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ストレスとは重力のようなものである

毎日朝ダルい。ちゃんとやろうと思っていたことが、できない。
仕事で忙しい毎日を送っているとなりがちな思い。
しかし、ストレスフルな仕事から離れてみても、
この状態は変わらなかった。むしろ悪化した感すらある。
本noteでは仕事のストレスについて考えてみます。

〇そもそも仕事のストレスとはなんだったか

仕事とストレスについて調べてみると、
多くの書籍で「過度なストレスは心身に
マイナスの症状を与えるが、適度なストレスは
個人の成長につながる」とある。

特にわかりやすくまとまっていると感激したのは、
著・村山昇、絵・若田紗希『働き方の哲学 360度の視点で仕事を考える』。
人間関係や組織の構造・風土、携わる職種や職務の内容で
働く個々人に負荷や圧迫が加わる、とされている。
負荷が「快ストレス」として行動力ややる気にはたらきかけるのか、
「不快ストレス」になり仕事に悪影響が出るのかは
個人の耐性や環境によって差があるという。

この本の中でははっきりと「ストレスはなくせない」と書かれている。
引用するとこうだ。

ただ、ストレスを完全になくすことは不可能です。また、ストレスにはプラスの作用もあり(=快ストレス)、ある部分必要なものです。ですからストレスとは、どううまく手なずけていくかという”共生”の観点で付き合っていかねばなりません。
(著・村山昇、絵・若田紗希『働き方の哲学 360度の視点で仕事を
 考える』ディスカヴァー・トゥエンティワン p.232)

巷で騒がれている、長すぎる労働時間や過剰なパワハラなどは
あくまで「会社の不合理」として発生しているため容認できないが、
ストレスを乗り越えようとする個人の努力や対応策は、
結果的に「心のしなやかさ(レジリエンス)」を養うとするのが
今日の定説になっている。

〇面倒くさい、嫌だったことの方が印象に残るもの

先日、あるゲームのオフ会に初めて参加した。
下の世代は20代後半、上は40代なかばと幅広い年代の人がいて、
営業やデスクワーク、はたまた職人として工事現場の仕事に
携わっている人たちと話をする機会があった。

筆者が現在、絶賛無職中であるために「仕事観」について
話題が移った時があったのだが「営業に行った先で水をかけられた」
「上司から灰皿を投げられたり、灰皿で叩かれたりした」など
今のご時世では考えられないエピソードが、次々と聞けた。

決して、素晴らしい職場体験でも感動する深イイ話でもない。
2019年の労働環境ではくれぐれも復活してほしくない。
でも、40代の働き盛りの人たちは、過去のトンデモストレス体験を
糧にして、今現在も戦っているのだ。

どんな仕事でも面倒な仕事、嫌な上司や得意先はいる。
ちょっとだけ向き合ってみよう、相手をしてみようと
思えるかどうかだけでも、仕事のストレスの受け取り方は
働き手の経験値になるか、不快な思い出だけ残るかが
分かれてくるのである。

〇人生にもストレスがちょっとあった方がいい

働き手にとってのストレスについて考えてきたが、
同じ考えは人生すべてでも共通するだろう。
泉谷閑示『仕事なんか生きがいにするな』では、
生活がほとんど労働によって占められる量重視の生き方より、
「意味」を感じられる生き方を仕事や仕事以外の時間も含めて
模索していくことが求められる、と書かれている。

効率を重視する楽な人生を送ろうとするのではなく、
人生にもっと「無駄な時間」「遊び」を持たせることが
生き方の質を向上させる、というのが本著の論である。
特に印象に残る箇所は以下だ。

あえて無計画、無目的に、自分の行動を「即興」に委ねてみることによって、私たちの決まりきった日常が、ささやかながらもエキサイティングな発見と創意工夫に満ちたものに変貌するわけです。これを私は「偶然に身を開く」と呼んでいます。
さて、この「即興性」に加えてもう一つ大切なこととして、「面倒臭い」と感じることを、むしろ積極的に歓迎してみるという考え方があります。
(泉谷閑示『仕事なんか生きがいにするな』p.174)

無職になってみて改めて実感したが「面倒臭い」という意識は
なにも仕事や職場に対してだけでない、生活全般に抱くものだ。
むしろ、仕事をしていた当時の方が、一見無意味な作業を
前向きに捉えて向き合っていた節さえある。
そう、意味さえ感じていれば人はストレスを迎え入れられるのだ。
(注:別に復職意思はまったくありません)

ストレスとは地球上の生活にかかる「重力」のようなもの。
時代が進んで、重力のない暮らしも送れるようにはなってきたけど、
付き合い方によってはストレス=悪とは限らない。
強過ぎるとつぶれてしまうが、適度なストレスは
我々の力や生活をよりよいものにしてくれる。

身の回りにたくさん転がっているストレスの元を、
ほんの少しだけ受け入れて愛してみる、そんな寛容さを
持って生きたいものである。

10年ほど企画・マーケティング関連の会社にいました。 その時の激務で出会った仕事やすごい人々のお陰で今の自分がいるので、本noteでもよりよい仕事や働き方について模索していければと思います。