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種子法廃止

さて、国産大豆を使っている以上、日本の農業政策に私も含め皆様にも目を向けていただければと思い今回は廃止になった種子法や今後の農業について書いてみたいと思います。 

まず種子法とは正式には【主要農産物種子法】と言われるもので、国が1952年に制定したものです。目的は米・大麦・はだか麦・小麦・および大豆などの主要な農産物を国民に安定して供給できるように【種子の生産に国が予算をつけたもの】です。
 都道府県は種の試験研究の体制を整えて地域に合う品種を開発し【奨励品種】に指定することや、原原種や原種の生産圃場の指定、種子の審査や遺伝資源の保存などを行ってきました。要するに種を安く提供し、地域で種子を守る事に予算を組んでいたと言えます。
 大豆も地域で気候に合う奨励品種がそれぞれありますよね。
 現在日本では大豆新品種の育成を【北海道芽室町の十勝農業試験場】【秋田県大仙市の東北農業研究センター】【茨城県つくば市の作物研究所】【長野県塩尻市の長野県野菜花き試験場】【香川県善通寺市の近畿中国四国農業研究センター】【熊本県合志市の九州沖縄農業研究センター】の6カ所で行っています。
 秋田県大仙市の刈和野にある東北農業研究センターに20代の頃よく通って色々お話を聞かせていただいた記憶があります。
 大豆は交配させF0からはじまりF1、F2…と選抜していき、F12〜F13ではじめて新品種として登録されます。1年に1世代進むので12年から13年の時を経てようやく日の目をみます。この間に新品種として意にそぐわない場合は脱落もあるでしょう。まずはこの育種をして下さった方々の苦労を私たちは決して忘れてはいけないと思います。
 話を戻します。このように戦後から続いた種子法により守ってきた国民の共有財産である種子に関する法律はわずか半年の議論で廃止となりました。 同時に【農業競争力支援法】も出来ましたが、よく問題提議されるのは8条4項の部分。 (種子その他の種苗について、民間事業者が行う技術開発及び新品種の育成その他の種苗の生産及び供給を促進するとともに、独立行政法人の試験研究機関及び都道府県が有する種苗の生産に関する知見の民間事業者への提供を促進すること)
 こちらも簡単に言えば、種子の開発や研究成果を地方自治から国内はじめ国外の種子企業にも委ねこれまで蓄えてきた知見を提供するという事が言えます。
 さらに2021年春に施行予定の種苗法の改正。種苗法は簡単に言えば音楽でいう著作権のようなもので、新品種の開発者保護のための品種登録に関する制度です。この改正により種苗の知的財産権を強化し、農家の自家増殖や自家採取が禁止・制限されます。
 種子法廃止により、種子の公共事業をやめ、農業競争力支援法で種子情報を企業に譲渡し、種苗法改正で農家の自家採取を禁止していく。
 この種子法廃止、農業競争力支援法、種苗法改正は3点セットとして考えていかなければいけない事だと思っています。
 種子法が廃止になることに異論を唱えている元農水大臣の山田正彦さんが種子法を復活させようと動いていることもあり、国とは別で地域の条例を独自で作り種子を守っていく県も出てきました。
 多くの問題を含んでいるように思いますが、政治色が強くなりますので、良し悪しはここでは書きません。この内容を踏まえてみなさんが各々農業について少しでも考えてくだされば嬉しく思います。
 その他、農業にはまだまだ問題点があります。【農林中金のCLO】【ネオニコチノイド系農薬】【遺伝子組み換え食品】【ゲノム編集食品】などなど上げ出したらきりがないので、こちらもみなさん各々考えていただければと思います。
 登録品種以外の固定種や在来種は種子法や種苗法の枠の外になるので、日本の在来種を守っていくのも、我々の使命の1つなのではないかなと思う今日この頃です。

jun