年末マウント物話
2019年の年末に東京へ行ってきた。
まだコロナが流行る前だ。
目的は、①コミケに参加することと②東京の友人に会うことの2点。
①に関しては、初コミケなので、コミケ常連の友人にいろいろ指南を受けながらの参加。
人が多すぎて正直引いた。
地平線まで人の行列がつづくんだもの。コロナ渦中の今となっては貴重な経験となったが、
当時は「2度と来るか!」とフンがフンがしてた。
で、今回話したいのは②であった出来事についてだ。
1年以上前のことなので、今更ではあるが・・・
結構いいこと考えてたので、自分の中で整理。このブログでは、ボクの被害妄想的思考をつらつら書きとどめることとする。
んで本編。
②東京の友人というのは大学の頃の同級生で、以下A君とする。
ボクの友人の中で唯一、夢をかなえた男。といっても過言ではないかもしれない。
「クリエイティブ業界ではたらきたい!(詳細は伏せます)」と宣言し、クリエイティブ業界の×職に就職、途中キャリアを変えつつも、
(映画業界だったら、カメラマンADが助監督にジョブチェンジする感じ)
みごとに、クリエイティブ業界で働く夢をかなえている男だ。
ちなみに、結婚式にも、ボク、B、Cは呼ばれ、皆で幸せカップルの誕生を祝った。お子さんもできたらしい。
ボクは、考えあぐねていた。「さて何を話そうか・・・」
なぜなら、その彼がかかわった作品を観覧していたので、その作品についての細かな感想を伝えるべきか、伝えないでおくべきかを決めかねていたからである。
作品については、はっきり言って『つまらなかった』し、疑問点が多く詳しく聞きたいと思う反面、
彼にとってその作品がどの程度愛着のあるものなのか?によって、聞くべきポイントが変わって来るからだ。
作品の感想については素直でありたいが、相手の反応によっては表現を変える必要がある。
友人が関わった作品だからといっても、手放しで思ってもない誉め言葉は言いたくない。
かといって、何の配慮もなく感想を述べるのは違う。
自分に正直である必要があるが、相手に配慮もしないといけない。
場合によっては、何も語らないのが正解の時もある。
それにAは、表には出さないが、結構気難しいところがある。
質問は慎重に・・・
「『かるく様子を見るためにジャブを打つか・・・・』」と思った矢先である、
隣席のBが、かなりナイーブな部分を
「●●を××の使い方するのはどういうこと?」とストレートに聞いてしまったのだ。
『・・・ちょ・・・おま・・・』と思ったが時すでに遅し、Aはやや不機嫌な面持ちで「あの作品はこういうことで~云々」と「制作側の思い」の話になり、「作品そのもの」からはやや乖離した話が始まってしまった。
『あ~あ・・・』こうなるとボクの頭は、真っ白である。
話が落ち着くのじっくり待つしかなかった。『作品に関して、詳しく語るのはよそう・・・』ボクはレモンサワーをぐっと飲みこんだ。
話がようやく落ち着くと、突然「奥さんを顔で選んだ」と彼は言う。『んっ?』とぼくは思った。
あまりにも不自然な会話の切り出し方だ。
話の前後に、奥さんの話は出ていなかったし、まして「奥さんを顔で選んだ」という発言は新婚夫婦から出ていい言葉なのだろうか?『うーん・・・どういう意図だ?』と訝し気にAの顔を覗き込んでいると、つづけて「会社の新人と不倫している」というではないか。
なんだかあきれてしまったが、じっくり話を聞いていると、ボクが感じるに「男として成功した」ことをアピールしたいらしい。
直接的な表現こそなかったが、要するに「美人な妻と若い愛人の両方を手に入れている俺スゴイ!」ということだ。
BやCが「奥さんにバレたらどうするのか?」と問いただしても、「ばれないようにする!」という頓珍漢な回答が繰り返されるだけだけで、どうにも会話にならない。
子供もできたばかりなのに、どうしてそんなことをするのか・・・と皆あきれ果てていたが、
ぼくは、そんな彼の姿を見ながら『恋をすると人間はチンパンジー並みの判断能力になる』というメンタリストDの言葉が頭をよぎった。
恋って怖いな・・・としみじみ思う。かく言うボクも、大学時代にやらかしているからだ。(不倫じゃないよ!!)・・・まさにチンパンジーであった。
ご迷惑をおかけしました。反省しております。
ここで言いたいのは、どのくらい恋が怖いのか?どのくらいAが恐ろしい判断をしているのか?というと、この年末飲み会に参加しているボクたち三人(ボク、B、C)は、Aの結婚式に参加しているのです!
もう一回言います。
ボクたち三人は、彼の結婚式に参加しているのです!
なんだよ。あの結婚式って茶番なのかよ・・・とボクは思った。あの素敵な空間は一瞬で、壮大な茶番劇へと変わり果てたのだ。Aの涙も奥さんの涙も、すべてが陳腐なものに堕ちてしまった。
悲しいかな、Aは恋に盲目になるあまり、過去の思い出に泥を塗っていることに気が付いてないのだ。「3万と返して・・・」と思ったのは言うまでもない・・・(奥さん渡したと思おう・・・(´Д⊂グスン)
話は、変わって仕事の話へ・・・
新人にパワハラまがいなことをしたと、得意げに語るA。
冗談を交えながらとはいえ、権力を誇示するためのアピールなのだったのだろうか?真意は不明だが、
話進むにがつれ、どんどん熱が入ってくる。正直言って、逆らえない立場にある人間に対して、強権をふるう快感は、わかる気もするが・・・・ダメだろ・・・ちょっと悲しくなってしまった。
僕はただ、そんな彼の話を聞くしかなかった。
さらに飲み会はすすみ、「やりたいことをやるべきだ!」と強く語る彼、「学費も無駄にならなかったし・・・」とぼそりとつぶやく。
この発言の意図はわかっている。ボクら三人に対する嫌味である。
ボクらの出身大学は、彼の働くクリエイティブ業界に関する大学だった。
結局、Cは公務員、Bは営業、ボクは工場と全く関係ない職業に就いたが、卒業して10年近くたってもそのクリエイター至上主義的考えなのには驚いた。
正直、私立大学のほとんどはモラトリアム期間の延長といった側面が強いし、多くの卒業生は専攻とは関係のない仕事についている。
ましてや、ボクらの就職時期はリーマンショック直撃世代。
4人に1人は就職浪人だった。うち3人の75パーセントもクリエイティブ業界に就職したわけではない。ほとんどが、一般企業なのだ。
中には、就職せずに自転車で日本一周したやつもいる。
ちなみにボクは、在学中、悲しいことにクリエイティブ業界で食う能力はない!と自身に見切りをつけ、早々に専攻とは関係のない一般企業へ就職した。
そういえば、当時お世話になっていた先生も「クリエイティブ業界に就職しないからといって落ち込む必要はない。一般企業という選択もありだ。」と言っていたなぁと思いだした。
当時は、YouTuberが台頭していた時代だったし、今後セカンドクリエイターが増えるのに何言ってんだこの先生?と不思議に思っていたが、
そういった「専攻と関係のある仕事につくべき!」という考えや、彼のようなクリエイター至上主義みたいな人はきっと多いのだろう。
彼はどうしたのだろうか?変わってしまったのか?それとも、変わらなかったのか?
そんなボクらにむかって、「やりたいことをやるべきだ!」と強調し、「みんなも、やりたいことをやるべき!」と同意を求めてくる。
この言葉は刺さった部分もあるが、あまりにも独善的だとも思う。
「やりたいことをやる」ということは素晴らしいが、全員が「やりたいことをやる必要はない」とボクは思っている。
「やりたいこと」よりも、「できること」を伸ばしていくほうが、幸せな人は多いだろう。
愛読している、週刊プレイボーイで、西村ひろゆき氏と堀江貴文氏が同じようなテーマで話し合っていたことを思い出した。
「夢を追うべき派」の堀江氏と「できることを」の西村氏。
どちらが正解はないのだろうが、どうにも彼は「やりたいことをやるべきだ!」という自分の成功経験を押し付けてくる。
はっきり言ってウザったい。
職場の上司の自慢話を聞いている感覚になってしまって、正直疲れた。
できることをコツコツと積み上げ、新しいことに少しづつ挑んでみる。そんな生き方だってあるじゃないか?皆がみんな、初めから挑戦する必要はないし、「人それぞれ」という寛容さがAには失われてしまったように見えた。
これも要するに、「夢をかなえた俺スゴイ!」ということだ。
「美人な妻と若い愛人の両方を手に入れている俺スゴイ!」「夢をかなえた俺スゴイ!」と二つのスゴイを見せつけられて、『いったい彼の目的はなんなのか?』と困惑した。
ボクは「彼なりのウィニングランなのか・・・?普段から他人に褒められてないのか?目に見える成果がないのでは?もしかして、気持ちが安定してないのかも?」
などのんきに思っていると、会の終わりにBがつぶやいた。
「あいつ・・お前(筆者)にスゴイマウントとってたな・・・」
「どっしぇぇぇ!!えぇぇぇぇ!!マウントだったのかよぉぉぉぉぉ!!!」と驚いた。気が付かない僕もずいぶんのんきな奴だったなぁ・・・笑
てか、まてまてまて!
「お前に」ってなんだよ?なにBと俺の間に線引いてんだよ?と、マウントをとった彼よりもBに腹が立った。
さらにそのあと、Bは第三者(D)にもあいつ・・・めちゃくちゃマウントとってた・・・」と吹聴したらしく、余計に腹が立った。
言わない優しさってあるやん?なあ?
Bはそういうとこある。Bの個性であるし、かわいさでもあるが・・・
それも含めて、人間ってわからない。
最近は悩んでばかりである。
(※ 本記事は前記事チー牛より以前にブログで書いたものです。)
PS 飲み会の時のAのあまりに傲慢な感じに少々腹が立ち、(マウントとられたことは腹立ってないけどね)
以前NHKで放送をしていたヤマザキマリ(漫画家)と市川亀次郎(現・市川猿之助)が対談の中で、
亀次郎が「私たちはノアの箱舟には乗れませんからね。」「だからお客様に必要とされることは尊いんです。」といった話を出すために、Aにわざと吹っ掛けてみた。
「4次産業はしょせん四次産業といった面があるよね~」
ぼくの狙いとしては、こうだ
①「しょせん」とあえてつよい否定語を出しておき興味を引く
②「現場は、されど四次産業って思って頑張らないといけない辛い面がある」と同情
②「世の中が豊かじゃないと盛り上がっていかないよね」で同意を求める
③「応援してくれる人がいるって尊いんだよ。」(謙虚になりましょうとやんわりと注意。もちろん私生活もね。)
完璧な流れ。勝った!
ボク「4次産業はしょせん四次産業といった面があるよね~」
A「あん?」
ボク「ひぃっ・・・」
負けました。
まぁ、こういう失敗よくあるよくある。
「うまく伝えれなかったな」と思う反面「クリエイティブ業界人じゃない自分だから、聞く気もしないってことだろうな」、同じ土俵の上でない人間の意見など誰も聞きやしない。
やや落ち込みつつ、ボクは、夢やら欲やらで膨れ上がったAから逃げるように地元に帰ったのでした。
東京は怖いとこだべさ。
はああああ
今日もネジ作るの楽しいや!!!!
さらにPS
その3か月後にコロナだもんな。
彼は仕事がだいぶ吹っ飛んだらしい。
巣ごもりで、夫婦仲も健全になればいいけどね。
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