Eric Dolphy / Last Date
2004年8月30日に他のサイトへ掲載した原稿を加筆修正しました。==================================
私の場合、ジャズの入口はジョン・コルトレーンだった。
ジョン・コルトレーンの『Live At The Village Vanguard』、『Africa / Brass』 と 『A Love Supreme』をまとめて買って、一時期飽きもせずに毎日浴びるように聴いていた。
この時に出会ったのがコルトレーンの朋友、エリック・ドルフィーだ。
『Live At The Village Vanguard』でエリック・ドルフィーが吹く、まるで爬虫類が這い回るような、バス・クラリネットのサウンドにはびっくりした。このエリック・ドルフィーってミュージシャンはとんでもないヤツだと直感的に思った記憶がある。
エリック・ドルフィーの作り出す音楽はアヴァンギャルドっぽいが、決して聴きにくいものではない。オランダで録音されたこのアルバムでもべったりとした粘着力のあるバス・クラリネットや飛び回る小鳥の囀りのようなフルート、垂直に切り込むようなアルト・サックスがたっぷり味わえる。
オランダで録音されたものだから、バックを固めるメンバーもオランダ人ミュージシャンたちだ。名前がある程度知られているのはピアノのミシャ・メンゲルベルクのみ。ベースとドラムはほとんど無名のミュージシャンだ。
このアルバムでエリック・ドルフィーの演奏はさほどアヴァンギャルドなものではなく、かなりオーソドックスで聴き易い。結果的にエリック・ドルフィー入門アルバムとして最適な仕上がりになっている。これは若干弱め(?)のメンバー編成が功を奏したのかもしれない。同年にブルーノートで録音された『Out To Lunch / アウト・トゥ・ランチ』で起用したような腕利きのメンバーが揃っていたら、本作はもっと実験的な仕上がりのアルバムになっていたかもしれない。
セロニアス・モンクの名曲《Epistrophy》から始まり、最後の《Miss Ann》まで、このアルバム『Last Date / ラスト・デイト』にはエリック・ドルフィー最後の音楽が最良の形で刻み込まれている。本作をオランダで録音してから3カ月後、エリック・ドルフィーはベルリンで急死してしまう。
When you hear music, after it's over, it's gone in the air. You can never capture it again.
アルバム最後に録音されている死の直前の肉声が生々しい。
And More...
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