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【アルビ日記】2023-16:vs湘南 2-2

「ひとつ飛ばす」

試合情報

・6/3(土)15:00キックオフ
・@レモンガススタジアム平塚。晴れ
・新潟2連敗中、湘南は5月全敗と不振にあえぐ

アルビレックス新潟・スタメン

GK小島享介。DF新井直人、千葉和彦、渡邊泰基、田上大地。MF高宇洋、秋山裕紀、三戸舜介、伊藤涼太郎、小見洋太。FW谷口海斗。
【途中出場】ダニーロ・ゴメス、シマブク・カズヨシ、鈴木孝司、星雄次。

試合ダイジェスト

【前半】
開始早々、湘南左からのクロス、PA内で千葉の手にあたりPK判定。町野が決め湘南先制。30分、新潟が同点に。バイタルエリアで左からパスを受けた伊藤が中央にスルーパス、横から走り込んで受けた谷口がワンタッチターン、右足で流し込んだ。1-1で前半終了。

【後半】
62分、新潟が逆転に成功。左CK、伊藤のクロスがニアの密集を越え、ファーでマークを振り切った谷口が右足で合わせた。83分、こんどは湘南が追いつく。阿部がPA内で受けて前を向き、ラインギリギリで抜け出した左の小野瀬へ、小野瀬が右足を振りニア上部に叩き込んだ。VARチェックが入るがゴール判定。2-2で試合終了。

湘南の3-5-2

湘南の3-5-2がけっこう好きだ。札幌や広島もそうだけど、3バックのチームはどこも特徴があっておもしろい。

湘南の山口智監督は、ガンバ大阪の黄金時代にDFラインの主力として、宮本恒靖やシジクレイと3枚の城壁を築いていたイメージが強い。

湘南の3バックは、あの時の3枚と重なる気がしなくもない。中盤の守備力、両ワイドの運動量も含めて。

湘南は今不振にあえいでいるが、開幕からしばらくは絶好調だった。今日見てもぜんぜん良くないサッカーではない。全員がファイトするし、守備の統制もとれているし、いいチームだった。

ただちょっとこの試合は、細かいミス、ズレが多かった(アルビも含めて)。うまくいっていないチームのメンタリティは、こういう細部に現れるのかもしれない。

湘南がとったアルビのビルドアップ対策は、興味深かった。

アルビのCBやGKが持っているとき、湘南は2トップと、2列目の小野瀬またはタリクの3枚で、中央をギュッと封鎖する。アルビのボランチへの門は、いつも以上に開いていなかった。

これに対しアルビは、秋山が降りて組み立てに参加したり、右SBの新井が絞ってパスを受けたりという工夫をしていたが、低い位置からボランチを飛び越えて前を狙う、というシーンが増えることで、組み立ての精度を欠く場面が多くなった。

ただ、ここを抜けてアルビが前めに押し込みながらボールを持てると、湘南の3バックに対してアルビの2列目3枚+1トップは数的優位に立てるはずだった。

ここが勝負どころだったわけだが、そうできた時間帯は今日もずいぶん少なかった。

ビルドアップを危険なものに

前節同様、早々に先制点を許してしまった。これでゲームプランは多少なりとも崩れる。

が、持ち直した。湘南の対策もちゃんとハマっていたが、どうにか迂回するルートを作って、前にボールを運んでいた。

秋山と高は、なんとか自分たちのところで受けようと、顔出しの工夫をずっとしていた。

J1ではどのチームも、ボランチの経由点を、レインボーブリッジ並みに封鎖してくる
このボランチを経由できないと、アルビのサッカーを理想的な形で成立させるのは、なかなか厳しい。

かのバルセロナは、アンカーのセルヒオ・ブスケツを経由するところから攻撃を始めていたが、ここ数年、そこはどのチームも完全に塞ぐようになった。
ブスケツはマーカーを従えながらピッチ中央をふわふわ浮遊するような格好になることが多いが、バルセロナはGKから大きく開いたサイドバックへ、とか、CBからウィングへ、というひとつ飛ばしのパスが上手。

ここで相手を背走させ、中央のブスケツはリターンパスを前向き状態で受けたりする。そこから多種多様な展開が繰り広げられる。

(ブスケツが今季限りでバルサを去るのはほんとうに切ない)

アルビももちろんそれは狙っていると思うが、成立していることが少ない。
長い距離のパス交換になるので、キックやトラップの精度はもちろん、出し手・受け手の呼吸や意思の共有ができないと難しいプレーだ。

直接ボランチに預けるのではなく、ひとつ飛ばして出し、その上でボランチを経由する。これを繰り返すと、こんどは相手が嫌がって、ボランチの脇は少しずつ空いてくるはず。

それから今日は、センターバックからFWや前線に鋭く差し込む縦パスが少なかった。
湘南の封鎖も関係していると思うが、ちょっと歯車が噛み合いづらかったというのもある。

2試合連続で先制失点に絡んでしまった千葉からは、いつものようなトリッキーな球出しが減った。CBで開花しつつある渡邊泰基も、まだ安全策の横パスに終始、勝負のパスは少なかった。

ボールの「刺しどころ」が少なかったというのもある。カウンターの起点が伊藤涼太郎一辺倒になる時間帯があって、湘南も当然そこを潰しに来ていた。

この「刺しどころ」をもっと増やしたい。裏抜けと間で受ける人のバランスとタイミングがもっとグッと合ってくると楽しいはず。

「刺しどころ」を増やし、刺すべき時に刺す

アルビの文化であるビルドアップを、相手にとってより危険なものにするために、「ひとつ飛ばし」と「刺しどころ」の感覚を研ぎ澄ませてほしい。



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