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人生で大切なことは全て「営業」が与えてくれた

みなさんこんにちは。株式会社メドレーの田中(@DaisukeMAN)です。
#営業アドベント」の24日目を担当しています。


営業アドベントカレンダーでは、営業に関する様々なスペシャリスト達が、体系化されたノウハウ、実践的な考察、具体的で多くの共感を呼ぶエピソード等について、ときには素敵な歌声も交えながら、熱く共有してくれています。
どの様な分野であれ「営業職」に就く方々、もしくは「営業と関わることがある方々」はどの記事に目を通していただいても、決して損はしないと思います。
ただ、実践的なナレッジは他のみなさんがたっぷりと共有してくれているということもあり、僕の回では「営業とは何か?」という点について個人的な経験を振り返りつつ、少しだけエモーショナルに考えてみたいと思います。

「営業」は僕に様々なものを与えてくれた

僕は今、株式会社メドレーという医療×ITの会社で執行役員をやっていて、医療機関向けにクラウドサービスを提供する事業の責任者をしています。

※株式会社メドレーはつい先日、東証マザーズに上場しました

また、メドレーに来る前はGoogleでG Suiteの「エバンジェリスト」として年100回を超えるセミナー等への登壇を行っていました。
もしかすると、

「Googleでエバンジェリストをやっていた奴が、ベンチャーに転職して執行役員をやっていて、さらにその会社が最近IPOして…」

みたいなことを言うと、僕のことを「なんだか上手いことやってる奴」だと思う人がいるかもしれません。
最近は、少し偉そうに営業やマネジメント、各種SaaSの活用などについて発信したり、登壇したりする機会も増えてきたので、そういうのを見た人はなおさらそう感じるかもしれません。
ただ、実際は僕のキャリアにおいて「上手いこといく」ことなんてほとんどありませんでした。
これまでも、そして今現在も常にキャリア、そして人生そのものに悩み、迷い、もがき続けてきました(います)。
常に目の前には悩みがあり、なんとかそれを解決しようと汗をかきながら試行錯誤する。
時には逃げ出したことだってある。
そして少し上手くいったと思ったら今度は別の悩みが現れて、またそれを解決しようともがく。
いつだってこの繰り返しです。
今でこそ僕は、営業だけでなく事業に関わるあらゆる要素の責任を持つ立場についていますが、僕自身のキャリアを振り返るとそのほとんどがいわゆる「営業」に関係する仕事に携わってきています。
常に悩み、もがき続けているキャリアだと言いましたが、「営業」という仕事は節目節目で僕自身に、

「成長の機会」
「変化する勇気」
「人生を変えるきっかけ」


を与えてくれました。
だから僕は「営業」という仕事にとても感謝しています。
けっして楽なことばかりじゃないけれど「営業」という仕事には人生を変える可能性がある。
僕は心からそう思っています。
この投稿では僕自身のキャリアを振り返りながら、

僕自身がどの様に「営業」に対して向き合ってきたのか。
そして逆に「営業」というものが僕自身に何を与えてくれたのか。

ということについて触れてみたいと思います。
もしかしたら「営業という仕事」への僕なりの感謝の気持ちの表明、という言葉に言い換えてもいいかもしれません。

点と点をつなぐということ

スティーブ・ジョブズがスタンフォード大学の卒業式で「Stay Hungry, Stay Foolish」のスピーチを行った2005年、僕は部活に没頭するただの大学生で、
ジョブズがスピーチの中でした「Connecting The Dots(点と点をつなぐ)」という話---

『将来をあらかじめ見据えて、点と点をつなぎあわせることなどできません。できるのは、後からつなぎ合わせることだけです。だから、我々はいまやっていることがいずれ人生のどこかでつながって実を結ぶだろうと信じるしかない。運命、カルマ…、何にせよ我々は何かを信じないとやっていけないのです。私はこのやり方で後悔したことはありません。』

を聞いても、正直何も実感することができませんでした。
ただ、今この瞬間から過去を振り返ってみると、たしかに様々な点と点がつながっているんです。
そして、僕にとっては、そんな風に点と点をつなげてくれたのはまさに「営業」という仕事でした。

何も出来なかった初めての営業経験

僕は新卒で、縁があって、スパークスという独立系の資産運用会社に入社し、

「上場企業のオーナー経営者を対象に投資信託の販売を行う」

という仕事を行うことになります。
これが僕のキャリアにおける初めての営業経験になるわけですが、僕はそこで、「ほろ苦い」どころか全く成果を上げることができませんでした。
そもそも「上場企業のオーナー経営者に投資信託を販売する」というのは一新卒社員にとっては非常に難易度の高い仕事である、ということはもちろん、タイミング悪く、僕が新卒で働き始めたのはリーマンショックが起こった2008年、マーケットは荒れまくり投資信託を新規で買おうという人もほとんど見つかりません。
さらにリーマンショックの煽りを受けて会社では複数回のリストラが行われ雰囲気も最悪。仕事に取り組んでいても、全く成果を出せる気がしない。

「本当にこんなことやって意味があるのかな?」
「自分がいる意味って無いんじゃないのかな?」

僕の営業人生一年目は、そんな風に毎日毎日悶々と悩み続ける日々でした。

意外な形で訪れた初めての成功体験

悶々と悩んでいる、と言いながらも新卒で入ったばかりの会社だったので、辞めるとか転職する、といった発想は僕の中にはありませんでした。
そんな中僕は、デジタルハーツという会社に営業を仕掛けていました。
そこは発売前のゲーム等の不具合を見つける「デバッグ業務」一本で急成長し、上場までしている珍しい会社だったのですが、決算説明会で名刺交換した所からなんとか社長とつながることができて、当時の上司と一緒に、

「経営方針について勉強させて下さい!」

というアポを取り付けることに成功します。
アポの際はほとんど上司が喋り、僕自身はほぼ一言も話さなかったのですが、その後社長にメールを送ると、なぜか僕にだけ、

「田中くん、君は目がいいね!今度また来てよ!」

という返信がきました。僕としては、

「やった!なんか気に入ってもらえたぞ!これで社長に投信売れたらラッキー!」

くらいに考えていたのですが、社長に会いにいって、色々話をしてみると実は、

「田中くん、今の仕事に満足してるの?うちにこない?」

というお誘いを受けることになりました。
これは率直にとても嬉しい経験でした。よく、

「営業マンは商品ではなく、自分を売り込め」

と言いますが、履歴書や職務経歴書を見せたわけでも、自分のことを詳しく話したわけでもなかったのに営業先の社長から熱意やオーラを買われて、

「一緒に働こう」

と誘ってもらうというのは、「自分の営業活動」いや「自分という人間そのもの」の価値が認められたんだ、と感じられる瞬間でした。
その後、色々と悩みはしましたが、結局僕はデジタルハーツに転職することに決めました。
投資信託は全く売れなかったけれど、

「自分自身を売り込む」

という、ある意味ではこれが僕にとっての、

「営業としての初めての成功体験」

だったと言えるのかもしれません。

後悔と覚悟

デジタルハーツに転職して、僕はいわゆるBtoBの新規開拓営業を担当することになります。
社長から誘われて、意気揚々と転職した僕ですが、実は転職してすぐに自分の決断をとても後悔することになります。
詳細は割愛しますが、一言で言うと、

「(色々な意味で)思ってたのと違う!」

と感じてしまったからです。今振り返ってみるととても幼稚で失礼な話だと思いますが、当時は実際にそう感じていました。
そして気がついたら、

「今ならまだ間に合うかもしれない」

と考えて転職したばかりなのにネットで「第二新卒」みたいな求人を調べまくっている自分がいました。
意気揚々と転職したのに、本当に中途半端でダサかったと思います。
ただ、ある日そんな悩みを大学の先輩に相談すると、そこでめちゃくちゃ説教をされたんです。

「自分で決めたことなんだろ?だったら中途半端なことせずにまずはやりきってみろよ!逃げてるんじゃねえ!」

と。
かなりハッとさせられました。そしてそのおかげで、

「たしかに今逃げたって何も変わらない。自分にやれることをまずは全力でやってみよう。」

と自分の中で覚悟を決めることができました。
そして、一度全力で取り組むと決めたら、全然違う景色が見えるようになりました。

・取引実績のなかった某通信キャリアの口座をゼロからあけて数千万円の売上を作る
・アメリカ支社の立ち上げを担当する
・IRにも出るような事業提携を推進する

など、営業に関することはもちろん、それ以外にも様々な事業開発に携わることができて、当時の経験は今でも色濃く僕の中に残っています。

文字通り「人生を変える」出会い

仕事に全力で取り組むと覚悟を決めてから、実は仕事以外でも人生を大きく変えるきっかけがありました。
当時僕は、ある会社とどうしても取引がしたかったのですが、何もツテがなく、何度かチャレンジしたテレアポも玉砕し、途方にくれていました。
そこで、ダメ元でホームページのお問い合わせフォームから直接メッセージを送ってみたところ、その会社の役員と会うことになり、その後狙い通り取引につなげることができました。
そして、その過程でその役員とはプライベートでもとても仲良くなり、気づいたら「飲み会(=合コン)」を頻繁に開催し合う仲になり、そして後日、彼が開いてくれた飲み会で僕は今の妻と出会うことになるんです。
ちなみに僕には今、5歳、3歳、0歳の3人の子供がいるのですが、子供達の寝顔を見る度に、

「ああ、あのとき勇気を持って問い合わせフォームから営業していなかったら、僕は妻にも、そしてこの子達にも出会えていなかったんだなぁ。」

としみじみ実感する瞬間があります。

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「営業」は僕に、

「とにかくやってみるというチャレンジ精神」

そして、その結果として、

「家族というかけがえのない宝物」

すらも与えてくれたということになります。

リスクを取ったGoogleへの転職

そんなデジタルハーツで約2年半働いた後、僕はGoogleに転職することになります。
当時僕が会社で使っていたメールサーバーが全然イケていなくて、容量がすぐにいっぱいになってしまったり、検索が全然出来なかったりしたということがありました。
僕はそれがあまりに不便だったので、自分で色々と調べて、どうやら仕事でGmailが使える様になる、G Suite(当時はGoogle Appsと呼ばれていました)という便利なツールがあるらしい、ということを知って感動し、勝手に知り合いにおすすめしまくる、みたいなことをしていました。
そんなある日、なんとなくGoogleの採用ページを見てみたら、そのG Suiteに関わる法人営業部門での募集を見つけます。
いま思うと、ただ求人を見つけただけだったんですが、当時の僕は、

「この仕事はまさに僕のために用意されたものだ!」
「これは運命に違いない!」

と、とても興奮したことを覚えています。
当時の僕にとってGoogleという会社は、何のツテもなく、完全に謎に包まれた会社に見えていたのですが、思い切って真正面から履歴書と職務経歴書を送ってみたら意外とすんなりと面接に進めることになりました。
それまでの営業経験の中で、

「思い切って真正面からアプローチしてみたら意外とうまくいくことが多い」

という成功体験があったことは、僕に「一歩を踏み出す勇気」を与えてくれました。
面接プロセスでは、僕のG Suiteへの情熱と、営業や事業開発の経験を一生懸命に伝え、比較的トントン拍子で最終面接まで進むことができました。
ただ、待てど暮らせど、選考結果の連絡が来ません。

「やっぱりダメだったのかな。。」

そう諦めかけていたら、僕についたリクルーターから、

「今年は北米で人を採り過ぎてしまい、ヘッドカウントがなくなってしまいました。だからあなたを採用することはできません。」

と言われました。いわゆる外資で言う「ヘッドカウントクローズ」ってやつです。そして同時に、

「ただ、半年間という期限付きのコントラクター(≒派遣社員)の枠なら空いているので、その枠で入社して成果を出して、その時ヘッドカウントが空いていれば正社員になるチャンスがあるんですが、どうですか?チャレンジしてみますか?」

とも言われました。

「いや…多分って何だよ?!しかも期限付きって、もしヘッドカウントがオープンにならなかったら一体どうなっちゃうんだよ?」

と、めちゃくちゃ不安を感じながらも、当時の僕はどうしても、

「自分が心から惚れたツールを世の中に広めるという仕事がしたい!」
「人生やキャリアを大きく変えるきっかけを掴みたい!」

と強く思っていました。だから、

「はい。それでもいいので入社します。」

と言って、僕なりにリスクをとって、Googleに(派遣社員として)転職することを決めました。

はじめてのインサイドセールス

Googleに入って僕が最初にアサインされたのは、G suiteの中小企業向けのトスアップ型インサイドセールスの仕事(今で言う「SDR」ってやつ)です。
当時(2011年)、G Suiteを扱っていた部門は大企業向けには営業の人数もそれなりに存在し、ある程度しっかりしたプロセスもあったのですが、それと比べて中小企業チームは完全にカオスな状態でした。

・数ヶ月間放置されている問い合わせ
・メールもコールもされていない大量のイベントリード
・誰からもフォローされていないトライアルリード

などが、Salesforceにごちゃごちゃに入っていて、しかもそれを対応するのは実質僕一人しかいないという状況。正直初めはかなり面食らいました。ただ、

「僕には半年しか時間がない。ここで認めてもらわないと僕に未来はない。」

という強烈な危機感から、自分ができそうなこと、思いつくこと、調べたこと、人からアドバイスされたこと、これらを片っ端から全部やることにしました。
初めは優先順位の付け方も全然わからなかったので、

「とにかく電話をしまくる」

ということしか出来ませんでした。電話をかけると、

「Googleが直接電話してくる訳ないだろ!絶対詐欺だ!訴えるぞ!」

と罵倒をされることもありました。数ヶ月放置されている問い合わせリードに電話したときは、

「一体どれだけ待たせるんですか?あなた達のことは全く信用できません。もうとっくに他社のサービスを導入しました。」

と呆れられることもありました。
ただ、あれこれと試行錯誤する中で、

・電話だけでどの様に顧客に思いを伝えるのか
・Salesforceを活用した優先順位付けの方法
・生産性の高いオペレーションの回し方

といったことを自分なりに学び、そしてチームに対して発信していくことが出来るようになりました。
結果としてその働きが認められ、派遣社員として入社してから3ヶ月後、今度は正式に正社員としてGoogleに入社することになりました。

SaaSセールスのあらゆる職種を経験し、「エバンジェリスト」へ

その後僕は、

・オンラインセールス
・パートナーセールス
・フィールドセールス(従業員2000名くらいまでのミッドマーケット担当)

と、いわゆるSaaSの営業職にまつわるほとんど全てのポジションを経験することになります。

オンラインセールスでは、データを活用した効率的なセールスオペレーションの遂行を、
パートナーセールスでは、顧客だけでなくパートナーさんのビジネスといかに向き合うのかを、
フィールドセールスでは、外資特有の厳しくも緻密なForecastを、

それぞれ身をもって経験し、苦労する中で徐々に体得していくことができました。

また、いわゆる一般的な営業活動だけではなく、自らウェビナーやセミナーを企画し、それに登壇し、顧客獲得を行う、ということにも積極的にチャレンジしました。
ウェビナーでのプレゼンデビュー戦では用意した原稿を一言一句同じ様に読み上げあることしか出来ませんでしたし、リアルセミナーのデビュー戦ではアンケートで酷評され、自分の不甲斐なさに悔しくて涙したこともありました。
ただ、不甲斐ないままで終わりたくなかったので、プレゼンテーションというものと徹底的に向き合い、練習し、上手い人の話し方をパクリ、自分で無理やり登壇の機会を作り、場数を踏み、試行錯誤を重ねる中で、徐々にプレゼンテーションのスキルも向上していきました。
そして気がつけば、お客さんやパートナーさんから多くの「ご指名」をいただけるようになり、会社を代表する「エバンジェリスト」として年100回を超えるペースでセミナー等に登壇するようになっていました。
(ちなみにこれは、営業としての予算をクリアした上でプラスαの活動としてやっていました。)

そしてメドレーへ

そんな風に、Googleでは元々インサイドセールスの派遣社員として入社した所から、少しずつ、少しずつ、出来ることを増やしていき、最終的には「エバンジェリスト」としてそれなりに大きな影響力を持つようになっていました。
ある意味自分のキャリア史上、最も絶好調な時期を過ごしていたわけですが、僕はそのタイミングでメドレーに移ることを決意します。
(なぜそのメドレーに移ることにしたのかは下記の記事に詳細を書いていますのでぜひご覧下さい。)

そして今現在は冒頭にも記載の通り、医療機関向けにクラウドサービスを提供する部門の事業責任者として、顧客/メンバー/プロダクトと向き合いながら「医療ヘルスケアの未来をつくる」ために日々汗をかき続ける毎日を過ごしています。

営業とは何か?

これまでに書かせてもらった様に、僕は今に至るまで常に自分自身のキャリアというものに悩み、迷い、そして壁にぶつかってきました。
そして僕はそんな中で、「営業」という仕事と真剣に向き合うことで、自分自身のキャリアにおける壁を乗り越え、その結果として新しい経験や公私を問わず、素晴らしい出会いを得ることが出来ました。
今、この国には800万人以上の「営業」に関わる職種の方がいるそうです。
満足のいく成果を上げて充実した日々を送っている人もいれば、なかなかやりがいを見つけられずに悶々とした日々を過ごしている人もいることでしょう。

「こんなことやって意味あるの?」

と自暴自棄になっている人だっているかもしれません。
かつての僕もそうでした。
ただ、「営業」という仕事は真剣に向き合うことで、必ず何かを返してくれます。
それは必ずしも「今すぐに」じゃないかもしれないけれど、いつか未来から過去を振り返った時に、

「ああ、あの時頑張ったことには、こんな意味があったんだな。」

と気付く瞬間が必ず来るはずです。
それは、キャリアアップ、という形なのかもしれませんし、もしかしたらプライベートなパートナーとの出会い、という形なのかもしれません。
ただ、必ずそういう瞬間は来ます。僕が保証します。

さて、改めて「営業」とは一体何なのでしょうか?

営業とは何か?

それは、

「新しい出会いを紡いでいくということ」

営業とは何か?

それは、

「人生を切り開いていくということ」

営業とは何か?

それは、

「点と点をつなぐということ」

「営業ほど素晴らしく、可能性に満ちた仕事はない」

僕は心の底からそんな風に思うんです。

「営業」に関わる全ての人に。メリークリスマス。

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