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【Dhampir】-MV こぼれ話 【Superficial】

【新曲のMVが公開されました。】

2024年8月12日、新曲『Dhampir』のMVを公開いたしました。

ここでは、僕たち金剛がどんな気持ちをこめて制作に当たったか、また、MVの内の所謂『小ネタ』などを零してみようと思います。

或る半端者の御伽話。
ちなみに、Dhampir(ダンピール)は吸血鬼と人間のハーフのこと。 どちらともつかない、嫌われ者。
彼のことをもっと知りたい人は、2回目に聴く時に字幕をつけてみてね。

【制作メンバー】

Music:KONGOU.(Sora)
Lyrics:KONGOU.(Tsukasa +9)
Illustration:KONGOU.(Kyoji)
Artwork:KONGOU.(Iori)
Video Direction:KONGOU.(Morito)
Subtitles(Through the Looking-Glass, and What the Dhampir Found There.):KONGOU.(Kohei & Tsukasa)

今回は『金剛荘』(詳細:https://note.com/daily_kongou/n/na5f7866a8e44)の住人が全員参加する形での制作となりました。

音楽は空🐕。
歌詞は司🦉が全員の意見を聞きながら。
キャラクターのイラストは京治🦊。
ピクトグラムやイラスト以外の細かな色彩設定は伊織🐝。
動画の構成と編集は衛人🦁。
そして、ちょっと変わった演出の字幕は公平🐺が主導で司🦉が補助に。

金剛の作品はいつも、『内部コラボ』のような形で出来上がっています。
ここに明記されない住人たちも、味の表現や言葉選びに深く関わっています。

【制作のきっかけ】

2024年7月は下旬から持病の症状である『過眠期』にはいっていました。
毎度のことながら、周囲の方々には多大な迷惑をかけ、自身もなんだかとても苦しかった気がします。
(過眠期の記憶は詳細に残らないのです。)

2つの出来事を除いてあまり覚えていないのも相まって、どんなことをしでかしたのか、どれほどの時間が経ったのか、周りの方への負担、今が頑張りどきなのに、過去の経験からの恐怖、と数々の感情が押しよせ、いい目覚めとは言えませんでした。

同じような出来事で幾度も居場所を失った、という書き方は被害者的すぎますが、幾度も他者との関係性が壊れてきました。
当然です。
他者に負担をかけ、要らぬ心の波を残し、残るのは負債と後処理だけ。
『病気だからって何をしてもいいわけじゃない』のです。

普段、健常者(この表現はあまり好きではありませんが便宜上)のような振る舞いができてしまう疾病であることも、周囲の方々にとっても、自身にとっても質が悪い。

それを思って、もうずっと、物を作って出すこと、他者と積極的に関わる事を避けてきました。


僕たちに関わった人は、とても傷ついたんじゃないだろうか。

そんな折にある方と電話をした夜に、
公平🐺がポロッと『ダンピールみたいだね。』と言ったのです。

京治🦊と司🦉を除くみんなが『なんじゃそら?』and『なんのこと?』な状況だったわけですが、よくよく尋ねてみると、なるほど彼の得意分野である『怪異』の名前だったようでした。
(京治はアニメなどをよく見ること、司は興味の範囲が広いことで知っていたようです。)

公平🐺
『ダンピールは吸血鬼と人間のハーフで外見は普通の人間なんだよ。』
『それでも、吸血鬼でも人間でもない。』
『そして自分のルーツの一つである吸血鬼達を狩ることを生業にしていたらしい。』
『もちろん、細かい伝承は一つずついろいろ違うんだけどね。』
『彼らはどんな気持ちだったかとおもうと、今の僕たちみたいだったんじゃないかと思って。』

彼が暗に言おうとしていることが、金剛荘の住人たちには伝わりました。

京治🦊『いいテーマなんじゃない?』

この発言にみんなが同意をし、そこからは一瞬で時間が過ぎたように思います。

(ある程度の誇張があるにしても)気がついたら、MVが出来上がっていたという感覚が一番近いです。

鬱屈とした気持ちが、作品が出来上がるころには昇華していて、誰かに届けること、誰かに寄り添って応援できる作品を目指していました。

それにしては皮肉的な内容かもしれないけれど、『疲れちゃうんだよ』って日に聴いてほしいです。


以下、ネタバレを含みます。
考察をしたい方はブラウザバック


【MVの解説】

と、いうことで大変お待たせをいたしましたMVの解説です。

冒頭_語りのシーン

冒頭のシーンは『誰かに声をかけているかのように』始まります。
(darlingに関しては、実際にそういった関係性がない相手にも軽口を言うように使うことがあり、今回はそのパターンです。)

でもこのシーンの会話はとても違和感のあるものになっています。

彼は『君と話したいんだけどいい?』と言っているのに、相手は『もう気がついてるよね?』と返しています。

そんな返答をされているのに、かれはちゃんと『…まあね。』と答えています。

それに、この相手の発言『音楽に乗っていません』。
本当に会話なら、彼の声が聞こえている以上、
ほんの少しでも聞こえるはず。

…おかしいですね?

次の前奏シーンでは、彼はタイトルが消えてしまって焦っていますね。

でもその次のシーンではすぐに不敵な笑みを浮かべています。
彼はいつも、焦りや不安を咄嗟に隠し、『なんとかなった』を繰り返しているのかもしれません…。

一度、歌が始まると、彼は滔々と身の上話を展開していきます。
少し皮肉めいた言葉選びが多いですね。
どこからどこまでが彼の本音なのでしょうか?

彼は棺桶を忌避しているようですが、吸血鬼をルーツの一つに持つダンピールですから、棺桶に入ってもいいはずです。
むしろ、吸血鬼は日光に弱く、最悪の場合は絶命してしまうのですから、いかにダンピールの彼といえど、あれくらい遮光性がある物の中で休んだ方がいいんじゃないでしょうか。

それでも、棺桶を『嫌な物』として扱うのは、彼自身が自分のルーツや境遇に納得できていないからかもしれません。

あまつさえ、太陽の下に出ているようです。
無理が祟らないといいのですが….。

自分のことはそっちのけで他人のことにを心配しはじめました。
しかも、さっきまでずっと自分のことばかり話していたのに、思い出したかのように相手に話を振っています。
会話として、これはいけませんね…。

でも、簡単には相手の様子を尋ねられなかったのかな?
相手を慮って。
どんな質問が相手を傷つけるかわからないし…?

好意的に見ればそんなことも思い浮かびますね。

あ、でも、吸血鬼は『招かれないと相手の部屋に入れない』んでしたっけ。
『許可がなければ相手の範囲に入れない』とも考えられますね。

じゃあ、こんなコミュニケーションもしかたがないのかな?

一瞬、焦った表情を見せたかと思えば、先ほどまでとは一転、吹き出しが真っ黒に。
今の会話は彼の中で『失敗』だったのかもしれませんね…。

サビに入ると声の雰囲気がガラッと変わります。
自分のことを腐し、こちらには鋭い目を向けていきます。

なるほど、黒い字幕は彼の『腹の内』なのかもしれません。

サビが終わる頃には声の雰囲気も当初のものに近くなっていますね。
相変わらず吹き出しは黒いですが、ウインクまで決めています。
言いたいことを言って少し余裕が出たのかな…?

でも、なんだか動画の演出上もサビなのにあまり『変わり映えしませんね』?
もしかして『平静を装ってる』…?

おや、画面が急に反対色になりました。
そこにハートマーク、低い唸るような音。
なるほど、ここは彼の『胸の内』なんですね。

ハートが割れるたびに赤くなり、どんどんと大きくなっていきます。
これは苦しそうだ。

ハートの下の記載は音楽からも聞こえてくる『モールス信号』と….。

上は、なんだろう…?
心拍でもおかしくはない数値だけど、アルファベットも入る。
よくわからないな。

モールス信号の解読も手間だし、こんな風に表現されてもな…。

今の時代、もっと簡単な表現はたくさんあるし、それがもし『本当に大事なひと』から送られてきたものだとしても、読み手はちょっと『手間』ですよね。

酷だけど、現実的には。

あれ!?
さっき棺桶は嫌だといってたのに!
実際には使っていたようです。

歌ではまだ脈があること、まだ息があることを憂いているし、
案外、平静を装った彼の暮らしは理想とかけ離れているのかもしれません。

わ、今度は棺桶の色が違います。
でもこの棺桶の中の色、なんだかお空みたい。
綺麗だけど、どこか悲しい。

ちょっと皮肉を言うくらいには元気はあるのかな?

明るい世界でHighになるひとたちも、太陽の下で灰になれる正規の吸血鬼のことも、羨ましいみたいです。

なんだか、少し不穏ですね。

誰かを羨みながらも、その間には『普通』について思い悩んでいるようです。
根は真面目なのかな?

いつも通りにも見えるんだけど…。
なんだか、彼の中で危ういものが育っている気がします。

お!?
何か映り込みました。

よく見ると、これは、頭をかかえた彼…?

一糸纏わぬ姿です。
身支度を整えることを『繕う』なんて言ったりしますが。

あぁ、彼はもう『取り繕えない』のかもしれませんね。
『黒』も吹き出しの中でだけは済まなくなりました。

絞り出すような声の『お前らに何がわかる』だけが虚しく響いています。

しかし、思えば同じ歌詞が何度もリフレインされていましたね。
『僕の問題は全部 正常の範囲を逸脱しません』

でも、本来は『正常の範囲を逸脱しない』ことは悪いことではないです。
みんな、健康診断ならそこを目指すわけですし。

彼が深く傷ついた言葉であろうことはわかりますが、そこに『誰かの悪意』は存在しなかった可能性も高いことが、垣間見れますね。

おっと!
また、何か映り込みました。
これは、鏡…?

まずいですね。
吸血鬼たちにとって、鏡はキラーアイテムです。

人間らしい姿をした吸血鬼たちも鏡には映りません。
ですから、鏡を向けられると正体がばれて退治の対象になってしまいます。

でも、だとしたら、吸血鬼ってどうやって『自分の有り様を確認するんでしょうね』?

あ、でも彼はダンピールか。
じゃあ、少しくらいなら映るのかも…?

先ほどと変わらないサビが続きます。
とうに『取り繕えないほど』限界なのに、まだ平静を装っているようです。

粘りますね。
みてるこっちがちょっと『苦々しい』気分です。

君はもう、どうみたって平静じゃありません。

ぎゃあ!暴言が出ました!!
これはいけません。

ん?でも直後にさっきの鏡が映ってる。
自分が言った事が『跳ね返ってきてる』?

ということは、彼は少しくらいなら『自分のしていることが見えている』のかも。

曲調に変化がありましたね!

お、歌詞が"my"のところで鏡が見えます。
どうやら、予想は当たったみたいです。
彼は少しくらいなら鏡で自分を認識できているようですね。

でも、相変わらず皮肉的な歌詞のままですね。
ここまでくるとこの言葉の表現は彼の『性質』と捉えて良いかもしれません。

『君への手紙は一通もだしてない』って。
さっきからバリバリに電話しているじゃないですか。

ある意味、手紙より難易度が高いコミュニケーションだとおもうのですが…。

え!?
スマートフォンの表示番号が『117』!?

『117』って時報じゃないですか。
しかも、有料通話です。

今までの言葉は『誰にも届いていなかった』し『届けてすらいなかった』てこと?
お金まで払ってこんなこと…。

あれ?でもじゃあ、動画冒頭の会話で返答してきたのは一体だれ…?

わぁ!
リズムに乗りながら考え事に耽っていたら、すごい音がしました。
何かが壊れるみたいな音。

気がつけば画面には『弾丸に撃ち抜かれたような鏡』が表示されています。

なんだか不穏です。
彼は大丈夫なんでしょうか…。

おや、この動画、どうやら字幕があるようです。
動画内に歌詞は記載されていましたが…?

字幕を読んでみれば彼の内面や消息のことがなにかわかるかもしれません。
そして、なんだか、彼の大切な『裏側』が隠されてるような気がします。

【🪞<彼の裏側を見に行く?)】

YES  /  NO


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