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新千夜一夜物語 第56話:梅澤愛優香とはんつ遠藤の騒動

青年は思議していた。

2021年9月24日に、元バイトAKBの梅澤愛優香さんが、彼女が経営するラーメン店から、ラーメン評論家を出禁にすることを表明した件についてである。
その理由として、彼女の店を訪れたラーメン評論家の8割が、彼女のお店にとってマイナスでしかなかったと主張しており、彼らからは、セクハラやマウンティングに相当する言動が多かったことも言及している。

さらに、彼女は27日にフードジャーナリストであるはんつ遠藤さんとの会食時のやり取りをツイッターで公開し、この件は同日に放送された、“グッド!モーニング”(テレビ朝日系)でも取り上げられた。

多くのラーメン評論家の中でも、なぜ彼とのやりとりが取り上げられたのか?
また、ラーメン評論家との縁を断った梅澤さんのお店は、今後どうなるのだろうか?

独りで考えてもらちが明かないと思い、青年は陰陽師の元を訪れるのだった。


『先生、こんばんは。今日は元アイドルの女性が経営するラーメン店から、ラーメン評論家が出禁になった件について教えていただきたいと思い、お邪魔いたしました』

「少し前に話題になった件じゃな。して、その件に関し、どういったことを知りたいのじゃ?」

『梅澤愛優香さんとはんつ遠藤さんの魂の属性と、今回の騒動が起きた要因と、そして今後の梅澤さんのラーメン店はどうなっていくのかを教えていただきたいです』

「そなたの質問前に答える前に、どういった経緯があったのか教えてもらえるかの?」

陰陽師にそう問われた青年は、スマートフォンを操作し、やがて口を開く。

『以前、梅澤さんは、フードジャーナリストであるはんつ遠藤さんと会食した際に、“顔は写さないから身体だけ撮らせて”と要望され、しかも許可なく撮影されたことがあったようで、この件に関し、彼女はセクハラ被害に遭ったとしてツイッターで告白しました』

「なるほど。その発言に対し、はんつ遠藤氏はなんと?」

『彼は、会食のきっかけは梅澤さんがはんつ遠藤さんに会いたいということで、彼女の写真を撮っていいと思っていた上に、当時はお酒を飲んで泥酔していたために覚えていなかったようです。ちなみに、当日に撮った写真は使用していないとのことですが、その一件があって以来、梅澤さんは、彼に連絡をしないようにしていたところ、友人限定とは言え、読者が3200人いるはんつ遠藤さんのFacebook上で、梅澤さんが中傷されたと感じるような投稿をされたと、二次的な被害を訴えています』

「その内容についてはわかるのかな?」

陰陽師にそう問われた青年は、小さく頷いてから、口を開く。

『その内容としては、梅澤さんのラーメン店が内装業者に工事代金を支払わなかったというものですが、この投稿は2020年4月のものでして、実際には2019年の6月には支払いが完了していたとのことですので、事実無根の投稿と思われます』

「なるほど」

『こうした梅澤さんの一連の発信に対し、28日未明にはんつ遠藤さんは自らのブログにて、自身が当事者であると名乗り出たが、しっかりと謝罪しなかったことが、梅澤さんのさらなる反感を買い、火に油を注ぐ事態となっています』

「なるほど。梅澤さんのお店からラーメン評論家が出禁になった経緯についてはわかった。では、その二人の鑑定をするとしよう」

そう言い、陰陽師は紙に属性表を書き連ねていく。

梅澤愛優香SS
はんつ遠藤SS

二人の属性表を見た後、青年は口を開く。

『今回の騒動と関係があると思われる、属性表におけるお二人の共通点として、人運が“7”で低いことと、血脈の霊障と天命運に“14:人的トラブル”の相がかかっていることと、血脈の精神疾患の14:予知・口撃衝動/諸事に支障(人)があります』

「そなたが挙げた共通点の中の、人運について補足しておくと、あくまで顕在化しやすい傾向であると念頭においた上で説明するが、総合運が9点満点として、なおかつ9点の項目の運がある場合、その項目で苦労することは今世の宿題に含まれていない傾向がある。そして、8点の場合は、霊障とは関係なく“何らかの問題を抱える”ことになり、7点以下になってしまうと、“かなり大きな問題を抱える”結果となる。また、総合運が1点下がる毎に、それ以外の項目は、総合運9点の場合と比べて、さらに1点ずつ下がることになる」

陰陽師の説明に対し、青年は小さく頷いてから口を開く。

『いつも先生がおっしゃるように、人間は“多面体”ですので、必ずしも全員に当てはまるとは限らないということでしたね』

「そういうことじゃ」

『人運の数字が“7”であること今回の騒動は、二人にとって、今世の課題を果たすために必要な出来事として生じた可能性があると思われますが、血脈の霊障によって今世の宿題に対して順接、すなわち無用な“重し”として顕在化したことが要因の一部となって、今回の件のように世間に知れ渡った可能性も考えられるのでしょうか?』

「要因の一部、という意味では、その可能性も考えられる。さて、血脈の霊障の話が出てきたことから、もう一つの霊障、霊脈の先祖霊の霊障について説明すると、“霊脈先祖の霊障は、“逆説方向”、すなわち今世の宿題とは直接関係のない要素/方向性が含まれて顕在化する傾向があることも、覚えておくようにの」

陰陽師の言葉に対し、青年は頷いてから、再び口を開く。

『他に、霊的な観点からこの件が起きた要因は考えられるのでしょうか?』

「もちろん。ただし、この件が起きた要因は無限に挙げられるため、一概に語ることはできぬ。よって、あくまで要因の一部という意味では、そなたが言ったように、人運の低さと血脈先祖の霊障の可能性が考えられる」

陰陽師の言葉を聞いた青年は、納得顔で頷いた後、口を開く。

『以前お聞きした限りでは、霊脈先祖の霊障の影響で“霊媒体質”の人物に顕在化している精神疾患は、現代医学では原因も症状も明確に診断されていないものがある一方で、血脈の精神疾患は、現代医学で診断される精神疾患とほぼ同義である場合が多いとのことでしたが、当人同士のクローズドな場での話し合いではなく、ウェブ上の文章による二人の応酬は、血脈の精神疾患14:予知・口撃衝動/諸事に支障(人)の影響もあるのでしょうか?』

「もちろん、それが全ての要因とは言えぬが、そのうちの何分の一かはと言う意味では、その可能性も考えられる」

『他には、インターフェイスの全ての数字が“4”であることも共通していますが、三桁目の数字の“4”にはどのような傾向が顕在化する可能性が考えられるのでしょうか?』

「インターフェイスは“人当たり”を表す項目であり、両者は一桁目と二桁目の数字が“4”であることから、どちらかと言えば“人当たりが良い”傾向にあるが、三桁目の数字に“4”があることによって、その人当たりの良さの程度に応じた言動によって、対人関係において人生を根底から揺るがす“厄災”といった傾向の人生を歩む可能性がある」

『なるほど。今回の騒動の影響で、現在、“はんつ遠藤の全国ご当地ラーメンリレー”の名称が2021年9月30日に彼の名前が削除され、“全国ご当地ラーメンリレー”に変更された他、日本航空(JAL)が運営する観光ウェブマガジン・OnTrip JALも9月28日、はんつ遠藤さんの連載を非公開にしているようです。フードジャーナリストである彼にとって、こうした対応をされることは、ある意味人生を根底から揺るがす“厄災”の序章とも言えそうです』

「なるほど。いつも言っているように、人間は多面体であることから、インターフェイスの三桁目の数字のみで判断することはできぬが、数多くある要因の一つ、という意味では、そなたの言うことに一理あるかも知れぬ。ちなみに、梅澤さんには今回の件とは別に、何らかのトラブルはあったのかの?」

陰陽師にそう問われた青年は、スマートフォンを操作した後、口を開く。

『2021年秋に梅澤さんは新店の出店計画を立てていたようですが、50代の男性から麺の材料の業者に対して、“あの店には反社会的勢力がついている”などのメッセージを送られた結果、その業者からの材料の納入が取りやめとなり、新店の出店計画を見直さざるを得なくなったようです』

「その件に対し、梅澤さんはどう対応したのかな?」

『梅澤さんはメッセージを送った男性に対し、慰謝料および業務妨害による損害賠償を求め、同年9月8日、横浜地裁に裁判を起こしています。また、営業損害についても請求する予定で、警察へ被害届も出しているようです』

「なるほど」

『それにしても気になることがあるのですが』

「なんじゃな?」

『梅澤さんのラーメン店には、はんつ遠藤さん以外にも、複数のラーメン評論家が訪れており、中には初対面にも関わらず、断りもなく肩に腕を回してきて彼女と写真を撮ろうとした人物もいたようで、セクハラという意味ではこちらの人物の方が該当しそうなものですが、その中でも、はんつ遠藤さんが主に取り上げられた、何らかの霊的な要因が考えられるのでしょうか?』

「出逢いは必然であることから、梅澤さんとはんつ遠藤氏は何らかの縁があって今回の騒動の役者となったことは、そなたも理解していると思うが、実は、二人は霊的な“近親憎悪”の関係であることが、複数いるラーメン評論家の中でも、はんつ遠藤氏が選ばれてしまった要因の一つになった可能性が考えられる」

陰陽師の言葉を聞いた青年は、二人の属性表を見比べた後、口を開く。

『霊的な“近親憎悪”の関係ですか。“近親”という言葉から考えるに、二人の魂の属性には、共通点がそれなりに多くあるということでしょうか?』

「いや、そうではない。あくまで今回の騒動がこの二人を主軸に起きた要因の一つとして、両者の間に何らかの特別な関係があるか否かをみた結果、わかったことに過ぎぬ」

青年の言葉に対し、陰陽師は小さく頷いた後、口を開く。

『ということは、属性表の数字から判断できる内容ではないということですね』

「そういうことじゃ。二人の共通点について付言するとすれば、二人の魂の属性は料理研究家やフードジャーナリストに多く見られる2(4)―3、すなわち転生回数が240回代の魂3:武士・武将であり、セオリー通りであれば、ラーメンという共通の料理において、何らかのコラボレーションができると考えることもできるが、霊的な“近親憎悪”であるこの二人に限って言えば、二人が同じ道を歩むことはないじゃろうな」

陰陽師の言葉を聞いた青年は、再び両者の属性表を見比べた後、口を開く。

『なるほど。以前、料理人の魂の属性のほとんどが2(7)―3、すなわち転生回数が270回代で魂3:武士・武将の人物とお聞きしましたが、梅澤さんの魂の属性が2(4)―3という点のみに注目すれば、彼女は料理研究家としての適性もあると思われますので、今までのように彼女が厨房に立つよりは、2(7)−3の人物に厨房を任せ、彼女はレシピ開発や経営といった裏方に回り、店舗数を増やす方向性も、可能性としてはありえるのでしょうか?』

青年の問いに対し、陰陽師は湯呑みに注がれた茶を一口飲んでから、口を開く。

「転生回数と魂の種類のみに着目すれば、その可能性はありえるが、彼女に限って言えば、頭2−7−7の、三桁目の“7”には、“物事を途中で放り投げる。挫折する”といった特徴が顕在化する可能性がある、という点を考慮すると、今の職業がいつまで保つかという問題も出てくるのじゃよ」

陰陽師の言葉を聞いた青年は、腕を組んで眉間にシワを寄せながら、口を開く。

『なるほど。確かに、彼女の魂の属性は、“2−3−5−5…2”(※第23話:この世のルールと芸能界参照)ですから、バイトAKBに所属できたことに納得できますし、あのままアイドルや芸能界の道を歩むこともできたと思いますが、頭の三桁目の“7”の特徴を考慮すると、ひょっとすると、また別の道を歩む可能性もゼロではないと』

「まあ、そういうことじゃ。我々は死後、肉体を離れた後に地縛霊化しなかった場合、あの世で28年間、前世の振り返りをすると同時に、次の人生で果たすべき宿題を設定して再びこの世に転生してくることは、覚えておるな?」

『はい。総合運の数字を例に挙げれば、今世の人生で体験することは、大まかに把握できると思います』

青年の言葉に対し、陰陽師は小さく頷いてから、口を開く。

「さらに付言するとすれば、我々の人生は、左右に決して越えられない壁が立っている、100メートルくらいの幅の道を歩いているようなもので、その道の中でどう歩くかは本人の自由じゃが、本人にとって適していない選択肢を取ることによって、道の真ん中から徐々にずれてしまうことがある」

『なるほど。以前、先生から関わってはいけないと鑑定された人物と、その後も縁を持ち続けた結果、僕のお金も時間もなくなっていき、今思えば、僕がやるべきでないことをやらされていたと思います。そうした現象は、例えるなら、壁にぶつかってしまい、前に進みにくくなってしまっていたのだと思われます』

青年はそう言うと、当時のことを思い出してか、苦笑を浮かべる。
そんな青年に対し、陰陽師はいつもの笑みのまま、口を開く。

「その時々にどのような選択をするかは、我々一人一人の意思に委ねられており、地球上にいるおよそ77億人の選択によって未来が変わっていく。よって、未来は不確定であることは、いつも言っている通りじゃ」

『なるほど。例えば、梅澤さんは“2−3―5−5…2”の魂の属性を持っているからと言って、プロのスポーツ・芸能・芸術の世界で生きることが運命づけられているわけではなく、アイドル活動に尽力する時期があれば、ラーメン店の店主として心血を注ぐ時期もあり、ひょっとしたら、また別の道を歩むことになれば、今度はその道で精進する可能性もありえると』

青年の言葉に対し、陰陽師は小さく頷いてから、口を開く。

「その可能性も考えられる。大事なことは、自分の人生はこうだと決めつけることなく、また、望んだ結果を得ようと未来を意識して行動するのでもなく、その瞬間瞬間の出来事に対し、真摯に取り組むことじゃ」

そう言い、陰陽師は壁時計に視線を向ける。
それに気づいた青年も、スマートフォンで時間を確認する。

『もうこんな時間でしたか。今日も遅くまでありがとうございます』

そう言い、青年は席を立って深々と頭を下げた。

「今日もご苦労じゃったな。気をつけて帰るのじゃぞ」

陰陽師はいつもの笑みで手を振り、青年を見送った。


帰路の途中、青年は自らの金運の“7”について考えていた。

自分は幼少期から、お金で困ったことはほとんどなく、経済的にはとても恵まれていたと思う。
元々物欲が乏しかったからか、新卒で就職した会社に勤めていた頃は、お金に困ることはなく、むしろ意図的に無駄遣いしても1年間で七桁の貯金をしていた。

だが、自営業になってからは、高額な情報商材を購入したり、投資詐欺ややりがい搾取によって、時間はなくなる反面、借金が膨れ上がっていた。
特に、ご神事を受ける前の半年は最悪な時期で、無一文になったことが何度かあったと思う。

仮に自分の金運の数字の“7”に“挫折する”傾向が含まれているとすれば、当時の状況に納得がいくし、その結果、お金の重要さが身に染みてわかり、必要なこと・物だけにお金を使えるようになった。
自分は出家を目指していないため、物欲をなくす必要はないが、少なくとも、目先のお金や物欲に左右されにくくなり、今世の課題を果たすために必要なことに対してお金を使うようになれたことは、非常に大きな学びだったと思う。

それに、”2:仕事”の相がかかっていた影響もあってか、生きる目的が特になかった当時の自分にとっては、借金を返すことが生きる目的の一つになり、当時は命を断とうとした理由であった借金に生かされているという、皮肉な結果となっているように感じられる。

よって、信じていた人に裏切られ、大金を失った事実は変わらず、高い授業料ではあったが、今の自分が在るのは彼らのお陰だと考えられるため、感謝している。
今後も彼らと関わる可能性はほぼないだろうが、もしまたご縁があった時は、彼らが彼らの今世の課題を果たせるよう、お互いの運気が下がらない範囲で力になろう。

そう、青年は思議したのだった。


《参考》
◯魂の種類について:新千夜一夜物語 第4話:魂の種類と仕事
◯2−3−5−5…2について:新千夜一夜物語 第23話:この世のルールと芸能界


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