良かったクイズ大会2023

こんにちは。ダイキリです。
2023年は素晴らしい大会が非常に多く、本当に楽しい年でした。間違いなく私の人生で一番楽しかった一年でしょう。ということで、昨年私が実際に参加した中で特に思い出に残っている大会を振り返ります。


さとししょうちゃんそうちゃんかわりょクイズ(SSSK)

 まずは2月に開催された「さとししょうちゃんそうちゃんかわりょクイズ」。名前の通り、川向さん・福本さん・藤田さん・川上さんの4人の問題を出すという大会です。
 メンバー的に硬め学問系が多くなるかなという予想は概ね当たりましたが、その中に趣味の青緑とか、川上さんの柔らか問題とかが混ざっていて、4人全体が感じられつつそれぞれの個性も見える問題群だったと思います。「うすい」「つめたい」「さむい」の対義語→あつい、と「マジャパヒト王国」を連答したのが個人的に思い出に残っています。さらに作問者別のコースがあって、私は藤田さんコースにしたのですが、好みの雑学問題に加え、青や緑の趣味も合っていて超楽しかったです。
 また、この大会はデザインへのこだわりもあり、特にペーパークイズの解答用紙が青と白の斜めストライプ柄になっていました。デザイン自体の良さもありますが、受付で用紙を渡された時点から期待感を煽られるという体験を重視したデザインだったと思います。
敗者復活で出題されたちょうど良すぎる○×クイズも必見!

彩色硝子杯

 3月に関西で開催された「彩色硝子杯」。MutiusOBの鈴木さんが「好奇心から世界を覗く」をコンセプトに開いた個人杯です。面白そうと遠征しましたが、結果は想像以上。それまでのクイズ人生で一番と言っていい良大会でした。
 何より、問題が面白い。広範なジャンルからの出題でバランスを感じさせつつも、おもしろ前フリのついた問題が多く、鈴木さんにとっての世界の面白さが伝わってくる問題群でした。出題の方向性を尖らせた方がその人の顔が見えつつ面白い問題群が作りやすいのですが、この大会の問題群は、そこまで一方向特化と感じさせないまま、自然に様々な面白さを受け取る中で出題者の人となりが伝わる群でした。これこそクイズの作問者にとっての「作風」というべきものです。高い作問技術と、知識への旺盛な好奇心があるからこそ作れる理想的な問題群のひとつだと思います。
 おもしろ前フリ系が多い中で、コース別にスポーツ、芸能、アニゲジャンルコースを用意するなど、「好きなものを答える」という楽しさも入れ込んでいてgood。ペーパーも面白かったですが紙落ちはなく、全員2回以上早押しできるホスピタリティも良かったです。

MOS the 2nd

 「MOS the 2nd」は、その名の通りMosさんの個人杯。3月に名古屋で開催されました。主催者が最近読んだ本などから出題するというコンセプトで、認知言語学が専門のMosさんとは学術的な興味が近いこともあり、普段なら答えられない専攻の問題を答えられるかもと思って参加しました。
 結果的には専攻の問題が出てくれたのに答えられなかったのですが、それ以外のおもしろ雑学問題に答えられて非常に楽しかったです。終わってからMosさんに伺ったのですが、これはクイズにしやすいとか答えが出そうとかを一旦考えずに、出会ったものをとにかく出題しようという設計思想があったらしく、確かにかなり簡単な問題から、おもしろ前フリ、深い学問問題、超難問まで、Mosさんの見ている世界の範囲で最大限に広く出そうというような印象を受けました。これぞ個人杯という感じで超良かったです(私は個人杯や少人数作問大会が大好き)。3回目も出たいな。

IRODORI ONSTAGE

 6月に滋賀で行われた「IRODORI ONSTAGE」は、滋賀在住の八崎が開催した大会です。「全てのクイズが壇上で行われる」というコンセプト。八崎のやりたい演出やデザインがふんだんに盛り込まれた大会だったと思います。
 八崎は私にとってかなり興味深い作問者です。たぶん問題の面白さの方向性自体は似ているのですが、普段の生活で触れている知識のジャンルが違いすぎて、八崎の問題はほとんど分からないし、作り方もよく分かりません。私が興味のない経済・行政や医療の問題が八崎は好き、私は自分の生活から遠い世界が好きだが八崎は自分の周りから出したい派であるなど、かなり対照的です。それなのに問題自体の作り方は似ている気がして不思議です。この大会の問題も八崎らしいジャンルと切り口でした。
 さて、この大会の「全てのクイズが壇上で行われる」というコンセプトも、私のクイズ大会の設計思想とはまるで異なります。私は極端な話、他人がクイズしているところに興味がなく、それより自分がクイズしたいというタイプなので、私の開く大会は大抵、観戦より「プレーヤーとして多くクイズができる」ことに重点が置かれています。だからIRODORI ONSTAGEは異文化を見るみたいな気持ちで行ったのですが、盛り上がりを重視しながらも解答者を主役とする正誤判定と司会、デザインにこった得点表示など、「壇上のクイズ」への愛が感じられて非常に良かったです。試合が多いため観戦時間が長かったのもそこまで気にならなかったかな。
 自分では絶対開かない大会がしっかり成功しているところを見れるのは、クイズという趣味の醍醐味のひとつですね。

WidowMaker 2023

 「IRODORI ONSTAGE」と連戦で開催された「WidowMaker 2023」。「コードトーカー」シリーズで人気だった高生さんの個人杯です。「悪意と原点」というコンセプトをぶちあげています。
 意外で面白い事実を出す高生さんの問題群はかなり好きですし、私も自分にとっての「原点」を意識してクイズを作っている節があるのですが、「悪意」の部分が決定的に私とは違う部分(クイズは「敬意」に基づいた遊びだと思っています)。期待半分・怖いもの見たさ半分で参加しました。結果としては、参加する価値のある超良い大会だったと思います。
 まず「原点」について。前説で「自分にとってクイズの楽しさは知らない面白いことを知れることだから、この大会で結果が出なかった(正解できなかった)人が最もこの大会を楽しんでいる」という主旨のことが言われ、まず感動。正直さすがに言い過ぎではあるのですが、この大会における「原点」はそういうことだとあえて言い切る覚悟を感じました。
 次に「悪意」について。この大会では偉人の残念エピソードをはじめとする「そんな事実があるのか。ガハハ。」みたいなタイプの問題が非常に多く、またほとんどの問題についている「一言コメント」も悪意まるだしでした。率直に言うとやり過ぎて下品感はあったのですが、コンセプト通りですし、また参加者がこの空気を楽しもうという共通認識を持っていたこともあり、実際に参加した限りだと、嫌な部分よりも楽しい部分が印象的でした。後から問題集を読んだときは「こんなに悪意あったっけ?」とちょっと嫌になったので、問題集で読むより実地で参加して楽しむ大会だと思います。
 もちろん、悪意が薄めの単純おもしろ問題も結構出ており、私はむしろそういう問題を特に楽しんでいました。なんだかんだ「問題のクオリティが高い」ことによって成立していた(させていた)ような気がします。第2回も今年やるそうなので非常に楽しみですね。

BlueGreenCup

 7月に開催された、青問(漫画・アニメ・ゲームなど)と緑問(芸能)の2ジャンル限定のペア戦大会です。
 ジャンル限定の「好きなものを答えられる楽しさ」「同じものが好きな人がいる楽しさ」を味わえる最高の大会でした。題材としてコアすぎるものは少なく、割と有名コンテンツから出題されているのですが、前フリが「それが好きな人は答えられるが、他の人は押しにくい」ように構成された問題が多く、押していて非常に楽しかったです。それぞれの会心の正解が生まれやすいため、観戦していても素晴らしい押しが連発し盛り上がっていました。『かいけつゾロリ』の「ブルルチョコ」が前フリで押され、「そこで分かって押したのはすごいけど、流石に単語を5カウントで思い出すのは無理だろう…….」と思ったら正解が出た瞬間の盛り上がりを今でも覚えています。
 もうひとつ印象的だったのは、部屋別進行の都合上、別部屋で使った問題を発表する瞬間。自分の好きなコンテンツがそこで出ると「あ~出ちゃった」という阿鼻叫喚の声が会場から上がり、その気持ちが分かる連帯感が良かったです。
 主催と近い世代までが出れるレギュレーションによって、問題面では同世代なら知ってるよね的な問題が普段より出しやすくなり、ルール面では全員が押せるようになっていたのも上手かったと思います。もちろん、世代問題一辺倒ではなく、幅広い出題がなされていたので、問題集でフリバするのもオススメです。

Megalomania Tokyo 4

 8月に開催された水上さん・鶴崎さんの大会「Megalomania Tokyo 4」。過去にも紹介したことのある大会をまた挙げるのは芸がないかとも思ったのですが、流石に良すぎる問題群・全員3回以上は押せるシステムがあまりにも自分に刺さるため取り上げます。
 とにかく問題がいい! 基本的にはこれに尽きますし、私は問題さえ良ければ後は何でも許せるのですが、hayaoshiを使って全員が4人押しを3回以上(ダブルエリミネーショントーナメント+Bクラストーナメント)できるというシステムにより、多くの人が正解するという喜びも味わえるホスピタリティにあふれた大会です。4人押しだと場で1人しか答えが分からない場面も結構あるため、0〇で終わりにくいんですよね。なんならあまりクイズやってない人が優勝候補に勝つとかも普通に起こっている。ただ、ホスピタリティにあふれたとは言いましたがこれは気持ちの話で、実装面は未洗練でトラブルが起こりまくります。これを皆が寛容な心で許す(+許される問題群)ということ含めて雰囲気が好きな大会です。
 問題に関しては、私が言うまでもなく優れていることが認識されている気がしますが、おもしろ事実を良い切り口で問うということ以外に、水上さんは単純に文章を分かりやすく書くのが上手いんですよね。膨大な知識量や好奇心に基づいた面白さを、自然に伝えられる。水上さん自身は「自分が面白いと思ったことは他人にも伝わる」という信頼感に基づいて作問しているそうですが、これは水上さんが「自分の思った面白さ」の伝わりやすい文章をちゃんと書けることに立脚した信頼感だと思っています。私が文章下手なのもあるかもですが、やっぱり面白さを人に伝えるのは難しい。私は作問する上で、水上さんの問題文をめちゃくちゃ研究しています。
 そんなMegalomania Tokyo、次は今年の5/3に512人規模で開催されます。寛容な心があれば最高に楽しい大会だと思うので、迷ってる人はとりあえず参加してみることをオススメします。

重信諭吉光太郎杯 弐

 堀籠さん・濵口さん・夏目さん・藤本さん・中西さんの若手5人が作る大会「重信諭吉光太郎杯」の第2回。レギュレーションが拡充され、私も出場できました。
 全体的におもしろ雑学・コンテンツ好きな人向け問題・柔らかい問題が多く、非常に好みの問題群。最近はこのような問題群(かつ1問1問のクオリティもちゃんと高い)が増えていて大変幸せです。作問者5人の問題の面白さの感覚は近いような気がするのですが、同時にそれぞれの色が違うこともかなり伝わってきました。参加者が問題を楽しもうという共通認識を持っている雰囲気も素晴らしく、とにかく楽しかったという感想です。
 私個人はペーパー1位から優勝という栄誉にあずかりました。ペーパーも面白かったですし、2Rで開幕良い問題を2連答して勝ち抜けたのが嬉しすぎたので、記録集出版が楽しみです。
 オリジナリティのある楽しい問題が多いのに、2023年2月から半年しか空かずに第2回というのもすごいですね。第3回もあればぜひ参加したいので、気長に待とうと思います(大会は1年に1回やれば充分すぎるほど多い)。残念ながら未だ記録集は出版されていないので、第1回の記録集を紹介しておきます。

PoC (East)

 9月にWest・Eastに分けて開催された「PoC」。教育・生業・余暇の3本柱を軸にした「社会人短文」という問題コンセプトで、オンライン予選による参加人数絞りで全員が複数回押せるルール(かつ予選で落ちた人も昼休憩の時間にクイズができる!)も含め「社会人になってから楽しめるクイズ大会」が志向されていました。コンセプト通り、多くの人が楽しめた大会になっていたと思います。
 「社会人短文」ということで、参加する前は共感重視というか、いわゆるその界隈の「あるある」的な主旨の問題が多いのかなと思い、社会人経験のないプー太郎の自分は苦戦するだろうと思っていたのですが、蓋を開けてみると、周りと共有したくなるような知って面白い事実みたいな問題がかなり多く、自分でも正解が出せましたし、聞いていて楽しい問題群でした。クイズの「事実を知って面白い」という素朴な楽しさも大事にされていましたね。皆が楽しめるように問題数は多かったのですが、1問1問のクオリティが非常に高く、忙しい生活の中でこの問題群を用意しきった主催陣の気合を感じました。
 主催のひとりである萬谷さんの司会も上手く、観戦して盛り上がる実況的な要素と、問題のフォローや解説のバランスが絶妙でした。プレーする楽しさ、知ることの楽しさ、他人の正解を見る楽しさといった同人クイズ大会の良いところひとつひとつが、ホスピタリティに基づいて丁寧に準備されていて、「社会人の遊び場」という理想に相応しい大会だったと思います。第2回もやってほしい!

リンゴ農園収穫祭 2023

 10月に開催された「リンゴ農園収穫祭 2023」。詳しくはこちらの記事に書いているのですが、問題だけでなく「システム」と「デザイン」に徹底的に配慮された素晴らしい大会でした。一度紹介しているので、ここでは私が特に感動したところ2点を紹介します。
 まず、1Rの「KAMI-LESS」。名前の通りペーパークイズの代替として開発されたシステムで、ざっくり言うと「パネルではなく自由回答でき、1問1問解説と早押し上位正解を表彰できる"みんはや"」。誰かが押しても自分は早押しが続けられるという"みんはや"のメリット、1問1問で解説と表彰がある盛り上がり、ペーパーの採点時間が要らない運営上の利点など、私が常々感じている「こうなったらいいな」がかなり実現されていました。これだけで大会が成立するレベルだと思います。
 次に、問題を1問1問 X(Twitter)で共有できるシステム。私はクイズ大会の華はやっぱり問題と解答者だと思っており、良いと思った問題や答えられて嬉しかった問題をSNSで簡単に共有できるこのシステムは大会の楽しさを何割増もさせると実感しました(問題表示スクショより、進行中のクイズを後から振り返れる点で優れていると思います)。特に同時並行で何試合もするhayaoshiの大会との相性が良いと感じたので、自分の大会でも導入できたらしたいと思っています(既に全員に出された問題しか見れないようになっているフールプルーフ付き)。
 特殊なルールのときはそれとうまく噛み合う問題が選ばれていましたし、通常問題の1問1問もしっかり練られていたと思います。今年は定員を増やして開催予定とのことなので、クイズ大会を主催したいという方はぜひ参加をオススメします。

an Episode

 「an Episode」は、「問題集は出してないけど良い問題を作る」メンバーを集めて大会をやるというコンセプトの大会。日本各地から集まった作問陣の手による問題群が特徴的です。
 この大会の良いところは、何といっても問題の素晴らしさ。2Rが始まってすぐ「おいおい、このペースで行くの!?」というレベルの濃さでハイクオリティな問題が連発されます。知らなかった意外な事実、そこに目を付けたか系の問題が多く、私の好みにめちゃくちゃ刺さりました。それでいてジャンルや切り口が広範で、11人もの精鋭作問スタッフを集めたからこその問題群だと思います。
 私個人も自分の経験が活きた正解や覚えたいと思っているおもしろ雑学系問題を中心に正解し、とても楽しかったです。他の人もすごい正解を叩き出して盛り上がる場面が多々あり、これも良い問題あってこそだと思います。
 この大会は様々な場所で再放送が行われていたのも印象的です。面白いけど知られていない作問者に日を当てるというコンセプト的にも、単純に多くの人を楽しませるという意味でも、とても良い取り組みだと思います。大会の再放送の仕組みが色々な地域で構築される最高の未来も近いかもしれません。
 主催の細見さんは数々の大会を生んできた名プロデューサー。同じコンセプトの大会は基本的にやらないそうですが、次はどんな企画をやってくれるんでしょうか。楽しみにしています。

箸棒2

 木下さん・中島さんによる京都でのクイズ大会「箸棒」の第2回。第1回の問題集を読んで次回があったらぜひ参加したいと思っていたところ、1年経たずに第2回が開催され、ウキウキで参加しました。「箸棒」の公式noteの参加者レポートに私も一筆書かせてもらってますので、そちらも良ければご覧ください。
 「誰もが楽しめるクイズ大会」を謳い、全員が3回早押しできるルール・こだわり抜かれたデザインなど、素晴らしい取り組みが数多く存在するこの大会ですが、私が強調したいのは何といっても問題の良さ。知らないおもしろ事実を見つける能力と、それを調理する技術の高さ。ときには作問者自身の目線をうまく入れ、「クイズ」として完成度の高い1問に仕上げている問題もありました。
 参加者のレベルも非常に高く、全体的にはそこそこ難しいはずなのに、前フリの早いところで押されるみたいなことが目の前で何度も起きました。全員が3回以上押せるというルールと、多くの参加者が渾身の正解ができるという問題群がうまく噛み合って、全体の幸福度がアップしていたと思います。他の大会より徹底的に力の入ったデザインや、得点表示と連動した早押し機などのシステムも、観戦の楽しさを更に高めていて、様々な相乗効果で参加者の体験を良いものにしようというこだわりが感じられました。
 また、最後に優勝者だけでなく、「作問者それぞれの自信作」を正解した人に賞品があるというのも良かったです。私は予想する系の前フリの「メンデレーエフ」の問題を答えてキムワイプをいただきました。1問1問の正解にフィーチャーする試みがこれからもっと増えると嬉しいですね。
 大会後、主催のお二人に挨拶したところ、中島さんから「いろは第1回(私が2019年に主催した大会)の問題を読んで衝撃を受けて今に繋がっている」というようなお言葉をいただき、とても嬉しかったです。日頃からクイズ界に微力ながら貢献して恩を返したいと思っているので、良い大会が生まれるのに少しでも寄与できたなら、大会主催者としてこれ以上の喜びはありません。次回もあれば絶対参加します!

mQ ’23

 最後に紹介するのは、12月に開かれた「ボードクイズだけ」の大会「mQ」。mono-seriesの主催者・神野さんが主催する大会です。
 この大会を一言で言うと「最高のクイズ大会」です。問題は参加者の持ち寄り(出さなくても参加できる)で、全員に出題。コンセプト的には「その界隈では常識」的な問題が多めです。自信があるなら起立すればハイリスクハイリターンになるというのがほぼ唯一のゲーム性で、基本的には他人の出したクイズ、知らない知識、自分の正解、他人の正解を楽しむという場です。
 この大会の良いところは何といっても雰囲気の良さ。問題が難しめなので、少数正解になることが多く、自然と正解者を称える雰囲気になります。問題自体も、自分の知らない世界の紹介という側面があり、たとえ全滅でも「へ~」みたいな反応が上がることも多くあります。正直、問題群自体の好みでいうと、これまでに紹介したような大会の方が個人的な嗜好に一致していますし、超大きな大会でもないので、ジャンルの偏りとかもあります。ですがそれ以上に、勝負性やゲーム性がかなり少ない(無いわけではないですが)、問題・知識・自分の正解・他人の正解をシンプルに楽しむことに主眼が置かれた場に60人ほど参加者がいて、それぞれ楽しんでいると雰囲気から実感できるのがとても良いのです。エンタメが溢れた世の中で、高いゲーム性が充実している競技クイズ界で、かなり素朴なクイズを愛している同志がたくさんいることが分かる、私にとって何より幸福な空間でした。
 今回は自分の大会の準備と重なって問題を提出できなかったんですが、次は問題出して出題者としての楽しみも味わうぞ!

おわりに

 昨年1年を通して思ったことは、クイズ界全体としての作問技術が格段に向上しているということでした。ここで紹介した大会はほんの一部で、素晴らしい大会は他にもたくさんありますし、企画や問題集のレベルでも、それぞれ違ったベクトルで面白い問題群が毎週のように生まれています。紙落ちなしで全員が複数回押せるルールや、デザイン・得点表示に凝った大会もどんどん増えてきました。
 2023年だけがたまたま当たり年だったのか、これからも大会のクオリティが向上し続けていくのかはまだ分かりませんが、私は後者だと信じています。一方で、大会を開くハードルは上がらないで欲しいとも思います。自分自身で考えて問題群を編み、苦心して開くクイズ大会というものは、開催されるだけで価値があるものです。クイズの愛し方がそれぞれ違う色々な人が、ひとつのクイズ大会を、あるいは主催者として、あるいは参加者として作り上げていく空間自体を、私は愛しているのです。
 2024年も、素晴らしいクイズ大会にたくさん参加できますように。

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