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嬉しかったこと


友達と一緒にいた時のことだった。
何気なしに私は、家族を支えられているのかなと思ったことを話していた。

私はワクチン接種がこれからだ。ワクチン接種希望者だ。なので、他府県への移動をしないようにしている。
私には夢があって、それには県を越えて現地に行かねばならない。
少しでも早く行動を開始したいと思っているが、現地の方々にご心配をおかけしてもいけないので、昨年から移動を控えていた。
時間だけが経っていた。
夢への準備期間として幅広く勉強ができていることは事実だけれど、助成金の対象でもなく何かの生活保障があるわけではないので、完全に自腹を切ることになる。
そして、いざ、緊急事態宣言が解除されたとなった時に、すぐに動ける状態かと言われれば、家族の中で私だけがワクチン未接種なのだ。2回の接種を考えると、移動開始はまだひと月以上も先になる。

そういう心境もあって、「家族の足枷あしかせになっているような気がする…」と漏らしていたのだ。


その友達は私の話をどんな時でもじっくり聞いてくれる。
ありのままの私を受け入れてくれる、有り難い存在だ。
お互いが切磋琢磨し、多くを語らずとも分かり合え、支え合う関係とも言える。

その友達が、別れ際に言ってくれた。
「今日、あなたがいつになくマイナス思考の話をしてたじゃない…、『家族の足枷あしかせ』って…。あれショックだったの…」

思いもよらない言葉だった。私以上に真剣に苦悩してくれていた言葉だった。
私への期待外れだとか弱音を吐いたことへの嫌悪感とかそういったものではなく、
私のこれまでの奮闘を知ってくれてるが故に、私が力の限りを尽くしてきたことにもっと自信を持って良いんだよという、疲れきっていた私への同苦だった。

私は友達のこの言葉と声色に、時間が経てば経つほど励まされた。
思い出すだけで、安心感を得て、温かい気持ちになる。
自分では気付いていなかった、そこまで疲弊していたとも思っていなかった気持ちを、落ち着いて客観視しきちんと整理できた。

「よし、これからだ」
背伸びせず、毎日に向き合おうと思った。
変わり映えしない毎日が永遠ではないよね。
私にできることを、今日も一生懸命やるしかないね。
もう一度、自分の夢という大志を思い返す。
原点を忘れず、良き縁を大切に、毎日を生き抜いていこう。


〈写真(著者の田舎の家)・文 ©︎2021 大山鳥子〉

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