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タクシー、今宵もありがとう。

タクシーによく乗る。

職業柄、終電を逃すことが多いので、主に帰宅の際に利用しています。

仕事終わりで疲弊した上でのタクシー乗車がほとんどだが、私は運転手さんに話しかけられるのが嫌ではなく、運ちゃんが話し出したら話に乗っかるタイプだ。因みに、運ちゃんが無言でいる場合、勿論こちらも終始無言でいる。

9/30(金)、この日、私は駅までダッシュすれば終電に間に合う時間だったにも関わらず、駅までダッシュする体力が残っていなかったので早々に諦めて、会社の目の前で偶然通りかかったタクシーを停めた。

「こんばんは!ご利用ありがとうございます!」

乗車した瞬間から、元気で明るい運転手さんの声。
行き先を確認したのち、自己紹介をされた。
「"日本交通"のヤマダ(仮名)が本日ご案内させていただきます〜」
年齢はざっくり50代というところであろう。
すごく気持ちのいい話し方をする男性だ。
口調はハキハキとしており、声の大きさは大きいが、全然「うるさ💢」とはならなかった。

運「行き先までは⚪︎⚪︎通りから⚪︎⚪︎を抜けて…でよろしいでしょうか?」
私「あ、⚪︎⚪︎から入っていただくこと、できます?」
運「承知致しました!じゃあ⚪︎⚪︎から入って⚪︎⚪︎通り右で行かせていただきます!」
この時点でこの運転手さん、大当たりである。
土地勘が素晴らしい。帰宅時のタクシー乗車において、とても重要であると思う。最終的に目的地に着けばそれはそれでいいけど、こちらとしては最短ルートを極めたいし、こちらから少しの説明で家に帰りたい。
運転手さんの中にはその疎通が取れない方も多くいるから…。


走り出して少しして、ヤマダ(仮名)さんがハキハキ大きな声で口を開いた。

「タクシーの豆知識をお教えしてもよろしいでしょうか?」

まじかヤマダ(仮)さん。急じゃん。聞くけども。

そこから、私はヤマダ(仮)さんにいろんなことを教えてもらった。
ここで全てを語ると、今後ヤマダさん(仮)が違うお客様に語る際の邪魔になってしまうかもしれないのでネタバレ(?)はしないが、
・東京23区と三鷹・武蔵野のタクシーのみが持つ特徴の話
・営業可能区間の話
・すごい遠くまでお客さんを乗せる時の話(東京→大阪 など)
・タクシーG
⭕️で確実に日本交通さんを呼ぶ方法(営業やんけ!)

すーごい興味深かったし、面白い話ばかりで、むしろ私からも色々と質問させてもらった。
私からの質問にもヤマダ(仮)さんは丁寧に答えてくれて、楽しい時間を過ごした。また知識が増えたぞ!


話も一区切りして、目的地到着まで5分ほど。というところで、ヤマダ(仮)さんがまた口を開いた。

「最後に、もうひとつイイ話をしてもいいですか?」

おいヤマダ(仮)さん〜〜〜〜!!まだあるんか〜〜〜〜????(歓喜)
もう降りる直前だが大丈夫か?と思いつつ、既にヤマダ(仮)さんへの好感度は猛烈に高かったので「聞かせてくださいよ」と、私は言った。

ヤマダ(仮名)「幸運のタクシーって知ってますか?」
私「いや?」
ヤマダ(仮名)「上の行燈(あんどん=タクシーの上に乗ってる光るやつ)ありますでしょ?そこにね、桜のマークが入ってるんです。私共"日本交通"のタクシーは、東京をざっくり5千台走ってるんですが、その中の7台分だけ、その行燈の桜のマークがピンク色なんですよ。
だから、その7台は幸運のタクシーって呼ばれているんです」

知らんかった〜〜〜〜〜!!!!
全然意識して乗っていなかったが、ちなみに、通常の桜マークの色は青だったり金だったりらしい。ピンクは7台のみ。7/5000か…。

「だから、ピンクの桜のタクシーを見つけたらラッキーなんですよ。
きっといいことありますから、探してみてくださいね!」

タクシーに乗る回数が多いのだから「今度から意識してみます!イイこと聞いた!」と、私は返事をした。






私が降りる直前の、信号待ち。
ヤマダ(仮名)さんがおもむろに、手元を漁り出した。
そして、1枚、名刺サイズの紙を取り出し、私の方に差し出した。
とにかくお話が盛り上がったし、お名刺くれるのかな…と思って、その紙を受け取る際、ヤマダ(仮名)さんがニッコリ笑顔で私に一言。


「実はね、このタクシーがそうなんです」

"幸運のタクシー"証明書


いやヤマダ(仮名)おまえ(号泣)(鳥肌)〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


恥ずかしながら盛りなしに泣いた。


そう、ヤマダ(仮)さんの運転する、今日私が乗ったこのタクシーこそ、7/5000の確率で走る"幸運のタクシー"だったのだ。

"証明書"をもらった私は、ただでさえ無い語彙力が消失しており、もはや車内で大声で「やば!!」と、連続して叫ぶことしかできなくなっていた。
だがそんなギャルな私に嫌な顔ひとつせず、ヤマダ(仮)さんは車を発進させながら優しく笑顔で、「ね!イイ話だったでしょ😆!」と言った。


…好きだが???????

ねえヤマダ(仮)さんはさ、結婚、してんの?(何を狙っているの?)


私事ながら、最近私の仕事や、実家周りに関してイイことがなかった。
むしろ悪いことが多くて、心の奥底は実は毎日どんよりとしていた。

でも今回、ヤマダ(仮)さんと幸運のタクシーに出会えたことで「マジで近々イイことあるかもな…」と思えたし、何よりこの日に、ヤマダ(仮)さんというスペシャルロマンチストでお仕事にも誠実な運転手さんに出会えたことが最強に"イイこと"だった。

最後、タクシーから降りて「行燈を撮りたい」と言った際も、「光らせると白くトんじゃうので、暗いまま撮った方がピンクがわかりやすいです!」と、撮影を分かりすぎているアドバイスをくれ、行燈を光らせなかったヤマダ(仮)さん。
最高かよ。

ほんとだ!めっちゃピンク!ね!ヤマダ(仮名)!


私はこの日の出会いを一生忘れないだろう。
嗚呼、ヤマダ(仮)さん…本名がスタ⚪︎オ・ジ⚪︎リの重役と同姓同名というなんかもう色々と持ちすぎている男、ヤマダ(仮)さん…。


もしまた出逢えたら、今度はもっと遠くまで私を運んでいってほしいのです。


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