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「文化財のDX化」に挑戦したらいろんな人が巻き込まれて新たなビジネスが始まりそうになった話#私の働き方実験#最終報告書

時が経つのは早いもので、6月に始まったLenovo指定企画「スマートグラスで働くのウェルビーイングは高まるのか?」という社会実験がとうとう今月、終わりを迎えます。

私の実験でのスマートグラス被験者の人数は30人を超える大所帯となりました。ホントはこの場でいろんな人に感謝を伝えたいが、それをやると研究報告書としてのまとまりが無くなりそうなので控えておく。

さっそくだが以下、最終報告書とする。

◆実験のテーマ

文化財のDX化で、「文化財の保存・存続・継承」をもっと近代的に、効率化出来ないか?
手軽に教則ビデオを作る&鑑賞できる環境を育てることで、よりウェルビーイングな形で文化財の育成・運用プロセスに寄り添えると考えていた。
今までは、どうしても教える側と学ぶ側が、「同じ場所で、直接」、指導をする・受ける必要があったため、互いの時間と場所を共有する必要があった。
スマートグラスを用いることで、直接接触でなくても時間と場所に縛られることなく、IT×文化財で、文化財の保存・存続・継承に寄与出来ないか?
IT×文化財による、「新たな価値の創出」を期待。

◆実験の目的と背景

中間報告書から引用するが、3年間続いた「コロナ禍」により、長年、毎年同じ日に公開されてきた文化財の公開を泣く泣く見送った文化財がたくさんあった。
埼玉県指定 無形民俗文化材 やったり踊り も、その一つ。
他の文化財同様、コロナで集まることもできず、後継者に教えることもできなかったため、文化財の技能継承に苦慮している。
今回の実験では、スマートグラスを活用することで、文化財を独自のITアプローチで守る&伝える先進的な事例が作れないか?という思いから応募した。

◆検証したいこと

コロナ禍のおかげ(!?)で、ITの進歩・浸透が各家庭レベルで成長できたことで、「教則ビデオを作る&鑑賞できる環境」は思っていたよりも整っていた。
しかしながら、「教える側が伝えたいこと」と、「教わる側が 自分は出来ている と思っていること」の乖離が発生しやすくなっていることに気付いた。
直接接触でなくても時間と場所に縛られることなく、技能継承が望めるようになると期待していたが、「同じ場所で、直接、指導を受けることがなくなると起こる弊害」とも感じた。
そこで、実験の環境自体が、当初の想定とは変わり「with コロナ」の新時代に変わっていたため、検証内容を変更し、スマートグラスを用いることで、「先生と生徒が、客観的な視点で、同じ動作が出来ているか」を、「リアルタイムで生徒に見せ、反復して修正していく」ことで、
「指導時間の短縮=”技能向上”に使える時間の増幅」に繋げたいと考えた。

◆この半年間やったこと

無線化されたスマートグラスを用いて、各団体の練習にお邪魔してきた。
スマートグラスの無線化は、マッツ氏の協力を経て実現した。

8月のアイディアソンでチーム作りをし、マッツさんの他に、みつばちさん、なべちさん、もりやまさん、が「だいすけさんチーム」に加入を表明してくれた。いつの間にか、気付けば14人の大所帯に(笑)。その後、春日部市教育委員会でもある研究員のもりやまさんを通じ、春日部市内の文化財が一堂に会する場を作ってもらい、練習日にスマートグラスを使った練習の効果検証をしたい旨を伝え、二団体(赤沼の獅子舞、銚子口の獅子舞)が挙手してくれたため、その二団体の練習にお邪魔して、効果検証をしていくことに。
その時の記事がこちら↓  この時の実験で大きな発見と反省があった。

この二団体を通じた実験で、スマートグラスの装着者が見ている映像には、最大で5秒程度の遅延が発生していることが分かった。
この遅延問題だが、「リアルタイムに生徒に映像を返す」ことが出来なければ、「無線化されたスマートグラス」を使うメリット自体が消えてしまうため、絶対に解決しなければならなかった。端的には、「スマホからスマートグラスへの映像の伝送速度を上げる」のが標準的だ。要は、マシンのスペックを上げれば解決する。
だが、それではコストばかりが嵩張ることになる、と考えて、しばらく悶々としていた時、神の思し召し!?かと思うようなひらめきが!笑

スマートフォンのカメラの設定である。
多くの場合、「きれいな写真・動画」のために、4k/120fpsが標準設定となっていると思うが、そうするとデータ容量が大きくなるため、これを720p/30fpsに最小化した。720p/30fpsだと、画質が荒いのでは?とか、動画が細切れになるのでは?とか思うかもしれないが、実際にスマートグラスの中で見る画像はFHD画質でフレームレートも動画視聴には必要十分な品質があるため、実際のところ、それほど見辛くないのである。
その結果が↓である。

かくして遅延の最小化に成功したので、満を持して自身の所属する文化財「やったり踊り保存会」の会議でお披露目。その時のNOTE記事は↓

そして、もう一度銚子口獅子舞で実験してもらった。
遅延が解消されたことで、多くの人が試してくれた上に、各人が「良い!」と言ってくれたのは嬉しかった!この実験に手応えを感じた!

◆実験結果:当初の期待を大きく超えた新しい価値を生み出そうとしている

実験開始当初に期待していた、IT×文化財による、「新たな価値の創出」は、先述したとおり、もともとの期待を大きく上回る形で、今後の活用方法に注目が集まっている。そういう意味では、ITと文化財の親和性の高さを証明することが出来たので、実験としては大いに成功と言える。
しかし、今、この無線化されたスマートグラスを使用して、特定の人物同士を対比させる方法は、文化財の域を大きく超えて、新しい領域に進もうとしている。
「リハビリ事例への応用方法」を模索中なのである。

先にも述べたが、この無線化されたスマートグラスに映し出されるのは、「講師と生徒」をもともと想定している。「リアルタイムに、動作の修正を反復練習させる」ことが出来るようになるため、そのまま、立場を置き換えると、「理学療法士とリハビリ患者」にも出来る。「理学療法士の指導」と、「患者の体の使い方の違い」を、「患者が見える様に可視化し、リアルタイムで体の使い方を反復修正していく」ことをターゲットに、U氏がGoogleMediaPipeのサンプルを基にして骨格認識用のアプリを開発してくれたので「リアルタイムに棒人間化」プロジェクトが始動出来るところまで来ている。

今までは、理学療法士が、させるだけ、で、患者は、させられてるだけ、になりがちだったものを、患者が自分の体の使い方がどうなってるのかを無線化されたスマートグラスで棒人間化し、可視化することで、リハビリ効果の促進に繋げ、リハビリ期間の短縮に繋げられないか?というものだ。

生き残った者の使命と感じずにいられなかった。

実は私は三年前に脳幹出血で死にかけたことがある。
最近だとBuckTickの櫻井氏が亡くなったことで注目を浴びた病気と全く同じだ。
そして、そのリハビリは、私の場合、右半身麻痺の状態から始まった。
正直、めちゃくちゃ辛かった。自分の体が思うように動かせない、どころではない。動かしたくても動かない、のだ。
退院時に病院から依頼されて「お便り」も寄稿した(4ページ目)↓

https://www.keiaikai.com/about/pdf/amakusa_news98.pdf

そんな経験もあったため、無線化されたスマートグラスで患者を棒人間化したら、リハビリにも応用できるんじゃないか?というところから、今回の「リアルタイムに棒人間化」プロジェクトが始まり、ノリにノッたU氏が超超超短期間(11/29~12/18)でサンプルアプリ(本人は99%が、GoogleMediaPipeで、「Uが開発」とまでは言い過ぎと謙遜されてましたがアプリが作れない私からしたら寧ろ神!)まで作ってくれたのである。感謝してもしきれない!

無線化されたスマートグラスは世界中の人々を救うハズ!

良くも悪くも、リハビリが必要な状態になる人は世界的に見ると24億人超(2019年調べ)で、需要の多さは窺い知れる。一方でリハビリに必要な設備(鏡貼りの部屋とか廊下に姿見の鏡とか)は、そう簡単には揃えられないことは明白である。が、この無線化されたスマートグラスを使うのなら、そういったファシリティ関連の出費を抑えながらにしてリハビリに必要になる環境を用意できるようになるのである。
スマートグラスが約$500、無線化に必要なアイテムが高くても約$150、スマホが約$700~$2000(そんなに高くなくても大丈夫だけど)程度だ。

その一方で、現在すでにそういった設備を揃えてあるところにも、今までに無いリハビリの方法として紹介していくことが可能だと信じている。
少しでもリハビリを効率化し、多くの人に、「失ったものを取り戻す喜び」を提供することでこの世界に貢献できたら、と、夢に見始めたところだ。

実は実験は終わらない(苦笑)

最終実験は、来年度のやったり踊りの小若練習期間に、独自で実行します!
もしあたらぼ関係者でもレノボの方でも、興味のある方はご連絡ください!
実験に立ち会えるように調整します。子供多数なので写真の角度などは注文が入るかもしれませんがご了承願います。

2024年度やったり踊り練習日程
2024年6月~7月12日:やったり踊り小若練習(6月上旬から毎土日、全10回程度を予定)

2024年度やったり踊り催行日:7/13(土) 春日部市大畑西光寺~香取神社

編集後記:SPECIAL THANKS TO ”ふたり”

正直この二人が居なかったら実験などは、夢のまた夢でしたので各人のnoteをご紹介!

マッツさん:Mat'zの好奇心爆発|note
マッツさん、無線化の段取り、アイテムの提示等、ありがとうございました!

もりやまさん:もりやま|note
もりやまさん、他の文化財との調整、ありがとうございました!実験への同行も!上司のN野さんにもよろしくお伝えください!笑

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