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橋本のクソ映画レビュー「大怪獣のあとしまつ」~本当にデビルマンを超えたのか?~

※一部ネタバレあり!これからDVDで楽しみたいって人は注意してください。

SNSを中心に話題沸騰だった映画「大怪獣のあとしまつ」、公開終了目前でしたが、やっと見に行くことが出来ました。
まぁ、話題沸騰と言っても皆さまご存知の通り、ダメな方向で話題になってたんですけどね。
やれ「今世紀最大のクソ映画」だの、「デビルマンを超える逸材」だの、公開初日から皆さん大騒ぎでしたね。
デビルマン超えとか安易に言っちゃって、ホントにちゃんとデビルマン見たんですか?ファスト映画で見た気になってませんか?って正直なところ思っておりました。
そこまで言われるとクソ映画ハンターとしては気になるんですよね、やっぱり。
なので、公開終了目前ではありますが観てきました。通常料金払うの嫌なのでレイトショーで。帰ってきたら日付変わってましたよ。

さて、結論から申し上げます。
ビックリするぐらい面白くなかったです。いやもう逆に凄いですよ。
謎の大怪獣が突如世界を襲ってきて、人類滅亡の危機に瀕していた時に謎の光に包まれた怪獣は絶命。世界に平和が訪れたかの様に見えたが、絶命した怪獣の中で膨張する腐敗ガスが、このまま放置を続けると爆発し、大災害となる事が判明。一難去ってまた一難の人類の危機に、人々はどう立ち向かうのか?
こんな極上の設定と着眼点を使っておいて、何でこんなモノが出来上がるんですか?
A5黒毛和牛と無農薬野菜と調味料一式と調理機材一式を渡して、これで好きに調理してくれって注文したらレトルトの牛丼渡されたみたいな感覚ですよ。

一体何がダメだったのか?真剣に考えて自分の中で整理をしてみました。
まずは何と言ってもギャグがとにかく寒い。
随所随所で笑いを取りに行こうとギャグが挟まるんですが、どれもこれもクスリとも笑えない。どれぐらい笑えないかって、つい数時間前に見てたはずなのに、何も思い出せないぐらい何の印象にも残らないギャグばかりなんです。
普通面白くなくても「あれはつまんなかったなぁ」って思い出せると思うんですけど、思い出せないんです。それぐらい中身が無いんです。
まぁ、クスリは無くても毒はあったかもね!ガッハッハッ!
…今凄くつまんない事言ったなこいつって思ったでしょう?これがずっと続く感じです。
そんな状況なのに、誇張し過ぎた芝居がかった言い回しで、その寒すぎるギャグをやるから悪い方向にシナジー効果が発揮しちゃってるのがどうしようもないですね。役者さん達が演技上手い人達ばかりなのも余計にダメなエネルギーを上乗せして追加ダメージになってますね。
それに加えて下ネタがとにかく最悪。私は下ネタ好きな方なんですが、その事を考慮しても最悪でした。全く言う必要のない下ネタ程、嫌悪感を抱くものは無いですよ。脂ぎったおじさんが言うから余計に酷い。
中学男子が覚えたばかりの放送禁止用語を突然大声で言う事ってあるじゃないですか?真顔で酒も飲んでない大の大人がそれやってるレベルだと思ってください。
特にキノコの下りはマジでいらないと思いますね。アレ、本当に面白いと思って言わせたんですか監督?名優・西田敏行に。
怪獣の腐敗ガスの臭いがう〇こかゲ〇かで問答するシーンなんて下ネタ通り越してただ単にお下劣で下品なだけで、その尺要る?って本気で思いましたね。

何よりも反感を買っている部分は「怪獣へのリスペクトの無さ」では無いでしょうか。
「怪獣」をコンセプトに持ってきているなら怪獣ならではの味付けが必要だとは思うんですが、この作品の場合、これ別に怪獣じゃなくてUFOでも未知の爆弾でも巨大ザメでも成立しちゃうんですよ。
巨大ザメにしとけばサメ映画って事で救いはあったかも知れないですね。
ホントに怪獣は終始置物です。まぁ死体なんでオブジェと言えばオブジェなんですけども。せめて生前どんな暴れ方をしたのか、どんなビームを出したのか、国防軍はどれぐらい歯が立たなかったのか、そういったフラッシュバックのひとつでもあれば良かったんですけどね。
ウルトラマンだって最初は無意味なのわかってても科学特捜隊が頑張るじゃないですか。科特隊が出てこないでいきなりウルトラマン来たら、あれ?ってなるじゃないですか。怪獣VS人間は怪獣を題材にした作品なら必須だと私は思うので、怪獣映画としては本作はカウントし難いですね。

他にもいらないなと思ったのは恋愛要素。
これは大衆向け邦画なので仕方ない部分はあるとは思うんですが、いらないと思った理由が不倫不倫でまた不倫。
普通の恋愛描写ならまだいいんですが、恋愛が絡む部分が全部不倫!
しかも何故その様な関係になってしまったのかの説明も一切無し。とりあえずキスさせとけって感じで所構わずキスするんですけど、キスの回数のノルマでもスポンサーから決められてたんですか?監督。
しかもその不倫現場も策略的な何かを引き換えにする場面が多いです。不倫するにしても普通に不倫しろ!!
恋愛するならせめて普通にしてください。アラタ(主人公)と後輩の恋愛描写だったら私は「まぁ邦画だしな!」で片付けてましたね。

ここまで散々言ってきましたけど、褒めれない部分が無い訳では無いです。
オダギリジョー演じるブルースが先陣を切って行うダム爆破のシーンは普通に面白いと思いましたし、結構鬼気迫る感覚はありました。
全体の尺で見れば滅茶苦茶短いんですけどね、このシーン。
また、前述の怪獣へのリスペクトの話になるんですが、造形側は怪獣へのリスペクトを感じ取る事が出来ました。むしろ愛さえ感じれます。
ゴジラの様でゴジラじゃない、かと言ってただ単にデカいだけのトカゲや恐竜って訳でもない、異形としての怪獣の造形を作っていると思います。
この怪獣「希望」って名前らしいんですけど、せっかくこんなに怪獣怪獣してるんですから、もっと別のちゃんとした名前にしてあげてください。死体蹴りにも程があります。
他に褒めるところですか?山田涼介の顔がいいってのと、土屋太鳳の顔がいいってぐらいしか…

あ、衝撃のラストに関してはあえて何も言いません。
予想でき過ぎて今までの茶番が本当の茶番になったとだけ。

さて、前置きが長くなりましたが本題です。
本作はデビルマンを超えているのか?」という事なんですが…
前述の通り、俳優さん達の演技も、誇張した表現を除けば非常に素晴らしい。この時点で本作はデビルマンに負けてるんですよね。
デビルマンは演技の時点で既に大変な事になってましたから。一番演技上手いのがボブ・サップなんだぞ。
この作品がデビルマンに勝っているところなんて上映時間ぐらいです。
デビルマンは1時間52分、本作は1時間55分。3分も長く拷問が続くなんて発狂モノですよ。
ただ、デビルマン超えは言い過ぎだとしても、脚本や演出、話のくだらなさ等、どこを切り取ってもデビルマンに匹敵するレベルだと私は思います。
デビルマンは偉大な原作があるのにアレっていう大きな強みもありますしね。
しかしデビルマンに匹敵ですか…。忌み子は二人も要らないのにどうして…。

かくして、「令和のデビルマン」の異名の通りとも呼べる内容でしたが、通常料金で見ていなくて本当に良かったと思いました。
1900円も1300円も大差ありませんが、600円あれば酒買って忘れる事が出来ますからね。
以上を持ちまして、「大怪獣のあとしまつ」の後始末とさせていただきます。

余談なんですが、私の座席の前の女の子達、会話の内容から察するに、この映画を何周もしてるみたいだったんですよ。
山田涼介の顔面が観たいなら他に方法あるだろ…!!

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