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2020年・無知への旅 福島第一原子力発電所を視察②

①からの続き・・
※福島第一原子力発電所内はカメラやスマホの持ち込みが禁止されているため、以下アップしている写真は東京電力の方が撮って下さったものです※

入場ゲートに並び、入場許可を待つ。
私たちの前にチェックを受けているグループが
海外からのジャーナリストということで、
何だか時間がかかっている。
ただ並んでいるしかないが、
そこは作業員たちのいつもの
仕事の出入り口でもあり、
労働を終えた作業着姿のお兄さん達やおじさん達が、ワヤワヤと退勤していく。
見るからに色んな人たちがいて、
各々思うところはあるだろうが
絶対世の中に必要な仕事であるし
神を信じない私にとっては労働の尊さとは
宗教のように威厳を持つ観念なのだ。
働く皆さんにいいね!を押したい。
ポンコツのお上をあしらいながら
皆で図太く生き延びて行きたい。

セキュリティ・チェックを受け、
ひとりひとつガイガーカウンターを貸与される。
視察者向けのポスターが貼られていた。

"国内外の英知を結集し
長期に渡る廃炉作業を
安全かつ着実に進めます
福島廃炉推進カンパニー”

嘘のように美しい文言だ。
私の生きていない100年後の未来ヘ聞きたい。
今、どうなっていますか?

基本的に敷地内はバスで動くが、
唯一降りて見学してよいところがあるのだという。

原子炉そのもの、1号機から4号機の目の前だ。といっても高台からそれらを見下ろす形で80メートルは離れている。
でもすごく近い。予想以上の近さだ。
この距離で視察できるくらい事故の後始末は順調に進んでいる・・という事のようだ。
議員とか偉い人たちもここに立って、
説明を聞いたり、ちょっと調べればすぐわかるような事を質問してみたり
それで分かったような顔で後から何か吹聴したりするんだろうか?
私には何もわからなかった。
だからわからなかった、ということをネットという未完成のアカシック・レコードに遺し、まだ見ぬあなたへ告げておこうと思う。

今もなお満身創痍の姿にみえる1号機
すぐ近くにある"事務棟"は窓が全て割れた、
事故直後に近いままの姿で佇んでいた。

屋根が吹き飛んだままの、
あばら屋のような姿に圧倒される1号機のそばを
防護服を着た作業員の方が歩いている。
1~4号機全ての廃炉作業が完了するまで、
30年から40年かかる見通しとの事だ。
目の前の小銭を必死に拾っているような日々を
送っている私からすると
無限の大事業のように思えるが
ダムや高速道路、オリンピック等と同様の
大日本国家的プロジェクトなのだから、
きっと最後にはカミカゼが吹いて
バッチリと綺麗にまとめてくれるのだろう・・
(白目)
空は青く晴れ、海は静かで、
マジで空気は澄み渡っている。
ここが原子力発電所ということを除けば
本当に美しい光景だ。

各自のガイガーカウンターがビコンビコン鳴る中、記念撮影をした。
軍手を着用してるとはいえ、あんまり地面には触んないように・・という注意を受ける

渦中の処理水(汚染水)のタンク

こちらは事故直後に使用されていた汚染水用タンクとのこと。サビに経年劣化を感じるが、とはいえ事故からまだわずか9年ほど

汚染水は最新の機器で処理、浄化されているが、
処理に処理を重ねてもどうしてもトリチウムだけは除去出来ないということで
トリチウムが残ったまま薄めてどうにか(放出)するしかないと・・
そのトリチウムだけが除去出来なかった水と、
記念撮影をした。我ながら冴えない表情だ・・でも笑うのもなぁ、面白い事ではないし。
全身の放射線量チェックを行い(セーフ)
無事、フクイチ自体の視察は終わった。
廃炉資料館ヘ戻り、グループに分かれてお弁当を頂く。東電社員の方に質問も出来る。
私は人の話を聞くのが苦手な
聖徳太子の真逆を行くタイプの人間だということを再確認した会食のひと時だった。
誰の話にフォーカスしたら良いのか本能的に混乱してしまう。
※続く

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