学芸員資格講座。
アーティストになるべく、大阪芸大の3年生に編入し、創作活動をしているのですが、せっかく、アートを学ぶならということで、ついでに学芸員の資格取得講座に参加することにしました。
元々、絵画鑑賞は好きで大学時代から海外旅行の際にもルーブルやオルセーなどの美術館を巡ってきました。そんなわけで観る側の視点に加えて、企画する側の視点も養いたいと思い、学芸員資格講座を受講しました。
学芸員とは?
そもそも学芸員がどのようなものなのかはウィキペディアに任せるとして、簡単にいうと美術館などの博物館にいる専門家というところでしょうか。
大阪芸大で学芸員資格を取得するには、必須科目(座学)7科目、選択科目(座学)1科目、そして、博物館実習7日間があります。座学はレポートづくりと、大学にテストを受けないといういけない科目もありましたが、それ系は得意なので半期ですべて終わられせてしまいました(笑)
博物館実習がこの2月に受けてきたのですが、すごく勉強になりました。また、参加者も多くてびっくりしました。全員で16名ほどいらして、そのうち、大部分の方が博物館に勤務している(する予定)方や実際にアートを仕事にしている方で、僕のような趣味で来ている人は少数派でした。
学芸員の実習講座 その1基本技術の習得
実習では拓本の作り方に始まり、掛け軸や巻物扱い方、テグスを持いて作品をどのように固定するのかなどの基本的な知識や実技を習得していきます。
その2 チームでの企画練り
実習準備の2日間を終えてから、博物館での実習5日間に望むのですが、初日・2日目は大阪芸術大学の博物館のコレクションや作品の保管庫などを見学し、什器や照明などの取扱方法を詳しく学んでいきます。
2日目夕方から3日目にかけて、新たなお題として、16名が4チームに分かれて、展覧会の企画を練るということを経験します。練った企画書は3日目午後にプレゼンテーションを行い、良い案1つを実際に展覧会としてみんなで準備するのです。なかなか面白い実習です。もし、自分が企画した案が選ばれたら、それが実際の展覧会となるのならすごく楽しいと思いませんか?(笑)
どのような作品が利用できるのかについては、大阪芸大がこの学芸員資格のために持っている縄文式土器から茶器、皿、壺、掛け軸などの江戸時代までのレプリカです。それでも作品対象数は200点以上はあったように思います。その作品を観ながら、実際にどの作品をどのように展示していくのかをチームで考えていくのです。
かなりベタな作品ばかりなので、重要なことは展覧会のコンセプトです。鑑賞者にどのように見てもらい、見た後にどのように感じてもらいたいのか。ここらはコンサルタントとしての能力が問われるところでした。
2日目の夕方でメンバー4人で作品を確認し、軽く意見交換して、翌日の朝にどのような展覧会にしたいのかのコンセプトを話し合うことにして2日目は解散することとしました。
その夜、何か良いコンセプトがないかと思いつつ、ふとアートって欲と関係しないかと思い、欲をキーワードにまとめることを思いつき、仏教用語の五欲(色、声、香、味、触)と最後に悟りでまとめることを提案することにしました。
話し合いの結果、自分の案がベースとなり、みんなで企画展をあれやこれやと言いつつ、まとめていきます。パワーがある縄文式土器をまず最初に持ってきて、これを「触(物欲)」として、欲でカテゴライズした作品を観てもらいながら、最後は暗闇の仏の産道を得て、仏像による「悟り」を拓き、鑑賞者に生まれ変わってもらうコンセプトを練り上げました。
什器もふんだんに使い、かなりしっかりした展覧会を企画できたと思いました。3日昼から4チームによるプレゼン大会を開き、成行上自分がプレゼンを行い、投票の結果、我がチームの企画が選ばれることとなったのです。
さらに、成行上自分がリーダーとなり、4日目からこの企画をベースに展覧会を他の15名+先生方と作っていくことになりました。
その3 企画に基づいた展覧会づくり
自分のプロジェクトマネジメントのスタイルは箸上げ下げを指定するのではなく、任せるスタイルなのでここでも各チームに任せて、大きなコンセプトは提示したものの、あとは自由にやってもらいました。その結果、本当に素晴らしい企画になり、学芸員資格講座はいい思い出なりました(笑)
こんな感じで展覧会を創り上げました。約60点ほど展示されていたように思いますが、メンバーのみなさま、ありがとうございました。おかげで大変素晴らしい展覧会となりました。
終わりに
展覧会に対して、先生方から指導が入りました。コンセプトうんぬんというよりは展示方法についてのアドバイスです。飾る向きが間違っているとか、テグスのかけ方が良くないとかです。
受講者からの一言コメントもあり、いい感じで講座は終わりました。
学芸員資格を取得される方の参考になればと思います。
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