見出し画像

【アルビ日記】2023-14:vs鳥栖 0-2

「ゴールは遠く」

試合情報

・5/20(土)17:00キックオフ
・@駅前不動産スタジアム。晴れ
・新潟12位、鳥栖13位

アルビレックス新潟・スタメン

GK小島享介。DF新井直人、舞行龍ジェームズ、千葉和彦、堀米悠斗。MF高宇洋、秋山裕紀、三戸舜介、伊藤涼太郎、高木善朗。FW鈴木孝司。
【途中出場】谷口海斗、小見洋太、ダニーロ・ゴメス、トーマス・デン、島田譲。

試合ダイジェスト

【前半】
右CKから鳥栖が先制。手塚の左足クロスを小野がニアで合わせた。その後新潟がリズムを崩し、気持ちよく繋げない時間帯が続く。0-1で前半終了。

【後半】
HTで新潟は1トップを鈴木→谷口に交代。新潟がボール保持する展開だが鳥栖も集中した守備。75分CK、ニアに飛び込んだ鳥栖・河田が頭を蹴られVARによりPK獲得。自ら決め、鳥栖が2点目。そのまま0-2で試合終了。

鳥栖のプランB

鳥栖フューチャーズの頃から、ひそかに鳥栖を応援してる。

おそらく予算もそんなにない中、J1に残り続けるだけでなく、存在感を示し続けている南の小チーム。いつも理想に燃えたサッカーをしている印象もある。きっと佐賀県鳥栖市はサッカーの街なんだろう。いつか行ってみたい。

鳥栖の川井健太監督は若い。クールな智将というイメージがあるが、インタビューを読んだり言ってることを聞くと、「ストーリー」というキーワードも出てきて、人間味あふれる側面も垣間みられる。

日本代表の森保監督もそうだが、冷静にメモを取ってるようにみえてロッカールームでは熱く檄を飛ばしたり、逆に熱血漢そうな人が緻密な戦術家だったりと、サッカーの監督は見た目と実際にギャップがあることが多い。いやこれは人間ぜんぶに言えることなのだろうが。

鳥栖はやっぱりいいチームだった。立ち位置は洗練されていて、球際にも力を込められる。気が利く選手が何人もいる。
中盤の3枚(河原創、手塚康平、森谷賢太郎)はおそらく役割も立ち位置も明確でなかったのかもしれないが、絶妙なバランスをとっていた。

この中盤3枚のポジショニングが効いていたのだと思うが、鳥栖のハイプレスのかけ方が秀逸だった。
ボランチ付近でブロックを敷いて睨むわけではなく、1トップの小野や両ワイドの岩崎、堀米がアルビのCB、さらにはGK小島にアタックをかける。これをやると中盤のどこかは空くはずなのだが、高や秋山のところにも鳥栖の中盤がついている。アルビのサイドバックは、鳥栖の両ワイドが背中で消すということを意識していた。裏は鳥栖のCBと、アンカーの河原がケア。

前に意識をもたせ強度も担保しつつ、全方向ケアできる、攻撃的なプレッシングだった。

鳥栖は今日4バックだったが、3バックの方がお馴染みなチーム。プランBとも言える4バックで対アルビの作戦がここまで浸透している。選手たちの戦術理解度の高さがよく分かる。

適応とその先

鳥栖にはコーナーキックからニアで勝負され2失点。練られたプレーで、してやられた感はある。セットプレーやっぱ大事だな。

アルビOBの河田篤秀の2点目は、悔しいなかにもちょっとした感傷があった。チームを渡り歩きながら、がんばってる。今日も気持ちの入ったプレーをしていた。

アルビは前半の失点後、リズムを崩した。アルビのパスワークは細かく高度なので、ちょっとしたズレが大きな弛緩を生む。そんな大きなミスではないけど、うまく繋がらない、タイミングが合わない、という場面が散見された。改めてアルビのサッカーの難しさを感じた。

それでも前半の終盤から後半にかけて、自分たちでリズムを取り戻した。さすが。

修正力というか適応力というか、確実に練度が上がってきている。対策されて、鳥栖のようなハイレベルな守備をされても、それを技でひっくり返す力を今のアルビはもっている。

秋山裕紀はあまり消えることなくボールをよく受け、リズムを作った。長短のパスの精度はやっぱいい。裏へのロングパスは2本ほど絶品のものがあった。

左サイドで先発した高木善朗は、裏へのランニングを何度も繰り返した。中央に構え、間に顔を出したい伊藤涼太郎とのバランスを考えて、意識的にそうしていたようにみえた。高木が裏に引っ張る、伊藤が引いて顔を出す、という組み合わせ。高木の大人のプレーが光っていた。

ピッチ上でひとりひとりが考えて、用意された戦術・戦略を乗り越えていく様子はとてもスペクタクルだ。

相手の作戦があり、それを乗り越える。その醍醐味は味わえた。

あとはその先。今日は鳥栖ゴールが遠く感じた。
外側からの丁寧な崩しを狙うアルビに対し、鳥栖の守備の集中力。とくにPA内のポケットに入れない、バイタルエリアを使わせない、というチームの守備意識の統一があった。
さらに引き込んでひっくり返す、アルビのお家芸とも言えるカウンターもしっかりケアされていた

「決定力」という単純な言葉で片付けてはいけない。もう少しゴールに近づきたかった、という感じか。
アタッキングサードで、使いたい場所がうまく使えていなかった

良いサッカーはしているし、方向性も見える。今日は鳥栖も良かった。ほんの少しの歯車で、劇的に変わる可能性を秘めているのがアルビのサッカー。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?