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【レビュー】カイジ ファイナルゲーム

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何だこの劇場は、キンキンに冷えてやがる!

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藤原竜也の舞台仕込みの仰々しい演技が、原作が元から持っていた仰々しい台詞回しと奇跡的にハマり、ヒットを記録。
藤原竜也の代表作として、今でもモノマネシーンでは不動の地位を誇る、まさに当り役となった。
そんな『カイジ』が、9年ぶりに帰ってくる。
しかも、17歩でも和也編でもなく、原作者・福本伸行によるオリジナルストーリー。
しかし、作品の魅力が悉く取り除かれており、過去2作と比較しても最低レベルで酷い内容だった。

雑なストーリー

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「2020年の東京オリンピック後に日本は貧困大国へ突入していった」という導入にも色々と思うことがあるが、本作はオリジナルストーリーであるため、話の枠組みは雑でも構わない。
極貧生活のはずなのに一般市民の服が妙に小奇麗なのも、この際構わない。
相変わらずモブ集団のIQと倫理観が崩壊しているが、それも良しとしよう。
勿論、そういう部分ができているに越したことはないが、できていないならそれはそれでいい。
そもそもの原作からして荒唐無稽な世界観であるため、今更この手のツッコミは入れない。
2019年に公開された『麻雀放浪記2020』にそっくりだというところも今回はスルーします。

4つのゲーム

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ては、肝心のゲームはどうかと言うと、登場する4つのゲームが1つ残らずどうでもいい上にあまりにも運任せすぎる。
最初の「バベルの塔」は、特にトリックやイカサマがあるわけでもなく、ただの早い者勝ちの戦いなので何も面白くない。
しかも、このゲームの大きな問題点はカイジが他の群集よりも優位な立場でゲームをスタートしているというところ。
カイジの戦いが熱く感じられるのは、いつだって彼が逆境に立たされ、圧倒的に不利な状態で戦うところにある。
唯一カイジが自分自身をベットして挑んだ「ドリームジャンプ」も全く盛り上がりに欠ける。
ゴールドじゃんけん」に関しては酷すぎて、単純に映画に出して良いレベルの代物ではないし、メインとなる「人間秤」なんて長い割には駆け引きやイカサマの見せ方などが陳腐で呆れる。
これが原作者考案かと思うと、本当に「Eカード」や「ブレイブ・メン・ロード」と同じ人が作ったゲームなのかと驚愕する...

ファンサービス

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実写化の成功例として語り継がれるほどの作品かと聞かれると微妙ではあるが、エンタメとして実写版の『カイジ』シリーズはなんだかんだで結構楽しみていたため、それだけに本作は失望の連続。
社会問題やポストオリンピックの日本を世界観に溶け込ませて、日本vsカイジを描きたかったのは、分かるのだが、それにより『カイジ』シリーズ本来の魅力がまるっきり失われてしまったように感じる。
ビールを飲んで「悪魔的だぁ~」とか「キンキンに冷えてやがる~」とか、もはや芸人ネタのように言っているが、「これが観たいんでしょ?」という、見せ掛けだけのセリフは正直要らないし、逆に寒い。
そういうことではないと言いたくなるし、感覚が鈍っているのか変に社会風刺を盛り込みたかったのかは不明だが、本末転倒である。
若しくは私たちが藤原竜也の演技に成れて、麻痺してしまったのかもしれない。
悪魔的だ。

点数 ★★★☆☆☆☆☆☆☆ 3/10点

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