拝啓、大好きな君へ。
4月中旬。君の名前を初めて呼び捨てで呼んだ。男の子の名前を呼び捨てで呼んだことなんてないから、新鮮味があってドキドキしたのを覚えている。
そんな君とは、いつの間にか毎日ずっと一緒に居て、電話をしない日なんてなかった。唯一、電話をしない日は君がバンド仲間と飲みに行く日だけ。
笑うとクシャっとなる顔が可愛くて、甘えてくるところや、酔っても必ず電話をかけてきて、毎日一緒に寝てくれるとこも、少し下品で、私に対して辛辣な意見を述べるところも大好きで仕方なかった。
君は、男女共に友達が多くて、女の子からも好かれやすい人気者。そのせいもあって経験人数も多かった。
それなのに、君が私のことを好きになってくれて、女の子との連絡を取るのをやめてくれてたり、「好きな人がいるからやめてほしい」と言ってちゃんと断ってくれてたのは多分奇跡なんだと思う。きっとたくさんの可愛い女の子が君の周りにいたのにも関わらず、私を選んでくれたのは君の前で泣いちゃうくらいに嬉しかった。
5月後半。君と初めて会う約束をした。
会う日の前日。聞いてもいないのに、君は大学の女の子との話をしてきた。同じ学部の女の子から「ずっと前から話してみたくて、連絡先を教えてほしい」と言われたことや、バンドのサークルの先輩から言い寄られたこと。他にも色々言ってたような気がするが頭を殴られたような衝撃と苦しさでその後の記憶が全くない。
当日の朝に、「やっぱり君とは会えない。」とLINEを送ってブロックしたのだけは覚えている。そこから電話がきて君は凄く怒っていた。当日に約束を飛んだ私も悪いけど、結構傷ついてるんだよ。
でも、何を言われても君のこと大好きだから、全部私が悪かったってことでいいよ。
拝啓、大好きな君へ。ちゃんとご飯、食べていますか?君はパスタしか作れないから、きっと私が一から丁寧に教えてあげたレシピで今日もご飯を済ませていることでしょう。味はどう?美味しい?
私ね、君が弾く私だけのヤングアダルトが大好きだったんだよ。そうは言ってもサークル内で披露するからあんなに必死こいてやってたんだろうけど。(笑)
毎日のように電話口から聴こえてくるマカロニえんぴつのヤングアダルト。君が弾く音楽はもう聴けなくて、寂しいけど君がいなくても大丈夫。手首からもう涙が流れることなんてないよ。
「俺のこと捨てないで」なんて最後に縋ってきたけどさ、やっぱり君には代わりのきく女の子がたくさんいて、幸せに過ごしてそうでいいね。羨ましいよ。
ばいばい。
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