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【映画】正気を切り離すのは簡単。難しいのは取り戻す事だ。

 みなさん、こんばんは。☺️今日も私が好きな映画を紹介させて頂きますのでよろしくお願いします。☺️

TRACKER

 森の中で動物の足跡や糞、匂いなど様々な跡を探し見つけ森と一体になりながら狩をし糧を得ます。目を瞑り、空気を深く吸い込み、耳を傾けると空間の動きが手に取るように分かります。殺し過ぎず、必要な糧を得て生き物の魂と創造した神に敬意と感謝をし、食べ、今日も生きます。
 怯える物は息を荒く物音を立てます。自分が強くなれると信じる武器に固執し、いつしか武器に使われ、誰が何をするのかすら忘れて彷徨います。そんな標的に恐れず心を鎮め耳を澄ませば標的の想いが伝わって来ます。奴らを狩れ……まるで怯えた鹿のように慌てる奴らを。訓練で学んだ。「L.T……俺はアンタに捨てられた。」

L.T

 軍で兵士の育成を行なっていた老教官は引退し、動物保護官として暮らしていました。自然の中で動物達と生態系を楽しみながら暮らすL.Tの元に旧友が現れる。いつもの雑貨屋に行くと降り積もった雪の上に足を引きずる跡がある。随分と久しぶりな友人との再会と懐かしさ、そして嫌な予感を同時に感じなから店に入るL.T。
 自宅へ招く旧友が話す内容はやはり嫌な予感通りだった。
「お前の教え子が無差別に人を殺している……彼を止めれるのはアンタだけだ。」
 
現場へ向かうヘリの中で数々撮影された残酷な現場写真を見ながら引退した老教官は深くため息を吐く。

 私の教え子……

HUNTED

 2003年に公開されたアメリカ映画で、過酷な軍事作戦によって精神的ストレスを感じながらも自分を育てた老教官L.Tに壊れゆく想いに救いの手を求めながら、いつしか叶わぬ想いとなり、復讐心に支配される特殊部隊隊員。
 何人兵士を送り出しても生きて帰らぬ事件に困り果てた政府機関は特殊部隊隊員を育てた老教官に事件解決の手助けを求めます。
 老教官は、あまりにも残忍な狩の仕方を見て自分が教えた生徒だと理解します。完璧に育て上げた息子であると。
 しかし、神は彼に命じます。
 「汝の子を殺めよ。」と。
 物語の中で「正気を切り離す事は簡単だが、問題は切り離した正気を取り戻す事だ。」と兵士達に教える場面があります。今でも私はこの映画のこの場面を思い出すくらい印象に残るセリフでした。

 L.Tは上司にしたい世界No.1のトミー・リー・ジョーンズ(老教官L.T.ボナム)と残忍な役をやらせたら凄い演技力を発揮するベニチオ・デル・トロ(兵士 アーロン・ハラム)の二人が対峙するサスペンス映画です。
 ベニチオ・デル・トロ演じるアーロン・ハラムは従順で規律正しい兵士でした。教え子の中でトップクラスのアーロンを息子のように可愛がり、知る全てを教えた老教官L.T。ゆえにアーロンは追跡してくるエリート兵士を重く冷たい特殊なナイフで狩り続けます。老教官L.Tは狩の方法を見れば、自分が作り方を教えた特殊なナイフを使い自分が教えた方法を忠実に守り続けており、アーロン・ハラムを倒せる者などいないと悟ります。

 老教官L.Tは気が触れた教え子を捕まえる事を考えますが、アーロンは違います。何度も助けを求め、切り離した正気を取り戻したく手紙を書いたのに一度も返事をもらえず、潜伏先の森で顔を合わせ再開を喜ぶところか「生徒はお前だけでなく、たくさんいる。」と冷たくあしらわれます。

父と子、愛がゆえに

 この映画のいくつかのポイントは父と子の愛ではないかと私は思います。☺️例え血が繋がって居なくても親子のような関係が生まれる事があります。
 「時の流れは妙におかしなもので血よりも濃いモノを作る時があるよね〜。」とB'zさんも歌っています。
 愛されたいと願う兵士。その愛が与えられればきっと殺人鬼にはならなかったかもしれません。
 毎年、何羽の鶏がチキンになる為に殺されているか分かるか?人間よりも強い捕食者がいたら?と聞くシーンがあります。過酷な戦場で、大人子供、男女構わず殺されてしまう中で、悪を殺すのが正義なのか?いや、もしかしたら自分が悪なのか?そして国の為に命をかけて戦ったのに特殊部隊が自分を始末しにくる。愛も得れず、用無しになった自分を護れるのは自分だけ。
 父は、息子を優れた存在に育てた責任を感じこの事件を終わらせて息子を解放しようとします。何か強い絆と愛を感じます。

そして

 罠にかかって怪我をした狼は、礼の為に戻ってきます。愛され、愛を理解すれば息子はまた父の元に帰ってきます。道に迷い、行き場を間違えた息子はどんな形であれ帰ってきます。この愛する親子の話を是非観てみてください。

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