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兼業を始めて16ヵ月

字幕翻訳者として仕事を初めて1年と4ヵ月ほどが過ぎました。
ほぼ同時にスタートした派遣の仕事も同じだけ経験したことになります。
兼業翻訳者になるぞと決意して、へとへとになりながら何とかはいつくばって、心身共に健康に16ヵ月やってこれたことに対しての感想は

疲れた…ッ!

というのが正直なところです。
休む時間が無くて常に何かタスクを抱えているというメンタルの疲れもあるものの、メインはやはり平日の昼間8時間の派遣業務に加えて、平日の早朝夕方と週末、そして眠気をごまかせる限りは深夜も含めて翻訳業をできる限りやっていることによる体の疲れ。
シリーズ作品の翻訳をしていて、毎週木曜朝に納品を済ませると、木曜夕方は派遣の仕事が終わると時には夕飯も食べずに朝まで寝続ることもあります。そして金曜の夜から、次のエピソードの準備に入るという流れ。

年末年始はお休みがあるし、原作の本国の放送お休み事情もあって1月は翻訳の仕事が結構スカスカ。これは昨年もそうだったので、お取引先が増えたり別系統の担当作が舞い込まない限り、こんなペースなのかなという感じです。そして昨年と同じなら、おそらく7~8月も少し閑散期になるかもしれません。
そんなことを言うてる場合ではなくて、新しいお仕事をどんどん取りにいかないといけない駆け出しフェーズなことは分かっているんですが、いかんせん翻訳の仕事量と反比例して心身の休息時間が削られる兼業なもので…。次のお仕事が全くない!という状態でない限り、次の映像素材が届くまではお休みだ~~っと喜んでゴロゴロしてしまうのです。

そう、喜ばしく、嬉しく、ありがたいことに、字幕翻訳者としてスタートしてから毎月仕事が途切れずに頂けています。単価はまちまちで、月ごとに収入もバラバラですが。

簡単に振り返ってみて、想像通りではなかったな、と思う16ヵ月でもありました。

兼業を始めたその日には想像していなかったこと

①翻訳以外の業務がけっこう大変

・請求書
「はじめてのせいきゅうしょ」という可愛くないタイトルをつけてあげたいくらい、最初の月に請求書を発行するだけで私はアタフタアタフタしていました。何度も確認したはずなのに、金額を間違えたり、自分の口座番号を間違えたり…お忙しい月末に、お取引先に多大なるご迷惑をおかけして、もちろんお叱りもあり…落ち込んでけっこう引きずりました。今でも、請求書発行は緊張します。

・確定申告
会社で年末調整をしてもらっている分、個人事業主の方の苦労と比べたら軽いのかもしれません。しかし…去年はもうワケが分からないまま何とか終わらせて、結局まだワケが分かってない感じがあります。
今年の確定申告の準備をしているけれど、昨年の時点でこれも経費にしておけばよかったと後悔する項目があったりして、勉強不足を痛感しました。

・日々の業務管理
月ごと、1年ごとの請求書や確定申告を楽にするためにも、自分のペースをつかむためにも、日々の業務管理を上手にルーティン化していきたいと思っています。ただ、コツコツ継続するマメなタイプではなく気分屋な性格で、日記もお小遣い帳も家計簿管理も続かない…継続が苦手な私。
派遣勤務でたくさんExcelを使うハメになった勉強ができているので、それを何とか自分の業務管理や効率化にも活かしたいところです。

②翻訳が苦痛な日もある

これは少し予想していたことではあって、むしろ早めに来て対処法を見つけておきたいと思う感覚でした。気分屋を自覚する以上、コントロールできねばと思っていたんですね。

言葉にするのは難しいですが、「こういう感覚・気分・感情になるのかぁ」と、想像していなかったモヤモヤグチャグチャウネウネした気持ちがあふれ出て、映像を再生しても、辞書を引いても、言葉が出てこなくて、全然気持ちがのらない日もありました。これは経験不足ゆえか、もしかしたら生理的なものか、作品との相性か、睡眠不足か、体調か、何が要因か分かりません。今までのところ、若干締め切りが厳しくても、その後の自分が睡眠不足になって今の自分を恨むことになっても、少し翻訳をポイっと横に置いて別のことをしてみることにしています。

ふとした時に「ずっとやりかったことができているのに、それにさえも向き合えないの?」と自分に対する黒い感情が出てくる時がありますが、どんなに好きなことでも、離れたほうがいい日はある、そしてそれは決して自分を責めるべきことじゃないと分かるようになりました。これは、憧れの地イギリスに暮らしていてもしんどいことがあった自分とか、優しい夫と暮らしていても悲しくなることとか、私なりに人生経験から学んだことです。

字幕翻訳をずっと仕事でやっていきたいからこそ、翻訳したくないな・できないなと感じた日があったことは、自分の気分やペースを乗りこなしてできるだけ上機嫌で続けていきたいな、と思うきっかけになりました。

③翻訳者同士のつながりは大事

1人で黙々とやるものだと思っていたし、限られた数の仕事を奪い合う競争相手だし、翻訳者同士で仲良くしても…?と思っていました。
字幕翻訳のスクール開始時も、実はちょうどコロナ禍が始まったタイミングに丸被りだったので、クラス内での交流もほとんどできなかったんですよね。でもその中で仲良くなれたクラスメイトと修了後にTwitterでつながれたおかげで、スクールも経歴も担当言語も違う映像翻訳者の人と勉強会と言う形で交流させてもらえました。ゆるゆると勉強会は続き、皆で近況報告したり、時には仕事のご縁につながったりしています。中堅・ベテランの翻訳者の方もおっしゃっていたように、翻訳者同士のつながりって大切なんだなと思いました。
仕事のご縁はもちろんありがたいことだけれど、やはり同業者だからこそ分かる苦労や喜びもあって、そういうのを話せるのが何より嬉しく、ありがたいんです。


まだきっと、今の自分には想像もできないことが起こるでしょう。楽しみです。
予想通りだったのは、睡眠時間はとても大切ということ。
2月からまた忙しくなるので、今のうちにしっかり寝ておきます。

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