健気なあの子
私は子供が大好きである。
近所の子供達が小さな時から、私は本気になってサッカーをしたり、野球をしたりドッジボールをしたり、カードゲームをルールも分からず負け知らずで一緒に遊んだものである。
子供は本気で遊ばないと、大人を信用してはくれないのである。
そんな子供達の中でも唯一人、今でも付き合いのある子がいる。
そんな彼も、今ではすっかり大人になり、就職と共に生まれ育った故郷を出て行ってから、早や二年になる。
今では、私の一番年下の友達、というのはしっくり来ないのだが、私は親戚のおじさんのような気分であるが、彼の方は、私のことを立場的にも年齢的にも、そして何より感覚的にも出会った時から何の変化もないらしく、幼い頃から読んでいる『あだ名』で今も私のことを呼んでいる。
彼の母親からも、
「何かあったら相談に乗ってやって下さい。 親の私よりもきっと、大祐さんには何でも話すでしょうから」
と身元保証人のような扱いを受けている私は、そんな出来た人間ではないのだが、それでもそんな風に母上から直々に御言葉を賜ると、信頼されているのだと思い身の引き締まる思いがしたものである。
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