ヴァンフォーレ甲府選手紹介#1 〜166cmのCFの挑戦〜
第96回全国高校サッカー選手権大会2回戦。
テレビの前の私は1人のプレーヤーに釘付けになっていた。圧倒的な裏抜けのセンスとゴールを陥れる得点力。少年のような無邪気な笑みに、ひたむきにプレーする姿。黄色と黒のストライプを身に纏う背番号10に心を奪われた。
彼の名は飯島陸。166㎝の一際小柄な選手だ。
前年度惜しくも準優勝だった前橋育英高校はシードにより2回戦からの登場。我が家では父と高校サッカーを観るのが冬の風物詩であり、前年度躍進した前橋育英は注目チームだった。
迎えた2回戦。対するは和歌山県代表初芝橋本高校。過去にC大阪に所属していた酒本憲幸や、過去にサガン鳥栖の監督を務め、現在は町田のコーチを務めている金明輝などを輩出している強豪校である。
三ツ沢で行われたこの試合の主役は小柄な背番号10だった。前半16分にゴールを挙げると、同44分にもゴールを挙げ、2ゴールを挙げる。
後半に入っても勢いは止まらず、後半9分にハットトリックを達成。後半23分にも見事なゴールを突き刺しまさかの4ゴール。飯島陸の名を日本中のサッカーファンに轟かせた日となった。
続く3回戦でも後半終了間際に決勝点を奪い、一気に選手権の主役へと躍り出た彼の勢いは留まるところを知らない。準決勝上田西戦でも2ゴールを挙げ、6-1の大勝に貢献すると、決勝でもフル出場をし、前橋育英高校に栄冠をもたらした。
しかしこの年飯島はどこのJクラブからもオファーがかからず、法政大学に進学することになる。
彼のフィジカル面を不安視したクラブが獲得を見送ったのだ。エースナンバーを背負い、7ゴールで大会得点王に輝いた18歳の少年が味わった大きな挫折。
大学サッカーに精通していない私の耳には彼の活躍は耳に届かず、次第に私の記憶からも徐々に彼の記憶は失われていった。
そんな私の目に思いがけないニュースが飛び込んだ
埼玉スタジアムを沸かせた選手権のスーパースターが甲府にやってくるのだ。私は鳥肌とワクワクが止まらなかった。
前橋育英の10番だ!!
森スカウト神。甲府のスカウト陣は本当に優秀だ。
待ちに待った2022年シーズン。青赤のユニフォームを纏った166cmは早速結果を残す。
第3節 V・ファーレン長崎戦。
法政大学の先輩長谷川の折り返しを押し込んでプロ初ゴール。彼らしい泥臭い得点だった。
これが決勝点となり、難敵長崎を2-1で退けた。
飯島のゴールにウッキウキだった筆者だが、この男に魅せられたのはここからだった。
広報小野さんの呼びかけに
イェーイ!!と満々の笑みで答える我らがジマ君。
何この可愛い生き物。年上だけど。
この愛くるしさとピッチでの献身性こそ彼の魅力であることは甲府のファンサポーターが1番知っているはずだ。飯島ファンの皆さん、筆者に好きなだけ愛を語ってください。喜んで聞きます。
昨シーズンは24試合の出場で2ゴールに終わった飯島だが、シャドーで起用されることが多く、本領発揮とは言い難いシーズンだった。
彼が活きるのはセンターフォワードであることは間違いない。ただ、今シーズンは元J1得点王のピーターウタカや三平和司、松本孝平などそれぞれ個性のある強力なFWが揃っている。
中盤を見ても、小柄でタイプの近い宮崎や鳥海、長谷川らが控えている。
ここ3戦出場機会のない背番号15が必要になる瞬間は絶対にある。
そして何より、結果という部分でチームに貢献し、Jリーグ得点王、甲府から世界に羽ばたいて活躍できるような選手になりたいです。
加入時のコメントでこう語った彼の背中も後押しするのは我々サポーターの役目である。
166cmのCFの挑戦。彼の挑戦は始まったばかりだ。
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