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タイミングの良い姉


 何事も考えすぎるところのある私は、付き合っている彼氏と「これからも一緒に生きていける」と腹を決めるまでに1年半かかった。なんなら勝手にマリッジブルーみたいになって、「寝たきり状態から回復するまで先のことは考えられない」とか先走って言ったりしていた。

でもまぁ夢記で、昔のアレコレ(初恋のやつとか)を整理しているうちに良きタイミングを迎え、これまで話していなかったことも赤裸々に彼氏に打ち明け、それを区切りとできた。その日に姉からLINEが来る。「タイミングが良いな〜」と思った。私の過去の区切りと入れ違いに姉からの6年越しのLINE。彼女は昔から「なんか持ってる」人だ。

 彼女はかつて市の花火大会のビンゴで一等を取ったり、就活で面接会場を海を越えて間違えたのになぜか通過してきたりといった逸話(?)を持っている。そして今の彼氏との縁を感じさせるようなものもほぼ姉絡みだ。

対峙するには気合いのいる存在だが、これもやるべきことなのだろう。姉よ、ブロックを解除して連絡をくれてありがとう。妹は改心した。そして今なら私の腕は空いているぞ。オホ

なーんてワクワクしながらLINEしてると、結構しっかり始まった。なにが?っていうと彼女の急性期の症状が(妄想とか疑りなど)。母から少し話は聞いていたが、実際に対話するのは初めてだった。想像しづらいと思うので具体的な出来事を言うと、支離滅裂にコンプレックスが羅列されたLINEが77件来たりする。なんかとても苦しそうであった。

でも人生無駄なことってないのだなとつくづく思う。私が心理の学士を取った後、寝たきりをきっかけに母と話せるようになり、いくらか情緒も安定したときになって初めて、姉は私に連絡して来てくれたのだ。そして私の趣味である夢分析もなかなか支離滅裂な内容であるので、姉のLINEにもちょっと動揺したけど返信は冷静にできた。

だいぶ前に精神科医の本で読んだのだが、統合失調症の人の妄想がどこかの民族の神話に類似する話だったというエピソードがある。神話とか夢とか物語、あるいは精神病の人の妄想は、雑に言うと同じレベルの心理で捉えられるのかもしれない。

 なんかややこしいことも書きましたが、やっぱり最後は姉に感謝もしないといけない。私は今まで家族にあんまり謝ったことがない。「攻撃が最大の防御」ばりに、悪気はないけれど人を疑うことで人を苦しめてきたはずだ。社会に出ても自分のことでもうギリギリで、他人の気持ちに少々疎かったのかもしれない。最近その事に気がつかされたタイミングで、姉が妄想の最中、私に謝る機会をくれた。私は彼女に「嫌な気持ちにさせてたらごめんね」と結構穏やかに言えた。直前に書いた「あ、そうですか。じゃあ。」というメッセージを送信取り消しした後に。それもこれも、今だからこそできたことだったと思う。

姉さんありがとう〜🐏

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