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AIDMA理論

AIDMAの法則とは、消費者が商品を知ってから購入するまでの段階を5つのステップで表すフレームワーク。皆さんが何かを買うときも、AIDMAの順に行動しているはずです。
AIDMAの法則を理解していると、商品・サービスの販促を効果的に行なえますよ。今回は、企画・営業分野の人だけでなく、広報や現場の人にもぜひ知っておいてほしいAIDMAの法則を詳しくご説明します。

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AIDMAの理論とは
AIDMA(アイドマ)理論とは、消費者が商品を知ってから購買するまでのプロセスを示したフレームワークです。AIDMAは、「Attention(認知する)」「Interest(興味をもつ)」「Desire(欲しいと感じる)」「Memory(記憶する)」「Action(購入する)」というそれぞれプロセスの頭文字をとったもの。商品の認知から始まる5段階のプロセスを経て、消費者は商品を購入するに至ります。

【AIDMAにおける消費行動プロセス5段階】
Attention(認知する):商品の存在を広告などで知る
Interest(興味をもつ):「自分の悩みを解決してくれそうだ」と期待し、商品に興味をもつ
Desire(欲しいと感じる):商品の特徴を認識し、欲しいと思う
Memory(記憶する):商品を記憶し、購入を検討しはじめる
Action(購入する):商品を購入する

あなたが何か商品を買うときにも、上記の5段階のプロセスを踏んでいるはずです。たとえば、新発売のグミのことをCMで知り(Attention)、CMの面白さに惹かれて興味をもち(Interest)、食べてみたいと思い(Desire)、そのグミのことが頭に残り(Memory)、コンビニでその商品を見かけたときに買ってみる(購入)という具合に。
AIDMAの法則に示されるような消費者心理をきちんとおさえておくことで、どうすれば消費者は商品を欲しいと感じるのか、買いたくなるのか、逆算してマーケティング戦略を立てられるのです。

AIDMA理論を活かす
1. Attention
1つ目の段階は、「Attention(認知)」。
いくら優れた商品でも、消費者に認知されないかぎり、購買されません。「Attention」のフェーズでは、テレビCMやポスター、Web広告などの手段を通じて、一人でも多くの消費者に商品を知ってもらうことを目指します。
広告には、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌という「四大マスメディア」のほか、インターネットのバナー広告や動画広告など無数の種類があり、それぞれに一長一短があります。たとえば、テレビCMは膨大な視聴者に素早く商品を認知してもらうのに便利な一方、広告費用が高くつく、という欠点が。
また、雑誌の広告はテレビに比べると規模は小さいですが、購買者の層を特定しやすい(サッカー専門誌はサッカー好きだけが買う)ので、商品の種類によっては少ないコストで大きな効果を出せるでしょう。
ターゲットを絞るという意味では、TwitterやFacebookなどに流すSNS広告も有効です。
各広告媒体の特徴を知り、予算や商品の特性に合った手段で認知を図りましょう。
2. Interest
商品を認知してもらったら、次はその商品に興味をもたせるステップです。
いくら広告によって市場に露出し、存在を知ってもらえても、興味を惹けなければ「ふうん、そんな商品があるのね」と流されて終わり。購入まで漕ぎつけることはできません。
商品に興味をもってもらう方法の直球の方法は、商品がもつ価値を伝えることです。2018年に話題になったメガネ型拡大鏡「ハズキルーペ」のCMを例にとってみましょう。
ハズキルーペのCMでおなじみのセリフと言えば、「字が小さすぎて読めない! でも、ハズキルーペを掛ければ世界が変わる」。
短いメッセージの中に、商品価値が端的に表現されています。老眼で文字が読みにくくなったと思っている消費者は「便利そうだな」とハズキルーペの価値を理解することになります。
有名人をCMに起用することも、興味を掻き立てる手法のひとつ。
好きな芸能人やアイドルが出ているだけで、その商品が気になったり、好感を抱いたりしたという経験はあなたにもありませんか?
もちろん、「○○さんがCMに出ているから買う」とすぐ購入する人は少ないかもしれませんが、少なくとも「Interest」の段階では、ちょっとでも商品のことが心にひっかかったり、良い印象を抱いてもらえたりすれば大成功といえるでしょう。
「ハズキルーペ」のCMでも、渡辺謙さんや舘ひろしさんなど、ターゲットと同年代(拡大鏡を必要としている中高年層)のスター俳優を起用することで、商品への興味を掻き立てるとともに、スタイリッシュなイメージを演出しています。
3. Desire
商品に興味をもっても、すぐに「欲しい」という感情にはつながりません。「ハズキルーペは便利そうだし、CMは面白い。だけど買いたいとは思わない」という人だって多くいるはずですよね。商品に興味をもつことと、その商品が欲しいと思うことのあいだには、またひとつ隔たりがあるのです。
商品が欲しいと思われない理由としては、以下の3つが考えられます。
1. そもそもその商品が必要ない
1つ目の理由は、その人にとって商品が必要なものでない(商品のターゲットでない)というケース。
たとえば、老眼に悩んでいない若い消費者は、そもそも拡大鏡を必要としていませんから、ハズキルーペが欲しいと思うことはないはずです(親などに買ってあげたいと思うことはあるかもしれませんが)。このような、そもそも商品を必要としていない消費者には、商品を買ってもらうことはまず不可能ですよね。
2. 類似の商品との違いが伝わっていない
2つ目は、類似の商品との違いがわからないというケース。もっと安いほかの商品で十分じゃないの、と考える方もいれば、拡大鏡ならもう持っているから買い直す必要はないと考える方もいるでしょう。そこで、従来の製品や類似の製品との違いをいかに伝えるか、ということが重要となるのです。
ハズキルーペの場合にも「上に座っても壊れないくらい丈夫」「従来の拡大鏡よりもスタイリッシュなデザイン」「ブルーライトがカットされる」「長時間掛けていても目が疲れない」など、いくつもの独自性がアピールされています。
3. 商品への期待感が弱い
3つ目は、商品を買うことで生じるメリットが具体的に伝わっていないことです。「ハズキルーペで文字が大きく見える」という情報を伝えるだけでは不十分。どのくらい大きく見えるのか、どのような視界になるのか、商品を買うことで受けられるベネフィットを明確にイメージできることで、購買意欲が沸いてくるのです。
ハズキルーペのCMのケースでは、ハズキルーペを掛ける前と掛けた後の視界の差が映像によってわかりやすく示され、出演者の感情豊かな演技によっても表現されています。

4. Memory
商品を「欲しい」と思っても、すぐに購入行動に移るとは限りません。「給料日になったら買おう」「本当に必要なときになったら買おう」「次に買い物に出かけたときに買おう」という具合に、欲しいと思ってから実際に買うまでのあいだには、多くの場合タイムラグがあります。そして、まだ買わなくていいや、と買いあぐねているうちに、買いたいと思っていた気持ちをいつしか忘れられ、購入の機会を逃してしまうケースも多々あるでしょう。
消費者を購入の段階まで連れていくには、商品のことを忘れないようリマインドが必要になります。ハズキルーペのテレビCMも、一度放映されたきりで終わっていたとすれば、あれほど人々の話題にはならなかったはず。何か月ものあいだ、同じ内容が繰り返し繰り返しテレビに流れることで、視聴者の記憶に刻まれていったのです。
テレビ以外にも、電車のつり革広告や街頭のポスター、店内のPOPなど、さまざまな手段を駆使し、なるべく頻繁に消費者の目に触れるようにしましょう。あるいは、ダイレクトメールで直接、消費者にリコメンドするというのも、よく行われる方法です。Amazonのような通販サイトから届く「おすすめ商品」などのメールも、リマインドの機能を担っているといえるでしょう。


5. Action
最後は、実際に商品を購入してもらう「Action」のステップです。欲しい商品を実際に購入するまでには、まだいくつかの障壁があり、本当にその商品を買ってもいいものかどうか消費者は悩んでいます。
購入に踏み切れない最後の障壁としては、以下のものが挙げられます。
1. 買って後悔するのが不安
商品を買うときには「もしイメージしていたような商品じゃなかったら」「もし商品に予想外の欠点があったら」などの不安感がつきもの。したがって、商品に満足できなかった場合の返品・返金保証を提示するなどして、消費者の不安を取り除くことが大切です。ちなみに、ハズキルーペのケースでは、購入から3年間、故障した場合は何度でも新品と交換できる「3年間新品保証」がついています。
2. 商品の買い方がわからない
せっかく商品を買おうとしても、どうやって買えるのか、どこで買えるのかが明確でなければ、面倒になって購入をやめてしまいかねません。「お問い合わせは0120-××××-××××まで」「『○○』で検索」など、購入までの導線を広告内で案内しておきましょう。
3. 今すぐ買う理由がない
欲しいけれど今すぐ買う理由はないからと、購入を先延ばしにしている消費者も多くいます。こうした腰の重い消費者を購入に踏み切らせるには、期間限定の特典をつける、数量限定で販売するなどの施策をとることで「今買わないと損だ」と思ってもらうことが有効です。


AIDMA以外の消費行動フレームワーク
消費行動フレームワークには、AIDMAの法則以外にもいくつかバリエーションがあります。細部の解釈が違ったり、あるプロセスをより細かく分析したりしていますが、基本的な流れはAIDMAと共通です。
たとえば、フライパンには卵焼きに適した四角いものや、中華料理に適した丸底のものなどがありますが、どれも「おいしい料理をつくる」という目的のために存在しています。消費行動フレームワークも同様で、フレームワークの見た目は違えど、どれも消費者の心理を理解し、適切なマーケティングを行うという目的は一緒です。卵を焼きたいのか、ホイコーローを作りたいのか、その時々の用途によって適切なフレームワークを選びましょう。


AIDA
AIDA(アイダ)は、すべての消費行動フレームワークの元祖にあたる、最も基本的な考え方です。AIDAに「Memory」の要素を付け加えて生まれた概念が、AIDMAなのです。

【AIDAにおける消費行動プロセス】
Attention(認知する):商品の存在を広告などで知る
Interest(興味をもつ):「自分の悩みを解決してくれそうだ」と期待し、商品に興味をもつ
Desire(欲しいと感じる):商品の機能や特徴を認識し、欲しいと思う
Action(購入する):商品を購入する


AIDCA
AIDCA(アイドカ)は、AIDAに「Conviction(確信)」が加わった消費行動フレームワークです。AIDCAにおいては、客観的なエビデンスなどを通し、消費者に商品の価値を確信させるプロセスが重要です。


【AIDCAにおける消費行動プロセス】
Attention(認知する):商品の存在を認知する
Interest(興味をもつ):商品に興味をもつ
Desire(欲しいと感じる):商品の機能や特徴を認識し、欲しいと思う
Conviction(確信する):商品の価値を確信する
Action(購入する):商品を購入する


AIDCAS
AIDCAS(アイドカス)は、AIDCAに「Satisfaction(満足)」を付け加えたもの。AIDCASでは、商品を買ってもらうだけでなく、商品に満足してリピーターになってもらうまでを消費行動として数えます。


【AIDCASにおける消費行動プロセス】
Attention(認知する):商品の存在を認知する
Interest(興味をもつ):商品に興味をもつ
Desire(欲しいと感じる):商品の機能や特徴を認識し、欲しいと思う
Conviction(確信する):商品の価値を確信する
Action(購入する):商品を購入する
Satisfaction(満足する):商品に満足し、リピーターになる


AISAS
AISAS(アイサス)は、インターネットが普及した現代向けにアップグレードされた消費行動フレームワークです。「Search(検索する)」「Share(共有する)」というプロセスが盛り込まれているのが、AIDMAと異なる点。
最近では「インスタ映え」という言葉もすっかり普及しました。消費者がSNSに商品の写真を投稿したくなるよう、見た目を重視して商品を設計するのは、今やマーケティング戦略の基本となっています。


【AISASにおける消費行動プロセス】
Attention(認知する):商品の存在を認知する
Interest(興味をもつ):商品に興味をもつ
Search(検索する):商品についてインターネットで検索する
Action(購入する):商品を購入する
Share(共有する):SNSや評価サイト、レビューなどで商品情報を共有する


AISCEAS
AISCEAS(アイシーズ)も、インターネットというツールを考慮したフレームワーク。AISASにおける「Search(検索)」を、「Comparison(比較)」と「Examination(検討)」に分解したのがAISCEASだといえます。検索から購入に至るまでの戦略をより深く考えたい場合、AISCEASのほうが便利でしょう。

【AISCEASにおける消費行動プロセス】
Attention(認知する):商品の存在を認知する
Interest(興味をもつ):商品に興味をもつ
Search(検索する):商品についてインターネットで検索する
Comparison(比較する):検索しながら、ほかの商品と比較する
Examination(検討する):情報を集め、購入すべきかどうか検討する
Action(購入する):商品を購入する
Share(共有する):SNSや評価サイト、レビューなどで商品情報を共有する


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