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2022/11/20 東南アジアのモンスーン

学校の地理の授業でモンスーン(季節風)というのを聞いたことがあるだろうか。東南アジア付近を吹く、季節によって風向きが変わる現象のことで現象のことを言う。

東南アジアに住んでいると、日本の四季の移り変わりと同じくらいモンスーンの切り替わりに敏感であることがわかる。

海の流通を支えて東南アジアを豊かにしたモンスーン

シンガポールは現在でも空と海の流通の中心地として発展している。それもそのはず、マレー海峡の先端に位置するシンガポールは、西洋・アラブ・インド世界と東洋をつなぐ海運を一手に担ってきた経緯がある。

西側から運ばれてくる荷物や油は、安全のためにもインドネシアのスマトラ島とマレー半島の間に位置するマレー海峡を通って南シナ海へと進む。

東から運ばれてくる荷物は南シナ海を通り、マレー海峡を通って西側へと運ばれていく。

今のようにエンジン搭載の船がない頃は、風の力で船を動かしていた。そんな時に物流をコントロールしていたのが「風」だった。東南アジアにモンスーンが南西から吹き込むか、北東から吹き込むかで物流の向きが変わることになる。

そんな航路の寄稿地として便利なのがマレー半島やその先端のシンガポールだった。これにより、風向きで待機する必要のある世界中の富や物流が集まってくることとなった。

東南アジアに吹くモンスーンは2種類

1年の間に2種類のモンスーンが東南アジアには吹き込む。

5月から9月ごろまでは南西から風が吹き込み、これは南西モンスーンと呼ばれる。11月から翌年3月ごろまでは北東から風が吹き込み、これは北東モンスーンと呼ばれる。

オーストラリア方面から吹き込む南西モンスーンはマレーシアやシンガポールに乾季をもたらす。東南アジアの地図を見たときに左下(南西方向)から日本に向けて風が流れていくイメージだ。そんな時日本では太平洋高気圧が強くなり夏が訪れる。

逆にフィリピン沖から吹き込む北東モンスーンは太平洋の湿気をたっぷり吸ってマレーシアやシンガポールに雨季をもたらす。東南アジアの地図を見た時に、日本のある右上(北東方向)から風が流れ込むイメージだ。この時に日本では大陸で高気圧が発達し、冬将軍が日本列島を吹き抜けている。

東南アジアに吹き込む南西モンスーンは、空気が乾燥することが多く、インドネシアやマレーシアではヘイズと呼ばれる焼畑や森林火災による煙害が発生することが多い。健康被害を与えるヘイズは東南アジア諸国で大きな問題になる。

逆に北東モンスーンは大雨をもたらすため、嵐や大雨が洪水を発生させることが多い。無理な森林伐採や土地を切り開いて作る都市部で土砂崩れなどの災害も起きる。

モンスーンが体に及ぼす影響

南西モンスーンの時期の煙害ヘイズのせいで喘息を発症する人が多い。またヘイズがないとしても、工場や車などの排ガスが雨によって抑え込まれず、呼吸器系の疾患を発症する人が多くなる。ちなみにマレーシアでは喘息患者が比較的多いように感じる。

北東モンスーンの時期の大雨は湿気の高い状態をもたらすため、家の中や車でカビが発生しやすくなる。これによるアレルギー症状が強く出る人も多い。カビは舐めていてはいけない。肺に炎症を引き起こして最悪は命に関わる重大な疾患につながることもある。

熱帯雨林気候の東南アジアの国々で生活するには季節感を忘れないことがポイント

日本の四季に比べると、季節の移り変わりを感じにくい熱帯雨林気候の地域だが、常夏の中にもさまざまな季節の変化がある。その変化を意識して対策を行うことが、東南アジアで健康にノマド生活を続けるコツになると思う。

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