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エビングハウスの忘却曲線

ドイツの心理学者、ヘルマン・エビングハウスの発表した「エビングハウスの忘却曲線」です。
エビングハウスは、無意味な音節を記憶し、時間と共にどれだけ忘れるかを数値化しました。
そこで出た結果は次の通りです。

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この表は時間と共に、どれだけ記憶したことが頭に残っているかを示しています。逆にいえば、どれだけ忘れるかということも分かりますね。
人が何かを学んだ時・・・
 ・20分後には42%忘れる
 ・1時間後には56%忘れる
 ・1日後には74%忘れる
 ・1週間後には76%忘れる
 ・31ヶ月後には79%忘れる
ということが分かります。


エビングハウスの忘却曲線の注意点
しかし、このデータは気をつけなければならないポイントがあります。それは、このデータは「子音・母音・子音」からなる無意味な音節を覚えた時の記憶のデータであるということです。でももしこれが、意味のあるものだったらどうでしょう?
例えば何でもないただの4桁の数字より、友達の誕生日を覚える方が簡単ですよね。
他には、例えば魚の名前を漢字でたくさん覚えることになったとします。鰯(いわし)という漢字を習う時に、「なるほどイワシは魚へんに弱いか。昨日のお昼に食べたけど、確かに見た目は弱そうだ。」と思ったら、「イワシは弱っちい魚、だから鰯」と覚えられないでしょうか?
一方、鯵(あじ)に対しては、「うーん、魚が参る?魚が参るってどういうことだ?よく分からん・・・」と感じてしまったらなかなか覚えることができないでしょう。
というように、何かを覚えるという時には、頭の中でどんなイメージをするかや、既に知っていることとどのように紐づけできるかによっても違ってきます。
ですので、一概に「魚の漢字を10個覚えたら、20分後には42%忘れて、1時間後には56%忘れて・・・」という風にはならないと知っておきましょう。

エビングハウスの忘却曲線から導かれる発見とは
ではエビングハウスの研究結果から分かることは何でしょうか?次の5つのポイントにまとめられていました。
1.何かを学ぶ時、その知識があなたにとって意味のものであったり重要なものであったりした場合、暗記は楽である。逆にその内容があなたにとって意味のないものであれば、すぐ忘れる。
2.学習に時間をかけると、吸収できる情報量も増える
3.一度目の学習より二度目以降の学習の方が簡単になる。復習を重ねるごとに忘れにくくなる。
4.一度にたくさん学ぶよりも、時間をかけて何度かに分けて学んだ方が、学習効率は上がる。
5.学んだ直後から物忘れは始まる。最初は一気に忘れ、次第にゆっくりと忘れるようになる。
当たり前といえば当たり前なことばかりですね。でもここからさらに、この情報をどうやってあなたの学習に役立てていけるかを見ていきましょう。
(でないと、これをただの情報として「へ~」で終わらせると、1.のようにすぐ忘れます。でも、この情報をあなたの生活に役立てられるものにできれば、記憶にしっかりと残るのです。


エビングハウスの忘却曲線を踏まえた最適な復習のタイミング
ここまでの知識を踏まえ、どのように勉強したら学習効率が上がるかを見ていきましょう。
ここでは、カナダのウォータールー大学の研究結果をもとにお伝えしたいと思います。

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まず最初、何も知らなかったところから勉強をし、知識を得ました。この時点では記憶は100%のところに上がりますね。
でも、そのまま復習せずにいると、黒い線のようにどんどんと忘れてしまいます。これは先ほどエビングハウスの忘却曲線で学んだことですね。
ではどう復習したら知識をしっかりと記憶させられるかということですが、それはこの図の黄色い線を見てみましょう。
まず、学習した後24時間以内に10分間の復習をすると、記憶率は100%に戻ります。そして、ここからが素晴らしいのですが、次回の復習は1週間以内に、たった5分すれば記憶がよみがえるのです。そして、次は1か月以内に2~4分復習すれば、また記憶は復活するのです。
これってすごくないですか?タイミングさえ間違えなければ、最大でもたったの19分の復習で1か月後も学んだことを忘れずにいられるんです。
学生であれば、授業後1日以内、1週間以内、1か月以内に復習すれば、中間テストや期末テストの時にほとんど情報を覚えていられるんです。
「といっても、毎日授業いっぱいあるし、そんな復習できないよ」と思うかも知れませんね。でも、もし電車の中や夜寝る前にちょっとだけ復習すればかなりの違いが出てきます。
もしこれをしなければ、今後も今と同じようにテスト前にまた最初から勉強し直さなくてはいけません。エビングハウスの忘却曲線によると、1か月後には80%近くの情報を忘れているわけですからね。
しかも、このように何度かに分けて勉強することで、長期的な記憶にも繋がります。高校生であれば、定期試験だけでなくて受験の時にも知識として記憶していたいですよね。また、英語や資格の勉強をしている方であれば、学んだ知識はその後も長期間にわたって使える状態にしておきたいはずです。
であれば、この復習の仕方をするのはとても効率的ですね。


復習のタイミングが分からなくなってしまう場合は?
今日は英単語帳の1ページ目をやって、明日は2ページ目と1ページ目の復習をして、3日目は3ページ目と2ページ目の復習をして、7日目は7ページ目と6ページ目の復習と1ページ目の二度目の復習をして・・・といっている内にこんがらがってきますね。ではどうしたらいいか?
こんな時はコンピューターに任せましょう。有名でもうご存知の方も多いと思いますが、スマホアプリなどを使えばこういったことが簡単にできてしまいます。
日本だと有名なのは「i暗記」ですね。海外では「Anki」が有名で、たくさんの言語学習者が使用しているようです。
使い方は至って簡単。学んだことを入力して、あとは単語帳として使うだけです。新しい情報はまた明日も表示され、次は1週間後に表示され、1か月後に表示され・・・という風に、復習にベストなタイミングで単語を表示してくれます。
しかも、間違えればまたすぐ明日表示されるといったように、覚えていないことを集中的に表示してくれます。
手間なのは学びたい情報をインプットする作業ですが、他の人がインプットした情報を使うこともできます。例えば「初級英単語」や「日本史」など、他の方が作成したノートがたくさんありますので、そういったものも上手く使っていきたいですね。
こういったツールを使うことでとても効率よく勉強できますので、ぜひ使うようにしましょう。

まとめ
人間は忘れる生き物です。覚えておきたいことでも、どんどん忘れてしまいます。そして、エビングハウスは人の忘れ方を数値化して表してくれました。
同時に、タイミングよく復習さえすれば記憶を簡単に復活させることができることも分かりました。この記事で紹介したベストな復習のタイミングは、
・1日以内に10分
・1週間以内に5分
・1か月以内に2~4分
の3回です。
この方法を上手く取り入れて勉強し、大きな成果を上げていきましょう。

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