね。いかに弱い自分に打ち克つか。やってみると意外と「こんなもんか」という事がわかるかもしれません。「値上」と「借金」は経営者を間違いなく強くしてくれます。この業界全体の価値が上がるように「値決め」を本気で考えてみてください。考えていらっしゃる方、今が絶好のタイミングだと私は思います。

※値上げに罪悪感を感じる方も多いと思いますが、ほとんどの企業が長引くデフレの中で値下げ・値引き・安売りが続いた結果、本来の価値よりもはるかに安い値段で販売しているのが現状です。値上げという感じよりはむしろ「本来の価格」に戻そうという話が今回の意図するところです。

jun