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岡崎武志『古本大全』


岡崎武志『古本大全』(ちくま文庫、2024年1月10日、カバーデザイン=小山力也)

『古本大全』・・・文字通り岡崎氏の古本本集大成とも言える一冊です。ちくま文庫の岡崎氏の著作で品切れになっている『古本でお散歩』『古本極楽ガイド』『古本生活読本』『古本病のかかり方』から選ばれたベスト・オブ・古本エッセイ。

今回、品切れとなった四冊に新稿と未収録原稿を加えて再編集し、合本として一冊にまとめることになった。私は自分の著作を振り返って読む趣味を持たず、再編集するにあたって読み返していたが、自分で書いておきながら発見もあり、新鮮であった。とくに最初の一冊となった『古本でお散歩』は、憧れだったレーベルから本が出るということもあり、約二十年後のいまになって読むと気負いが目立ち、全力投球であったとわかる。 

p4

『古本でお散歩』が2001年ですか。この本が出たときには筆者も同じ雑誌の仲間として誇らしかったことを思い出します。

『古本でお散歩』ちくま文庫

古本を資料として活用するだけではなく、遊びとして楽しむ気風を持ち込んだところが、私の「古本」本の取柄ではないか。おもしろくなくちゃあ、こんなに長くは続けられなかった。この『古本大全』に娯楽としての古本の意味を納得していただけるヒントや教えが隠されている。ぜひ掘り出して刺激を受け、「ああいますぐにでも古本屋に駆け付けたい」と思っていただければ幸いである。 

p5

これこそ岡崎氏はもちろん、山本善行、南陀楼綾繁、荻原魚雷、扉野良人、生田誠の各氏、そして筆者も含めて、本を散歩する雑誌『sumus』に集った同人たちの古本との付き合い方の本質を衝く言葉ではないかと思います。

あちらこちらのページをめくっていますと、古本遊びの創意工夫がチカチカしてまぶしいくらい。エッセイの(ブログの)ネタに困ったらこの本をすぐひもとけるように座右に置いておきましょう。みなさまも是非!

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