架空世界物語
ADOOM.2021.08.15 制作現場展
繁華街から離れた とあるエリアの一郭
ひっそりと佇む店
ひとり黙々と作業する 労働者
そこには場末感のみが漂う
なぜなら くやしくて かなしいから
ただ 歯をくいしばり
自分自身を 宥めるために
生きた証を 遺すため
その瞬間を生き 無我夢中でやっている様
近未来の風景のようでもあり
遠い昔の記憶をたどり なつかしみ
それを 懸命に カタチにしているだけ
なしえなかったことや
あきらめ 投げ出したこと
それは どうすることもできなかった
消えてしまいたいと 誰にも言えず
ただ自問自答を くりかえした
ただ普通に 暮らしたいだけだった
ただただ 残酷すぎる日常
ただただ 悔やみつづけ 一点をにらんでいた
蝉の声や 夏の雨のにおい
それさえ 感じる事を忘れていた
それが怖かった
外にでようとしても 心が拒絶した
ただ 生きることの 恐ろしさ
ただ トビラをひらき 外にでたくて
外の空気を おもいっきり吸いたいだけで
月が綺麗な夜だった 夏なんだな
ただ それを実感したかった
ただ 川縁を歩いた
何も無い時間がながれた
ただ それだけで 幸せだった
俺たちは 生きる
全てを 受け入れて
雨上がりの夜空に誓った