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会いたかった人・平野亮一さん


会いたいなと思っても、そう簡単に会えないのが自分の憧れの人である。
私にも会いたい人はいる。会いたくても会えなかった人も幾人もいる。しかし、その人は会おうと思えば会える人なのだから、多少の無理をしてでもその機会があるならば、会っておくべきであると私は思ったのだった。

私は元来の出不精である。ましてや、今年のような 異常な程の暑い夏は、どんなことがあっても外に出るということを極力避ける人間であった。
しかし私は、八月十二日、会いたい人に会って来たのである。またいつ日本へやって来るか分からない人だからである。
その人とは、現在、英国ロイヤル・バレエ団でプリンシパルを務めているバレエ・ダンサーの平野亮一さんである。

バレエをご覧にならない方には、その名を耳にしてもピンとこない人が多いと思うのだが、平野良一さんは兵庫県尼崎市出身のバレエダンサーで、二〇〇一年、ローザンヌ国際バレエコンクールで入賞したことを契機に翌二〇〇二年に英国ロイヤル・バレエ団へ入団した。その後、長い時間をかけてキャリアを積んでいき、二〇一六年、三十二歳と遅咲きながらダンサーの最高位であるプリンシパルに昇格し、同バレエ団において、熊川哲也に続く史上二人目の日本人男性プリンシパルとなった輝かしいキャリアを誇る、日本が生んだバレエ界のスーパースターである。

私が亮一さんを知ったのは、彼がプリンシパルに昇格した二〇一六年、テレビでそのニュースを観た時だった。
それから遡ること二年前、私は以前エッセイにも書いたが、行き掛かり上バレエを習うことになってしまい、体力的には厳しいが、楽しくバレエを習っていた時期だった。そんなことも手伝い、バレエに関する知識を得ようという意欲が漲っていた時期のことだっただけに、亮一さんの存在を知るのも早かった。

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