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不平等から同一労働同一賃金を考える

2024年に新札が発行される予定ですが、今回の新しいお札には世界初となる偽造防止技術が採用されるようです。過去に1万円札の肖像画は聖徳太子と福沢諭吉の2人だけでしたが、今回1万円札になるのは大河ドラマ「青天を衝け」でお馴染みの渋沢栄一。日本資本主義の父と言われ、数々の企業を興した方で有名ですね。すごい人です。ただ今回の新札発行は手放しで喜べない話かもしれません。
今から遡ること75年前1946年に渋沢栄一の孫に当たる当時大蔵大臣渋沢敬三がデノミネーションと預金封鎖を行なっています。新札発行のタイミングでたまたまなのか、何かを示唆しているのか…。ハイパーインフレなどが日本でももしかしたら起こるのではという話もたまに聞くようになってきました。日本のプライマリーバランスの黒字化目標はまだまだ遠く…。ちょっと長くなりそうなので、この話はまたそのうちに。とりあえずコロナも収まっているであろう2024年に何もないことを祈ります。
さて、福沢諭吉の学問のすゝめの有名な前文「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」とありますよね。この意味は「人は生まれながらにみな平等ですよ」と言っているようですが福沢諭吉が言いたかったことは違います。会話の中のごく一部を抜き取って、拡大解釈するかのようなことで、この文には実は続きがあります。
簡単に説明しますと「人は生まれながらに平等であると言われている。けれども、実際には賢い人と愚かな人、貧しい人と富んだ人、身分の高い人と低い人がいて平等ではありませんよね?だからこそ不平等の差を埋めるため、不平等を生まないために一生懸命勉強をして自分を磨きましょう!」と解いているのが正解です。
福沢諭吉の言う通り、勉強すれば不平等の溝は少なからず埋められるかもしれませんが、社会はやはり平等には出来ていなくて、それが実は真理のような気もしています。
都市伝説かもしれませんが、運動会で「よーいドン!」で一斉にスタートして、ゴール前でみんなで「手繋ぎゴール!」みたいな事が平等とか、イギリスのタイムズ紙で反響を呼びました ( Japans monster parents take centre stage日本のモンスターペアレントセンターステージを奪う )。これはとある学校の子供たちの劇「白雪姫」で、主役の白雪姫をはじめ、王子様、王妃様、小人、大道具さん小道具さんなどの縁の下の力持ちもいて成り立つのものなのに、私の娘はなんで「白雪姫役じゃないの?不平等でしょ!」という親御さんがいたために、25人全員白雪姫というもはや演劇ではなく奇劇だったり…。
男女平等にしても男性は女性を軽視する発言が多々あったり、女性は嫌いな男から「おはよう」と言われただけで、「セクハラ!」となったり…。壁ドンや頭ポンポンにドキドキしました(※イケメンに限る)だったり(笑)
(女性におはようと言って「セクハラ」と言われたら男性側に問題があると思いますが…)
商売でも大事なお客様(顧客)とそうではないお客様には少なからず贔屓しますよね。百貨店にも外商制度(自宅まで売りに来てくれる)やセレブ専用サロンがあるように、毎月1,000万円以上買ってくれるお客様と5年に1回10万円買ってくれるお客様への対応が店側として差をつけるのは当然で、全て平等にというわけにはいかないのが世の常です。
要は現実社会は平等にはできていません。早く子供のうちからこの不平等を教え、不平等社会の中で、どのように折り合いをつけていかに強く生きていくかを教えることの方が大事なのではないかと思います。

前置きがだいぶ長くなってしまいましたが(汗)今回この話をしたきっかけは働き方改革関連法の柱の一つ「同一労働同一賃金」の平等な対応が人それぞれの解釈によると思うので、難しいなと思ったからです。 2019年の4月から働き方改革関連法が順次施行されています。大きく分けると…

【時間外労働の上限規制】
原則として月45時間、年360時間(特別な例外あり)を超えて残業をしてもらうことはできなくなくなりました。(弊社は基本残業禁止なのでセーフ)

【年次有給休暇の取得】
年に5日は使用者が時季を指定して必ず有給を取得してもらわなければならなくなりました。既に5日以上取得している労働者には時季指定の義務はありません(これは有給を取ってもらうしかありませんね)

【同一労働同一賃金】
(中小企業は2021年4月〜) 同一労働同一賃金で事業主に求められることは、

Ⅰ. 同一企業で働く正社員と短時間労働者・有期雇用労働者との間で、基本給や賞与、手当、福利厚生などあらゆる待遇について、不合理な差を設けることが禁止されます。
Ⅱ. 事業主は、短時間労働者・有期雇用労働者から、正社員との待遇の違いやその理由について説明を求められた場合は、説明をしなければならない。

とあります。
簡単に解釈すると正社員と短時間労働者・有期雇用労働者の差をなくそうという事なのだと思います。 働くスタッフから待遇差について説明を求められれば必ず説明する義務が生じてくるかと思われますので、スタッフとの充分な話し合いや、待遇差の理由を求められた際、不合理ではない事をしっかり説明できるように整理していただければと思います。 対応策としては、

❶正社員と非正規社員の仕事区分を明確にする。
❷従業員を削減し、生産性をあげる
❸値上げをして1人あたりの生産性をアップする
❹正社員の賃金を引き下げる

ただ②、③、④は諸刃の剣なので、現実的に実行するには❶かなと思います。
「パートだから」「契約社員だから」「将来の役割が違うから」などの主観的・抽象的な話では通用しなくなるという事をお考えいただいて不合理と言われないようにしなければいけませんね。偏った平等を教わった若者達が入社してくれば、同一労働同一賃金の解釈はどのようになるのか…その辺をちょっと心配しています。

jun