「動物としてのヒト」で考える
誰にでも得意/不得意がある。友人にできて、僕にはできないこと。その逆もまたある。
できないことに悩むより前に、考えておきたいことがある。
「それって、ヒトができることだっけ?」
鳥の特長は空を飛ぶこと
向こう側に木が立っていたとして、鳥に向かって「向こうの木まで行ってみてください」と伝えることができたとしたら、鳥はどうやって向こうの木までいくのだろう?
きっと、その羽を広げて飛んでいく。決して歩いては行かない。
「向こうの木まで歩いて行ってください」と伝えたら鳥は大変。たどり着けるだろうけど、特長は活かせない。飛んだ方が断然早い。
ヒトにも同じことがいえると思う。ヒトはどんなに努力しても、空は飛べない。「空を飛ぶ」は極端な例だけど、ヒトが苦手なことを、僕が得意になることは難しいだろう。
言い方をかえると、ヒトという動物が苦手なことで悩む必要はない。僕もヒトなので、むしろ得意だとしたらそれはレアケース。
できないことに悩む前に、ヒトの特長をのぞいてみたい。
記憶力
ヒトは事実を事実のまま記憶するのが苦手だ。2週間前のランチに何を食べたかまったく覚えていない。だから、記憶できないことには悩まないようにしている。
忘却力
忘却力は高性能で完備している。寝れば、忘れる。すさまじいパワーだ。仮に忘れられなかったとしても、1年、2年経つと、同じく高性能の解釈力が作動して、出来事を独自に解釈して、笑い話だったり、教訓だったりに変換してくれる。
解釈力
ヒトの解釈力はワンダーだ。いやな出来事も、3年もあれば教訓に変換して解釈する。場合によっては、笑い話に変換もできる。一つの出来事がヒトによって、ポジティブにもネガティブにも独自に解釈される。
意思の力
意思はあてにならない。新年の誓い、甘いもの控える宣言、毎日運動するぞという意思はあっという間にフェードアウトしてしまう。
環境適用力
一方で、環境に柔軟に適応する力は目をみはる。たとえば「家に帰ってきてダラダラYou Tube見ちゃうんだよね〜」は意思の力では乗り越えられない。You Tubeは1日30分前まで宣言は、3ヶ月後にはきっとなかったことになっていると思う。
でも、環境適用力を活かす作戦ならうまくいく。つまり、スマートフォンからYou Tubeアプリを消す。その環境には柔軟に慣れる。You Tubeがない環境にも、うまく適用する力をヒトは持っている。
暗記力と連合記憶
ヒトは物事を関連付けの中で覚えるから、単なる丸暗記は苦手だ。意味のない数字の羅列。たとえば、1572345690134 を覚えることは不可能だ。
「7×8」の掛け算の答えを63や48、54と間違える場合があるという。しかし、正解である56と1つ違いの55とは間違えない。ヒトはコンピューターと違って、バラバラの情報も連合によって結びつけられ記憶する。
だから「7×8」の結果を思い出そうすると、隣接した「7×9」「6×8」「6×9」が出てきてしまうことがある。しかし、連合記憶と呼ばれるこの記憶の仕方は、暗記という意味では弱みとなるが、ヒトはこれを強みとして多くのことを享受してきた。トラと出会ったときには、ライオンに関連した記憶をすぐに起動させる必要があるからだ。
まとめると、暗記できなくても悩まない。ヒトが苦手なジャンルだから。覚えるにしても、関連付けして覚えたい。それよりもヒトの特長といえるのは、きっかけがあれば、ぼんやりした記憶からすべてを思い出せる能力だと思う。
ヒト
自分の弱みだと思っていたことは、実はヒトという動物の苦手なことなのかもしれない。だとしたら、自分ではどうしようもないことともいえる。
すごいがんばったのに結果が思わしくない場合、それはヒトの特長を活かしたがんばりではなかったのかもしれない。
まずはヒト、それから自分。ヒトの特長じゃないからドンマイって考えるとホッとしますね。
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