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自尊心の強い人たちの話

40年以上同じメンバーでハードロックバンドをやってきて、その中での立ち位置というものが決まっていた。バンド構成は、ヴォーカル(Vo)・ギター(G)・ベース(B)・ドラムス(Dr)で、それぞれの立ち位置というものが決まっていた。立ち位置とは文字通りステージ上でどこにいるのかと言うのとは別に、誰が目立って良いのかも含んでいる。
俺はギターなのでVoの横に立って、曲の途中でソロをかますので当然目立つ。それを他のメンバーは当たり前として捉えていた。

ところが別の世界では・・・

違っていた。別の世界とはアコースティックの事だ。アコースティックの世界は、大抵ひとりでギターを弾きながら唄うヤツが多く、たまに俺らのステージを見に来たりしてもあまり話すこともなかった。
ずっと同じメンバーでバンドをやってきた俺は、突然のBの骨折によってすることがなくなってしまった。その内治ったと言ってくると思っていたが、3年目になっても音沙汰はない。もうやらんのかも・・・と思い始めた。長く同じメンバーでバンドをやっていると、急に別のメンバーとはできなくなってしまっている。一旦諦めることにした。

別世界に飛び込んでみた

取り敢えずBが治るまでと思い、当時のVoだった女性とデュオを組んだ。彼女は元々アコの世界の住人で、歌も上手くそれなりに人気があったので、俺としては都合が良かった。
彼女の声質に合わせてギターを弾いたらそれが評判を呼んだ。俺も悪くないと思った。
実は彼女とデュオをやる前に、アコでひとりでやっている男性と組んでみたが、うまくいかなかった。俺は腹を立て、ワンステージやめてしまった。その時は腹が立ったせいで、原因を冷静に見つめていなかった。

新しいヤツとやってみた

彼女とのデュオを1年ちょっとやった頃、俺がいきなり「そろそろお互いに別の道を歩いてみよう」と言い出した。彼女は驚いた様子だったが、別に嫌いになったわけでもないし、音楽的に不満がある訳でもないということを理解してもらった。
その後すぐに別の男性とデュオを組んだ。そいつは優しいヤツでいつも俺を立ててくれていた・・・ような気がしていた。

突然の解散

3つ目のステージが終わった日の夜、そいつから電話があった。「もう終わりにしたい」と言われた。理由は適当でどう考えても腑に落ちなかった。告げられた理由はただの言い訳だと感じた。それでも無理やり引き留めるのも情けないので承諾した。そしてすぐに別のひとりアコの男性にオファーしたら、「もったいないお話で有難いです」と返事。でも4月まで待って欲しいとか。うーん、どうしよう。4月には俺主催のライブを予定してるしなー。

彼女に泣きついた

打つ手が無くなった俺は、以前の彼女に「4月に1度復活しよう」と申し出たら、彼女は「いいよ」と言ってくれた。かなり嬉しかった。穴を開けずには済むな。ありがとー!!!

原因は何だったのか

あれこれ考えてみて、これだったのかという原因が解った気がする。ひとりアコの男性は、自分が主役でチヤホヤされたいのだ。だから俺が横でギターを弾いて人気が出るのがイヤなのだ。ふーん、そういうことか。

妙に腑に落ちた。

そういえば新年会ライブのステージが終わった後に、俺だけ若い男女に囲まれてもてはやされたなー。そのときアイツは俺に何も言わずに帰って行ったなー。なんでかなと思ってたけど、俺がチヤホヤされてもアイツには不愉快なだけだったのか。
そう考えると最初に組んだアイツもそんな感じだったなー。

もういい!俺はオメーらとはやらんゾ!

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