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やまねの塒日誌|vol.16|はじめての古モノレスキュー

地域で日頃お世話になっているお姉さまに
古道具や民藝に詳しい方がおられて
蚤の市をやるにあたり、相談してみたところ
「近所のおばあちゃんのおうちの蔵をこぼす
 そうなので、話をつないであげるよ〜」と
有難いことにおっしゃっていただき、おじゃましてきた。
 ※こぼす:こわす、くずす、という意。

ぶあつい、立派な蔵。この次の日にはこぼすとのこと。

昔、自宅で冠婚葬祭をすることがスタンダードだった時代
同じかたち、絵柄の食器がたくさん。提灯や、お膳なんかもある。
暮らしの歴史を感じる、本当にさまざまなものが保管されていた。

昔の冠婚葬祭を感じる。

ただ、今回初めて古物レスキューにおじゃましたこともあり
どんなものを引き取らせてもらうのが良いのか、なかなか分からず
正直、最初は少し怖気付いてしまった。

所有者のおばあちゃまや、同行してくださったお姉さまと一緒に
わちゃわちゃとやりながら、蔵の暗さに目が慣れてきたころ。
だんだんと「あ、これいいな」と思う宝物たちが見えてくるようになった。
蔵の中で永らく眠り続けて、今は埃をかぶってすすけて見えるが
クリーニングすれば輝きそうなものたち。

もうすでに業者さんも来られて、金目になりそうなものは
ほとんど持って行かれてしまった、とのことだったが
いやいや、宝物だらけ。いくつか持って帰らせていただいた。
「こげなもん(こんなもの)!」といいつつ、
快く持たせてくださったおばあちゃまには、心から感謝だ。

大山町の家々の中には、敷地内に立派な蔵が建っているものも多い。
蔵は壁の模様や装飾がカラフルなもの、ガラスが埋め込まれているものなど
まちを歩き、空き家調査をしていると、結構個性的なものも多く、素敵だ。
ただ、人が住まなくなってしばらく経つ空き家のなかには
かなりダメージを受けて崩れかけている蔵や倉庫も多い。
母屋はきれいに管理してあったとしても、蔵や倉庫の状態が悪く、
人の手に渡りにくいということもある。
また、荷物を整理するということもかなり手間がかかる。
こんなふうに、負の財産になってしまわないよう、
普段から少しでも整理するきっかけになれば…
というのが、時の市のいちばんの願いのひとつだったりする。


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