見出し画像

週刊わたしの映画(と舞台)メモ『カモンカモン』『世界で一番美しい少年』『九十九想太の生活』

今週の映画メモです。舞台の感想もあります。そういうときもある!


『カモンカモン』
監督:マイク・ミルズ

ずっと気になっていた作品。最近『ボーはおそれている』でホアキン・フェニックスを見たばかりだし、勢いに乗って観てみました。

ホアキン・フェニックスが演じるのは、ラジオジャーナリストのジョニーさん。仕事でアメリカ中の子どもたちに「未来はどうなると思う?」「自分を変えられるならどんなことを変える?」とインタビューをしています。そんな彼が、妹に頼まれて9歳の甥っ子・ジェシーくんを預かることに。私生活では子どもと接することがなく、妹とも疎遠だったジョニーさんとジェシーくんの数日間を描いた作品です。

おじさんって、親ほど近くないけど、他人よりは近くて、不思議な関係。少しずつ打ち解けていく様子が微笑ましかったです。二人でワーッと叫ぶシーンがあってそこがお気に入り。大人でも子どもでも大丈夫じゃない時はある。大丈夫じゃない時は大丈夫じゃないと叫ぼう。

お話も良かったんですけど、合間合間に入るジョニーによる子どもたちへのインタビューがとてもよくて。これは台本ではなく、ホアキンさんが子どもたちに実際にインタビューしているんだそうです。私が英語を聞いて全部理解できればもっともっと良かったろうな…。字幕のおかげでどんなに素敵なインタビューなのかは分かるんですが、生の言葉だからこそ、音で感じ取れたらもっと心に響いたような気がしてなりません。ちょっと悔しい。

『世界で一番美しい少年』
監督:クリスティーナ・リンドストロム/クリスティアン・ペトリ

『ベニスに死す』の美少年タジオ役で一躍有名になったというビョルン・アンドレセンのドキュメンタリーです。以前『ベニスに死す』を見た時、他にどんな代表作があるのだろうと検索してみたら想像より出演作品が少なく、なのに急に『ミッドサマー』に出てる…?!というのが気になっていました。ビョルンさん、どんな人なのだろう…と思い鑑賞。

これは大変な話でした。15歳の子どもに対して、大人たちが勝手すぎるし醜すぎるしひどすぎる。元々家庭環境が複雑ではあったビョルンさんですが、ヴィスコンティ監督に見出されたというか見つかってしまったというか、とにかくそこで注目を集めてしまったことが彼の人生を決定づけたような印象でした。

日本でも大ブームが起きたようで、当時の映像や、当時を知る人達のインタビューも流れます。オファーを受けた方々は、もしかしたら「当時の思い出を話してください」くらいの感じだったのかもしれませんが、ウキウキ懐かしく語る様子と、私がたった今映像で見て知ったこととの温度差がありすぎて、かなり複雑な気持ちになりました。

人となりについては深くはよく分からなかったというか、そりゃ、分からないですよね。私たちがカメラを通して見ているいろんな人たちのこと。カメラを通してなくても、身近な人でも、見えてることが全てじゃないし、見せなくてもいいし。そんなことを思いました。あと『ミッドサマー』の撮影風景がちょっとだけ見られて、オオッ!と思いました。

スプリングマン公演『九十九想太の生活』

今週は映画の他に舞台を観に行ったりしてました!私が尊敬してやまない事務所の先輩・木村はるかさんご出演の『九十九想太の生活』です。観た日にポストはしたんですが、せっかくなのでここにも感想を。

主人公の九十九想太くんは世田谷の古い一軒家に一人で暮らしています。仕事を辞めて家でモヤモヤしている様子。なんでかというと、この家の取り壊しの話が進んでいるから。仕事で忙しく全然実家に帰ってこないお兄ちゃんが、こんなときにはやってきて、ちゃんとハンコ用意しとけって言ったじゃんとか言ってくる。従姉妹も急に首を突っ込んできたりする。隣に住む親戚夫婦や、同級生もなんやかんやとやってきたりする。モヤモヤする。そんな生活の数日間を描いたお話です。

役者仲間ではなく普通に仲良しのお友達を誘って観に行ったのですが、会場出た瞬間からしばらく「よかった…」「よかったね…」「いいおはなしだったね…」とうわ言のようにそれしか言葉が出んみたいな時間を過ごしました。それぞれに違う箇所が刺さり、それぞれに言葉を失っていた。

実家の形がなくなるという事件(事件ですよねもうこれって)、私の人生にはまだ起きてないことなんですけど、だからこそ考えたこともなくて、どんな気持ちになるだろう。見るまですっかり忘れてた壁の落書きとか歪んじゃったカーテンレールの端っことか、いろんなことを思い出しました。そしてそれって、そこにある記憶って、思っているよりもっともっと大事なものなのかもしれないと気が付きました。写真とか動画、撮っとこう…。とてもとても素敵な時間でした…千秋楽おめでとうございますお疲れ様でございます……


そんな感じで映画と舞台を楽しんだ一週間でした。実はディズニーシーにも行きました。そしてジェラトーニくんのぬいぐるみをね、手に取ったら、置けなくなっちゃって、連れ帰りました。新しい綿のいのち。毎日なでてます。そんな近況です。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?