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能力が衰退するステージでの考え方

将棋の羽生さんと対談した時に、記憶力判断力のピークは20代中盤でその後は衰退していくので、それに合わせるように戦い方を変えてきたという話をされていました。
伊集院光さんも発想の豊かさは若い時がピークという話をされていました。100mスプリンターの生涯ベストタイムは24歳付近です。

とはいえ年齢を重ねることで卓越する能力もあります。では、具体的にはいったいどんな能力が若い時代にピークに至るのか。

スポーツの世界でいえばバネと言われるような弾む動きは若い時の方がいいです。そもそもスポーツは関節をすり減らし腱を痛めながら行うようなものですから、ある年齢からは弾めないどころか痛みすら出てきます。

そうなると短距離でいえば年齢を重ねた選手は多少上下動があってもダイナミックな動きをなるべく水平方向に向かわせ、効率を高めることで勝負します。

人間には限界がない。いつまでもやれば可能性がある、と言われます。しかし、現実にはすべての生物は生まれてから成長し、そして衰退しつつ死に向かいます。
年齢とともに見えにくくなり、聞こえにくくなり、関節は磨耗して痛みが出るようになり、体は硬くなり、動きに支障をきたしていきます。新しい言語の習得や新しい身体動作の習得など環境に新しく適応することも難しくなり、変化しづらくなります。

一方で単一の機能が衰えても、総合的には能力が高まり、可能性が広がっていくことは十分にありえます。

複雑さが増すほど、また一人ではなく集団で行うものであるほど、年齢が高くなっても戦いやすいです。

年齢を重ねながら研鑽していくには、前半に着目すべき指標と、後半に着目すべき指標が違い、大きな視点で言えば人生で常に自らの価値の出し方を変え続けることが勝負し続ける鍵なのだろうと思います。

人生前半ではわかりやすく、単一指標で評価し、その指標となる数字がよくなることが成長だという考えに陥りやすいです。しかしその自分に強く刻んだ指標こそが、年齢を重ねて転換するべき時に邪魔になります。

年齢を重ね、成長することは、新しい指標の取得、ないしは指標そのものからの解放なのだろうと思っています。

blogより 2015年06月07日

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