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絵画の歴史 その1ラスコー壁画からルネサンス期まで

ちょっとアートを考えるにあたって、そもそも絵画の歴史を少し振返っておきたいと思います。そもそも過去はどのような思いでアート作品を作成してきたのかとか、アートに何が求められてきたのかとか、技術革新がアートにどのような影響を与えてきたのかなどを考えることは、自分の創作活動にも役立つような気もします。

最も古いアートはラスコー壁画?

世界史の初めに勉強する人類(旧人類・ネアンデルタール人)の誕生が50万年前ぐらいと言われていますので、そのころから気が赴くままに落書きとかしていたと思いますが、残念ながらその絵画は残っていません。

現存する最も古いアート(絵画作品)はラスコー壁画だと思います。それでもかなり古く、2万年前です。想像もできないですね・・・ちなみに、ラスコー壁画を描いたのは新人類(クロマニョン人)です。これも世界史の教科書に出てきますよね(笑)

ラスコー壁画(ウィキペディア(Wikipedia)より)

ラスコー洞窟(ラスコーどうくつ、仏: Grotte de Lascaux)は、フランスの西南部ドルドーニュ県、ヴェゼール渓谷のモンティニャックの南東の丘の上に位置する洞窟である。先史時代(オーリニャック文化)の洞窟壁画で有名である。ラスコー洞窟の壁画は、アルタミラ洞窟壁画と並ぶ先史時代(フランコ・カンタブリア美術)の美術作品である。これは1940年9月12日、モンティニャック村の少年が、穴に落ちた飼い犬を友達3人と救出した際に発見された。洞窟の全長は200メートル程度。地下に長く伸びる洞窟は枝分かれし、壁画が集中している大空間などがいくつかある。洞窟の側面と天井面(つまり洞窟の上半部一帯)には、数百の馬・山羊・羊・野牛・鹿・かもしか・人間・幾何学模様の彩画、刻線画、顔料を吹き付けて刻印した人間の手形が500点もあった。これらは20,000年前の後期旧石器時代のクロマニョン人によって描かれていた。炭酸カルシウム形成が壁画の保存効果を高めた「天然のフレスコ画」と言うことができる。

ウィキペディア(Wikipedia)より

ラスコー壁画ななぜ描かれたのかについて、諸説あるみたいですが、2万年ほど前の話で誰もその真実は分からないわけで、私が思うのは、狩猟時に人がなくなったりすることもあり、動物に対する畏怖の念があり、いろいろなところに気が赴くままに描いていたのではないかと思います。そのうちの1つがたまたま洞窟に描かれたことによって、その表面がミネラル分などが結晶化することによって、フレスコ画のようになり、今も劣化することなく、壁画として残ったのではないでしょうか。
当時は当然ながら、フレスコ画のような技法は知っていませんので、長くその状態が維持されたのはたまたまだと思います。
ただ、2万年以上前からも目の前の情景を描きたい、記録として残したいなどは人間の本質的な欲求だったのではないかと思います。特に誰かに見せたいとかもなかったのではないでしょうか。

エジプトの壁画は何のために描かれたのか?

これまではただただ純粋に目の前の情景を描きたいということでしたが、紀元前5000年ごろに誕生したエジプト文明において、ピラミッド内に描かれた壁画らは趣が異なっているように思います。

人々の日々の暮らしを描いていたり、王様や貴族などが描かれたりしていますが、これは誰かに見せるというよりもピラミッド(お墓)の内部に描かれたものですから、王様(ファラオ)への信仰のためだと思います。そういう意味では宗教絵画と近い目的かもしれないですね。

人の描き方も顔は横向き、体は正面を向くといった感じで、非常に特徴のある描き方で、実際にエジプトに行った際に、壁画を見てきましたが、どこも似たような描き方をされており、何かルールでもあったのかと思うぐらいです。ある意味、統率された絵画だったように思います。それが、紀元前2000~1500年頃に描かれているわけですから、結構驚きです。

絵画の発展は道具の発展の歴史でもある

現在、美術館で鑑賞できる西洋絵画となると、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロといったルネサンス期(14世紀)でしょうか。それまでは絵画というよりも彫刻は結構残っています。かの有名は「ミロのヴィーナス」は紀元前130~100年頃の作品と言われています。

ミロのヴィーナス

西洋絵画が14世紀ぐらいに誕生してきたのは、油絵具やキャンバスといった絵を描くための道具の誕生とは切り離せません。これまでは壁画が中心で、あとは顔料などで描いたのでしょうが、保存の観点からは適しておらず、残念ながら現存していません。
油絵具の発明は10世紀末ぐらいと、またその時期は板などに絵画を描いていました。今のような麻などのキャンバスに描くにようになったのは、15世紀初め(キャンバスに描かれた油絵として最も古い作品の1つは、1410年ごろにフランスで描かれ、現在ベルリンの絵画館に所蔵されている『マドンナと天使たち』と言われている)で、ちょうどルネサンス期に油絵における技術革新が起きた時期となります。

このように絵画の歴史を振り返ると、紀元前の絵画はその表面がたまたまミネラルによる結晶化によって、フレスコ画として残っているわけですが、我々が美術館で鑑賞するような絵画は、当然ながら油絵具やキャンバスといった道具の発展の歴史でもあることが分かります。では、人はそのような油絵具やキャンバスを利用して何を描いたのでしょうか。次の「絵画の歴史 その2」をご参考ください。

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