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劇場アニメーション「シン・エヴァンゲリオン:||」を見た感想

・前語り

2021年3月8日公開の映画シン・エヴァンゲリオンを見ました。

まだ帰宅せず手近な店舗に駆け込んでこの文章の下書きをしています。コラボメニューおいしいです。

この記事では本編の内容を含むネタバレありで進行しますのでご注意下さい








・いまさらながら概要

あなたにとってのエヴァンゲリオンはどんな作品でしょうか?

ちなみに私は90年代の中期頃に主要人物たちと年齢の近い中学生だったので正直ドストライクでした。

作品の概要については説明不要の方も多いと思いますが、最初に1995年から96年にかけて放送されたTVシリーズがあり、TVシリーズを再編集しつつ残された謎に決着がつくことに期待された(旧)劇場版で一旦完結し
そこからパチンコ化したりゲームで設定を補完されつつしておよそ旧劇から10年経って始まった再アニメ化の新劇場版4部作の完結編が今回のシン・エヴァンゲリオンです。

自分の遍歴としては本放送当時は級友の噂話や読んでいた雑誌の特集記事で存在を知るものの地方在住だったため見る手段がなく、旧劇のプロモーションの一環で地方でも深夜に一挙放送があった時に眠い目をこすってエアチェックし
映画館までの交通手段が無いため映画は後日になってLDで通過し
社会人になってからは満を持して新劇はスクリーンで全作見たというような感じです。
派生メディアは貞本版のコミック全巻くらいでスピンオフ類にはほぼ手を出してないといったところです。

設定資料などもいくつかは持ってますが専門用語を全て理解しているとかいうクラスではなく知人と普通にエヴァ談義ができる程度の理解度です。

またシン本編は予告編とパリ作戦はチェックした状態で挑みました。


・宿題に決着はついたのか?

エヴァは宿題の多いアニメです。

普通のアニメは見るアニメですが、エヴァは読む力が必要になります。

この中で宿題というのはまず旧シリーズの中で語り尽くされず謎として残る形になったキーワードや伏線の回収

そして新シリーズになってから新しく盛り込まれたがまだ結論が出ていない問題や
前作「Q」以降のキャラクター達の着地点を見守ること

そして個人的な視点としては古典的なSF・ロボットアニメの系譜を継ぐ作品としてどんなアクションやバトルが見られるのか?などです。

ご覧になった方はわかるかと思いますが、宿題のかなりの部分が明快な答えとして明かされました。

この辺りはファンサービスの行き届いていた序や破に比べて本放送当時のようなささくれだった議論を巻き起こしたQの後だっただけにかなり意外でした。

一部の要素については期待していたとおりだったものもありますし、
事前の予想を大きく裏切って驚きと共に示された要素もありました。

今回は2時間35分とたっぷりの尺を使ってこれでもかと公式の力を魅せつけてくれる最高の時間であったと思います。

解釈不一致は個人的にはかなり少なく、ストレスはほとんど感じませんでした。


・エヴァが鬱アニメの代表格だったあの頃

当時から鬱アニメという言葉があったのかは忘れてしまいましたが、旧シリーズに関してはいわゆる鬱アニメの代表のような扱いだった時期がありました。

唐突に始まる自己啓発セミナーの合間合間に絶望的な内容が断片的に示されるTV版最終2話や
登場人物が次々悲惨な目にあっていく旧劇場版などは世紀末ムードの世の中に寄り添っていたように思います。

Qの前のエンタメ路線の頃も楽しんではいるものの胸に刺さるのは「鬱にならずに終わるのか?」という大きな疑問でした。

Qでは東日本大震災を受けて作風が一気にバッド寄りになり、これはこれでエヴァだよなと見る向きもあったりしつつのシンでしたが
鬱要素は正直今回かなり薄かったのではないでしょうか。

キャラクターの去来については旧劇と同じような結末を迎える人物がいる一方で新しい人間関係が切り開かれたのは
公式が最大手という力をまざまざと見せつけられた思いです。

特にあるシーンでタイトル回収があったのは歓喜してしまいました。

私はあのシーンで本当に新世紀が来たんだなと甲斐もなく感慨に耽ってしまいました。

まさに最初の企画書で意図されていたような「大団円」だったと思います。


・復興に対する強い意識

Qが東日本大震災の影響を大きく受けていることは論を待たないかと思いますが、シンエヴァはQからの時間経過がそのまま作中のキャラクターたちの生きる描写にダブらせてあるなどエヴァの強みの一つであるメタな視点という部分をかなり意識していたように思います。

マイナス宇宙に突入してからの実写作品を思わせるような演出などはかつての自己啓発セミナーのスタジオ風な演出のセルフオマージュ、絵が急に荒くなるのも違う周回の補完計画であった演出で行き届いたファンサービスを感じますし、過去の出来事を無かったことにせずに今を生きることが大切と説くメッセージは胸に迫るものがあります。

ビーカーやプールの中の透明で消毒されたような水がシンボルだった綾波が田んぼで泥まみれになる日が来るなんて想像していませんでした(味噌汁で片鱗はありましたが)。

地に足をつけて生きるというのは若い人や青少年からすると多少重たい話かもしれませんが
人形決戦兵器が空を飛んで巨大な敵を引き裂くようなアニメだからこそあれだけ明確に被害と被災者をケアするかのような演出が入れられる訳ですから
想像と創造の結晶であるアニメーションというのは面白いものです。

同じ庵野監督のシン・ゴジラが震災から5年、シン・エヴァが震災から10年というタイムスケールだったことは記憶していきたいと思います。


・個人的に面白いと思った点

私は旧劇の頃から一つの不満を抱えていました。

「人類補完計画」で地表を全リセットというのはあまりに人間本位ではないのか?と。

人間たちがLCLになっていく中でペンペンはどうなってしまったのか。

Qの頃はヴンダーの骨格になったなんてネタにしていたくらいなので

今回シンエヴァで答えを見られたのはとても嬉しかったです。

また私の個人的な事前のネタ予想の一つが「5体合体スーパーエヴァンゲリオンが巨大ゲンドウと月面で決戦」というものだったんですが、経口とはいえほぼ合体エヴァは出ましたし
巨大ゲンドウまでは行かないものの似たようなものはやってくれたのでこれも得心を得ました。

ミサトさんの本音も聞けたしゲンドウの口から親子の台詞が出るし
冬月先生はいつもそんな立ち位置でお疲れ様ですとか
ワンダースワンのIFな後継機とか
随所に出てくる異様に力の入った鉄道を始めとしたインフラ描写も素晴らしい

バトルも弾幕シューティングからハックスラッシュ、格闘ゲームのようなステージチェンジまで至れり尽くせリで感謝感激です。

シンカリオンもきっちり生かしていて本当に最高でした。

ありがとうとしか言葉がありません。

そして劇中を引用するなら「さよなら」です。

これに尽きます。


・エヴァンゲリオンが私のアニメでなくなる時

碇シンジと同年代に生き、暮らしてきた市井の人間としては彼らはシンパシーを感じる同世代の眩しい光として強く印象に残っています。

物語が進んでも姿の変わらないチルドレンたちの様子からエヴァは呪いだというメッセージを読み取る人がかつていました。

シン・エヴァはそんな子供たちの時計の針が進む話でした。

これはもう私のアニメではなく公のアニメになったと言って差し支えないでしょう。

普遍的なメッセージを有するクラシックなアニメとして完成したところを共有できるのは現代を生きる一人の観客として誇りに思います。


・終わりに

青春と一言で言ってしまえばそれで済んでしまうような長くて短い人生の中でエヴァに出会えてそれを許容してきた日々がありました。

たぶんあと何年してもシン・エヴァンゲリオンを公開日にスクリーンで見たという話をうっせえわと思われながらも語るんだろうなという予感がします。

この作品に出会えて良かった。

そして当時コミックボンボンでかなり熱の入った特集を毎回組んでくれた編集部と

いつも感想戦をしてくれたweb上の仲間たちに感謝を述べたい。

すとらいさん見てますかエヴァが完結しましたよ・・・
あなたと語り合いたかった!

そして今を生きてる皆さん大いにエヴァを語りましょう。
いろんな感想・エヴァ論読みたいです。

拙い文章ですがお読み頂きありがとうございました。




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