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気軽オーディオのすゝめ(2)

 ・再び

 前回の投稿(なんと3年前)を参考にしてオーディオを始めました、という方がコメントをくださりまして。とても嬉しくなったので初投稿です。

 前回https://note.com/daioujou/n/n6268deaeadbdをそこそこ大きく改定してあります。具体的には読みやすく整理したり、リンクや画像の追加、月日の経過で通用しなくなった情報の補足等です、参考になれば。

・オーディオ、安く始めるには?

 今回はこの題目に集中します。主に予算を区切って「これとこれ、これを買えば工事完了です」というテンプレ・レシピを置いておきます。2024年1月現在の価格という記録をここに残しておきます。

 3年前から状況は大きく変わり、オーディオと言わず全ての物価が激増しています。3年前の推しだったTEACは今や倍の金額で取引されており、当時の機材水準で3万円オーディオを達成することは、新品購入においては既に不可能となってしまいました、残念です。

 しかしまだ、安価オーディオが不可能となったわけではありません。機材の選択を厳選すればまだ3-5万円で満足の行くオーディオと呼べる環境が手に入ります、まだ。

 今日は現時点で満足感の高い、しっかりしたオーディオを3万から5万円で構築する選択を紹介する記事にしようかと思います。元論PCと簡単に接続し、迷うこと無く音楽と動画を楽しめる構成です。

 この記事はスピーカーを用いることを前提にしています。ヘッドホン・イヤホンでの環境とは少し違いますが、一部の紹介機材にはヘッドホン・ジャックが搭載されているので、ヘッドホン環境にも流用可能となります。

FXaudioというメーカー

 前回記事にもありましたが、現状安価に、そして卓上でオーディオ環境を整えるにはこのメーカーが一択という状況です。中華企業ですが、日本代理店がしっかりしており、保証・修理相談の連絡がつきます。(他の中華系は期待しないでください)

 ヤフーショップ・Amazonで購入でき、どちらでも利用しやすい方で購入されるといいと思います。機材本体と電源が別売りであり、無知識で買おうとすると少し手間取ります、手間がある分安く揃えられる感じですね。

・3万円プラン

 アンケートでは2番目に多い予算でした。3万円を少し超えても良いという方がわりと多く、5万円までという方が約半数という結果。5万okとなるとかなり選択肢がありますが、3万円はかなりギリギリです……が、できます。

FX-AUDIO- YD-202J YDA138

FX-AUDIO- YD-202J YDA138

 PCとUSB接続できる、オールインワン型プリメインアンプです。
 色はブラックとシルバー(フロントパネルのみ)のニ種類。値段は7260円。

 必要な機能のほぼ全てが搭載されています。USBケーブルでPCに繋げば即音が出せます。リモコンが付属。光入力がなく、テレビやゲーム機との接続ができません。別のオプションを買えばできますが、それをするぐらいなら上位機種の方が安上がりです。

 性能的には程々です、ですが初めてオーディオに触れる方にとっては過不足無い性能はあります。未だかつて聞いたこと無い世界の扉を、このクラスのアンプでさえ開いてくれると思います。

 現代のデジタル技術が生み出した最軽量の小型オーディオアンプのパワーを体感してください、二度とモニター内蔵サウンドに戻ることはできないでしょう、オーディオ専用機器とは、それだけの圧倒的な性能差があります。

 なお、FXaudioの製品は全て電源別売りです。

ACアダプターが必ず必要。

・DC19V/3.16A 汎用スイッチング式ACアダプター

 1980円、全てのFXaudio製品にこれが必要になります。これ以外のアダプタも使うことができますが、当たり外れが多い(本当はこれも例外ではない)です。

 このアダプタはリユース品としてメーカーが回収再生した半中古品ですが、強力なAC電源であり、リユース品なので安く、そして音を強くします。オーディオ機器にとって電源はかなり重要なのです。

 アンプと電源が揃いました、ここまでで9240円です。

 それでは次はスピーカーに移りましょう、オーディオにおいて最も音を特徴づける品です、スピーカーの種類によって大幅に音の傾向が変わります。

FOSTEX P802-S

・FOSTEX P802-S

 国産メーカーFOSTEXのスピーカー、ペア(左右2つ分)。価格は14850円。
 P802Sは自作用キットの完成販売品であり、この状態で届くので購入者は付属のケーブルでアンプに繋ぐだけで音が出せる状態になっています。

 FOSTEXは主に自作オーディオ用の部品類を製作販売したり、音楽を作るクリエイター向けの業務用機材の開発販売をしているメーカーです。このスピーカーも本来は業務用に近く、モニター(制作した音の確認用)用途といった側面もありますが。ツィーター(上側の黒い丸のような部品、高音を専門に出す部分)も搭載されており、バランスの整った音と性能をしています。

 最大の特徴は「小さい」ことです。
 殆どの方がディスクトップ……PCとディスプレイが机の上にあり、その横にスピーカーを2つ並べて使うこと考えていると思います。

 ですが殆どのオーディオスピーカーは思ったよりも大きい。机が狭い等の理由も多々ありますが、物理的に置くのは辛い……といったサイズ感に悩まされることが多いのです。ですがP802Sは最小クラスのスピーカーです

 使用例の写真が評価リストにいくつもあるので、見てみると置き方の参考になるかと思います、ディプレイの横に縦置きもできますが。横向きに寝かせて、ディスプレイの下に並べるといった使い方もできます。

置き方は大体こんな感じです。

 配置の自由度の高さ、手頃なサイズ。堅実な音作り、低価格でスピーカーケーブル付属等。2万円以下のスピーカーとしてはかなり優秀な製品です。

 スピーカーケーブルを買う必要がないので価格も抑えられます。
 アンプと電源、スピーカーが揃いました、これで24090円

 最後に必要なのはUSBケーブルです。

 自宅に余っているUSBケーブルがあったらそれでおしまいなのですが、音声信号は結構ノイズに弱く、USBケーブルはボトルネックになることが多々あります。ですが推奨USBケーブルはあくまで推奨です、参考までに。

エレコム AVケーブル/音楽伝送/A-Bケーブル/USB2.0

・エレコム AVケーブル/音楽伝送/A-Bケーブル/USB2.0

 上でもあるよう、低価格帯でUSBケーブルを拘る意味はあまりないです。
 
エレコムはPCサプライメーカーですが信頼性があり、あまりおかしな物を作りません。価格は1473円(2m)、長さは配置に合わせてご自由に。

 USBケーブルには規格があり、1.0と2.0、そして3.0というものがありますが。2.0規格を選択すれば基本問題は発生しません、音楽再生だけであれば1.0でも問題はありませんが、データ転送速度に関わるので、なるべく2.0を。選ぶといいでしょう。3.0は高速通信規格で今は関係ありません。

 アンプと電源、スピーカーとケーブルが揃いました。
 さあ、ケーブルを接続して音を出してみましょう。

ざっくり接続方法。

 全てのケーブルが接続され、パソコンがUSB経由でFXaudioアンプを認識しました。オーディオドライバーのサウンドの項目でUSBで繋がっている機器を選択しましょう。

Windowsは右下のサウンド出力選択の項目から。

 完成です、これで全ての準備が完了。

 合計25563円。3万円以下でオーディオが揃いました。

 
余ったお金は上の図にあるように、スピーカーを置く台座を揃えるのに使いましょう、丁度いいサイズのゴムや木の台座等はホームセンターなりにいくらでもあります。2つ買っても4000円はしないでしょうし、もしAmazonプライム会員やヤフーの送料無料等が無く、送料がかかるとしても、これだけ余裕があれば3万円以内でクリアできます、完成です。

 これで、貴方のマイデスクの上に、これまでの全てを過去にする音響が揃いました。言い過ぎでは? そうでもありません、貴方がこれまで内蔵スピーカーで音楽を聞いていたのなら、世界が文字通り変わります、3万円で

・3万円超えてもいいよという方(5万円まで)

 機材をより上位の物にすることができます。一概には言えませんが、基本は価格が上がれば、概ね音が良くなると思ってもらって構いません。しかし単品単価3万円までのオーディオにおいては、機材のグレードは誤差です。

 どういうことかというと、このクラスの機材の中身は殆どの製品で使える部品が大体似通っているため、個体差・個体値のゆらぎの方が大きいです。全く同じ機材なのに音が違う等はザラにあります、但しこれはFXaudioの機材に限定されます、他の中華廉価機材は個体差が大きすぎます

 このランクの製品で、検品をしっかりしているのがFXaudioのみだという事は覚えておいてください、基本他の中華品は当たりを引くか、ハズレを引くかのチャレンジです、自己解決できる自信が無ければやめましょう。

 合計3万円以上にアップグレードする場合の機材はこちら。

FX-AUDIO- D802J++

・FX-AUDIO- D802J++

 IF/DAC内蔵デジタルプリメインアンプの上位モデル、価格は17480円。
 
DACとはデジタルオーディオコンバーター(DAC)の略です、前回記事に少し説明がありましたが、インターフェース(IF)と共に、PCオーディオには必須に近い機能となっています。説明自体は前回の投稿にあります。

 上で紹介したFX-AUDIO- YD-202J YDA138の倍以上の価格差がありますが、内部部品が上位である他、光音声入力(オプティカル)に対応しています。光ケーブルを別途用意すれば、テレビ・ゲーム機と接続可能です。

 音のクオリティも上位機種として、恥ずかしくない程度には強化されています。部品精度も上がっているため、初期不良の確率が少し下がる他、単純にパワーも上がっています。P802Sを駆動させるに十分ですが、より大型のスピーカーを駆動させることも可能になります。

YAMAHA NS-BP200BP

・YAMAHA NS-BP200BP

YAMAHAの最安価スピーカーです、まだ小型ですがP802Sに比べてやや大きくなったため、デスクのサイズによっては机の上に置くのは厳しくなります。置き場のことを考えなくてはいけなくなるサイズということです。

 最大の注目点は価格、11000円。何故かP802Sよりも安い。

 実はNSBP200は既に生産が終了しているスピーカーです、ところが何故か在庫が常に存在するという謎の多いスピーカーでもあります。そのせいか、市場価格がありえないほど安いまま固定されています。

 安かろう悪かろうと思えばそんなことはなく、見た目のクオリティでいえばピアノブラックのためP802Sよりも優れています。あちらよりやや大きくなり、駆動力を必要とする分、扱いづらくなっています。

 低音がP802Sよりも出ます、つまり音量を上げすぎると壁の薄い住居だとお隣や他の部屋に聞こえてしまう可能性があります。ですがこれでもそこまで低音が出るほうではないので、常識的な音量であれば大丈夫です。

 低価格のためアンプの価格帯を上げてその分こちらで帳尻を取るといった選択が可能です、P802Sよりも扱いづらい分、迫力のある音が出ます。それはスピーカー自体が大きいからです。低音の量と質はサイズに比例します

 機材の質と一緒に上位のUSBケーブルも考えたい場合はこちら。

NEO OYAIDE オヤイデ電気 - d+USB Type-A to C classB 1.0m (USB2.0) USBケーブル

NEO OYAIDE オヤイデ電気 - d+USB Type-A to C classB 1.0m (USB2.0) USBケーブル

 4840円(1m)もしますが、業務用の信頼性あるUSBケーブルです。
 USBケーブルで音は変わらない……わけではないのですが、FXaudioクラスの製品でUSBケーブルを拘っても音の変化に気づくのは難しく、またコストパフォーマンスも悪いので通常は考慮しません、しかしデジタル信号機器はノイズに脆弱で、本来はこのクラスの通信ケーブルを必要とします。PCは絶大なノイズ源であり、IF/DAC/アンプといった機材側もノイズに弱いため、あれば良い物だと思ってください。

 業務用の高品質ケーブルとしてこれは廉価ですが品質が良い、流石に勝負にはなりませんが、最高級品質のAIM電子製USBケーブルはわずか0.5mで4万円以上します。現在のAIMのグレードテーブルでの最上位グレードは約7万円です。こんなものをFXaudioに使うにはあまりにもコスパが悪い、エレコムでも良いと言うのは元々ノイズ耐性の低い低価格帯の機材では、ケーブルによるノイズの変動、性能差をほぼ体感できないからです

 どうせならスピーカーケーブルも変更してみましょうか。
 ちなみにスピーカーケーブルが付属しているのはP802Sだけなので、YAMAHAを選択した場合は個別に用意する必要があります。

CANARE カナレ 4心スピーカケーブル 4S6 1m

・CANARE カナレ 4心スピーカケーブル 4S6 1m

 こちらも業務用のスピーカーケーブル、価格は280円(1m)
 脅威の低価格ですが、プロが仕事用に使う業務用ケーブルとはこういうものです。オーディオ用のブランドケーブルは音の色付けが色々とある分、1000円以下からメートル数万円まで青天井です、ですが初めてのオーディオでこのあたりのケーブルを採用する意味はありません。品質と価格が大事。

 4心ケーブルとは画像の通り、黒い被覆の中に更に4本のケーブルが入っていて、それを個別に剥いて同じ色の芯線を画像のように束ねて+と-の2本にする必要があります。被覆を剥かないといけないので作業が必要です。

 また、FXオーディオは接続端子のサイズが小さく、太いスピーカーケーブルが入りません。カナレは束ねるとギリギリといったところです。

 そこでバナナプラグというオプションを別途購入すると接続が楽になります。これは金属の金具にケーブルの芯線を組み込み、プラグの金具先端を接続端子の後部から突き刺して接続する方式です。

オーディオテクニカ AT6303

・オーディオテクニカ AT6303

 これがバナナプラグです。ネジ構造となっていて、向いた芯線を金具に挟み込み、密着して接点を強化しつつ、アンプの端子に簡単にしっかり接続するために存在します。FX系は小型で接続しづらいため、あると便利です。

 価格は2617円(4個入り)、今回紹介のスピーカー側には装着不能です。アンプ側に+と-で4つ使用する形になります。スピーカーケーブルの+と-は電源on時に接触するとショートし、一発で破損します。酷いときには機材の内部部品が破裂するので、端子の管理を厳格化できるバナナプラグはお勧めでもあります、3万円プランの追加オプションにしてもいいですね。

 これら何れかの機材のグレードを上げることで、3万円から4万円前後の機材構成が作れます。スピーカーをYAMAHAにした場合、合計35580円。

 
スピーカーがP802Sであった場合でも39430円です。送料諸経費込でも5万円以下という結果になりました。十分現実的なラインではないでしょうか。

 USBで接続して即音の出る、オールインワン最小構成オーディオはこれらの機材を揃えることで完成します、特に悩む必要はありません。これで完成、工事終了です。以後はずっと良い音で全ての生活が満たされます。

 以後の生活全ての、音が出るあらゆるコンテンツのクオリティが著しく向上します、今まで聞いたことのないような音が世界には満ちている。

 あまりお金を出したくない、だから安いものを買い続ける、それは得策ではありません。下限の製品は下限の性能しか持ち得ないからです。性能限界で出ない音はでないし、サウンドのプロが制作環境で作った音の何分の1も再生できていません。FF14なんかは良い例ですね、クリエイターが森に籠もってまで録音した音も、プレイヤーはろくに聞けてもいないわけです。

 またこの紹介した構成を買ったから、もっと上を見てしまって沼に落ちそう、だから手は出さない……というのは、あまりにもったいないです。経験上、そんなことになった方はいません。

 というのも、そういうオーオタの素質のある人間はもう「買っている」からです。より上を目指す人間は知ったから買う、というよりは「知るために買う」ので、既に自分で行動を起こしています。今に満ち足りるタイプの方は、一度買うと以後は壊れるまで固定されることが多く、以後の散財を気にする必要はしたがって無いと考えます。

 未知への恐れは人生の損失です、大好きな音楽、映像、物語を彩る臨場感あるゲームのサウンド、映画の迫力。自宅でも可能な高品質な音、それを知ること無く人生を過ごすのはあまりにもったいない。今は廉価にまともな小型機材が手に入る時代です、是非オーディオの世界をおためしあれ。

 次回はFXaudioで構成する本格的なセパレートオーディオプランにしようかと、少数おられた5万円以上の予算プランの方向けです。

 小型システムでも機能はしっかりしたオーディオのそれです、数が集まれば本格的なセパレートオーディオになります。FXはそのために様々な機材を出しているので最適です。

 ヘッドホンアンプにもなりますので、ヘッドホン・イヤホンの方はこちらを考えてもいいかもしれませんね、ではまた次回に。

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