見出し画像

決められない人

意思決定ができない人、または意思決定の質が低い人(ハズレが多い人)はいったい何が頭の中で起きているのでしょうか。私はその背景に優先順位が決められないことがあるのではないかと思っています。

優先順位を決めるとはどういうことでしょうか。例えば、100mの選手が来期の目標を立てています。今年は少しレースの前半でついていけなかったから筋力をつけて最初の加速を強化しよう、と考えます。いざそれを決めてコーチの元に持っていくと、こう言われます。

「いや、筋力も大事だけれどスタミナも大事だぞ」

なるほどと思い、走り込みを行なってスタミナをつけることも増やしました。またコーチの元に行くとこう言われます。

「いや、筋力もスタミナも大事だけれど技術も大事だぞ」

このように優先順位を付けない議論や思考は、結局全部をテーブルに乗せるだけの作業になることが多いです。結論も長文が書いてあり網羅的ですが、全部やろうということなので戦略も何もありません。どちらも大事という人は、意思決定においてはなんの役にも立ちません。大事なものに優劣がつけられず並列にしかできない人は、つまり本当に大事なものがわかっていないのです。

意思決定とは絞り込むことです。裏から見ると可能性を削ることです。何かを諦めない意思決定はありません。筋力とスタミナと技術のどれかを選びどれかを諦める必要があるのですが、いきなりは結論を出せません。これらを選ぶための考え方の軸が必要なのです。つまり、100mにおいては何が重要なのか。自分はどうなりたいのか。その上で自分に足りないものは何か。がなければなりません。これらを考えることで、自分の軸を作るのです。

もちろん、本当にスタミナも技術も大事です。けれども筋力があった上で技術を手に入れた方がいいのかそうでないのか、技術を体得した上で走り込んだ方がいいのかそうでないのか、は考えればちゃんと順番があるわけです。きちんと考えて順番を決めてある状態を戦略がある状態と言います。Aを獲得するとBが獲得しやすく、Bを獲得するとCが獲得しやすいという風に考えて仮説を立てて決めておくのです。

もし選手がどれも大事ですという立場をとった時は、必ず今の暫定的な答えでもいいから、優先順位を付けさせます。今一番大事な練習を一つだけ選べ、と迫ります。優先順位をつける練習をしていかないといつまでたってもできるようにならないからです。それどころか年齢がいくともっと強固に優先順位を付けなくなっていきます。

人生における優先順位づけのことを、価値観とよんだり軸と読んだりします。お気づきの通り、人生の優先順位がない人はキャリアを決めることもできません。人生において何が大事なことかがわからないからです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?