『珈琲いかがでしょう』感想
『凪のお暇』にハマって最新刊まで読んでしまったので、同じコナリミサト先生の『珈琲いかがでしょう』全3巻を読んだ。
以下、ネタバレ。
『凪のお暇』のネタバレも少しあります。
正直、最初は「編集部に言われて『醜い人間を懲らしめる、大衆向けの漫画』を無理矢理書かされてるのかな?」と思った。
とは言え、社会の束縛から解放されていく『凪のお暇』を描いてる作者が、編集部の圧に負けたりするか?とも思った。
印税は一生暮らせるだけもらってるだろうし。
……なんてことを考えていたら、そもそも「悩める主人公が青山さんの珈琲で救われていく短編集」という漫画の形式自体がミスリードだった。
恐らく、無理して描いてるように見えたのは、作者は元々「『青山さんが珈琲でみんなを幸せにしていく短編集』と見せかけて、後半になるにつれて青山さんの話になっていく漫画」が描きたくて、序盤はそのための伏線でしかなかったから、敢えて自分が普段描かないようなものを描いていたのかな?と推測。
後半は青山さんの過去と現在のギャップ、三代目のイメージと見た目のギャップ、BLっぽい展開、と作者の性癖がモロに出てて読んでて面白かった。
『凪のお暇』でも、ニット帽を被った真面目なサッカー少年かと思ったらグレていって、ニット帽外すとかなりイケメンだったりする。多分、冨樫義博先生と同じ「オールバックのキャラが髪固めてないときのギャップが好き」的な性癖なんだと思う。俺も好き。
多分、「ギャップ」とか「ミスリード」が好きなんだろうな。
「清楚気取ってる青山さん、昔は性欲が強かった」「『垣根さんは青山さんのことが好きだけど、青山さんは天然だから気付いてない』かと思ったら、逆だった」が個人的にツボ。
青山さんの過去、やってることと見た目は完全に悪人なのに、頭がかなりふわっとしてて、確かに『凪のお暇』のゴンさんと似てた。
(『凪のお暇』に『珈琲いかがでしょう』とのコラボ漫画が掲載されていて、この二人が似てることに言及されてた。)
こういうキャラも良いなぁ……。
全体的なテーマは「ミスリード」だと思う。
最初こそ、分かりやすい「スカッとする話」(垣根さんの話とか)が多かったが、徐々に「こうかと思ったら違った」みたいなミスリードを活かした展開が増えていく。(金魚珈琲とか)
その後は青山さんの過去に注目していくので、「毎回似たような展開になる短編集」かと思ったら、違った訳で。
(最終的には「珈琲のおかげで大団円」みたいなとこにオチるけど)
その後もミスリードが何度も出てくる。
(平くんが珈琲に感動してるかと思ったらそうでもなかった、虐待受けてるかと思ったら中二病だった、中二病の子がたこじいさんの孫かと思ったらギャルの方が孫だった、etc)
この作品の中で唯一?珈琲を「不味い」という平くんが珈琲のことを「カルト宗教」と読んでいたのは、この漫画の序盤の展開を指してると思う。
ピノさんのアルバム『META』が発売されたばかりなので、「メタだなぁ〜〜〜」と思った。
「『不思議のコハナサイチ』か?あるいは、『スケベニンゲン』か?」と思うくらい、どんでん返しが多かった。
「珈琲いかがでしょう」で検索すると「怖い」というワードがサジェストされるのはどの点を指してるのだろう?
序盤は暗い話が多くて、自殺や覚せい剤、DVなんかの話が出てくる点?
「珈琲で人々を幸せにする大衆向け短編集」かと思ったら、全然違う方向に話が進んでいって、前半を「カルト宗教」と否定するキャラが出てくる点?
「珈琲で人々を幸せにすること」を揶揄したかと思ったら、最終的には珈琲で全てが解決しちゃってる点?
(確かに、「覚せい剤かと思ったらキャラメルだった」とか、「モラハラ夫に『つらい』と話したら幸せな家庭になった」とかは少し無理があると思った。)
ドラマ版や舞台版もあるみたいなので、もしかするとそっちの話かも?
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