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魔法使いのメンティ - アートとビジネス -

僕が所属するピクシーダストテクノロジーズは、落合陽一(以下「落合さん」)の会社だ。

落合さんと仕事をしていることが知れると、いつも聞かれる質問がある。
「落合さんと普段どんな話をしてるのか?」

その度に思い返す。
「そういえばどんな話したっけ?」

「魔法使いのメンティ」

落合さんはCEOとしての顔だけでなくメディアアーティストとしての顔も持っていることはよく知られている。

以前からずっと聞きたいと思っていたのが、「アート」の定義だ。
そもそも僕は、「アート」にはほぼ無縁(一応、幼少期にピアノと習字は習っていたものの)の人生を送ってきた。

正直「アート」と「アートじゃないもの」の違いがよく分かっていない。

様々な切り口があることは承知の上で、「アート」の定義を聞いてみたら、即答で返ってきた。

「アートは、大衆を追わないもの」

続けて聞いた。
「アートじゃないもの(すなわち、大衆を追うもの)」は、何ですか?

これも即答だった。

「ビジネス」

「アート」と「ビジネス」が互いに対義関係にあるか否かについては、辞書的な観点で議論の余地があるかもしれない。

しかし、メディアアーティストとしての落合さんの作品に触れる機会があって、かつ、経営者としての落合さんと仕事をする機会もある立場でこの言葉を聞くと、「スッ」と入ったのだ(本当に脳内に「スッ」という音がした感覚)。

「アート」の対岸に「ビジネス」を置き、「大衆」で境界線を引く。

これがとてもしっくり来た。

奇しくも、1on1でこの話をしたのは2022年10月。
この1ヶ月後にChat GPTが公開された。
Chat GPTをはじめとするGenerative AIは、アートにもビジネスにも使えるツールのようでもあり、アートやビジネスの新しいプラットフォームのようでもあり、そして、人間性(Entityとしての要素)も兼ね備えたEntityでもある。

アートがビジネス化するのか、ビジネスがアート化するのか。
アートでもビジネスでもないSOMETHINGが生まれる予感も否めない。

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