菌株と臨床検体の違い
皆さん、こんにちは!
@タミ です。
本日は、少し専門性の高いお話になりますが、菌株と臨床検体の違いについてお話していこうと思います。
就職して2か月、たくさんの方からご質問をいただく内容の1つです。
それでは、どうぞ!!
菌株とは
まずは、菌株について説明していきます。
菌株とは、病気の原因になる菌を培地で培養(増やした)ものです。
では、なぜ菌株を集めるのか?
最大の理由は、
サーベイランス が目的です。
サーベイランとは上記のような意味があります。
この菌株は病気の原因の菌自体を増やしているため、菌を分析するには持ってこいのものになります。
この菌株を調査・分析していくと、その菌のより細かな分類がわかるようになります。
ex:)胃腸炎なら、ノロウイルスかサポウイルスかロタウイルスか?
腸管出血性大腸菌感染症(EHEC)なら、O157のVT1の何型か?など
これがわかると何がいいの?と思う方もいると思います。
実は、これらがわかると、散発的な事例から原因を特定できたりするんです。
例をあげると、
名古屋で、腸管出血性大腸菌感染症(EHEC)のO157のVT1の〇型が集団的に出たというニュースが入ります。
その時、東京でも同じ型の腸管出血性大腸菌感染症が出ているとします。
この人たちの共通点を調べていくと、○○会社の○○弁当を食べていたことがわかりました。
それなら、その会社を調べてみよう。
みたいな感じで、一見関係なさそうな事例から共通の原因を特定することができるんです。
その他にも、菌株を集める理由として、
全国で、どの型(インフルエンザなど)流行っているかを集計して、
予防薬や対策を打ち出すなどの用途にも使われています。
菌株の収集はとても大切なんです!!
臨床検体とは
続いて、臨床検体についてお話していきます。
皆さんは、検便だったり、検査のために血液を抜かれたりといった経験があると思います。
簡単に言うと、その便や血液が臨床検体です。
臨床検体を収集する主な目的は、
その人が、その病気の病原菌を保有しているかのチェック です。
【胃腸炎】や【腸管出血性大腸菌感染症(EHEC)】になった方は、もしかすると検便などご経験があるかもしれません。
上記の感染症は、便の中に病気を引き起こす菌が排出されます。
人に移さないためには、この便の中から菌がいなくなる必要があります。
そのために、検便などを行って、その人が菌を保有しているかをチェックするというわけです。
コロナだと、鼻に綿棒を入れてぐりぐりされますよね。
それは、鼻腔ぬぐい液という臨床検体で、これもその人がコロナのウイルスを持っているかを確認するためです。
また、食品関係の従事者の方などは、良く定期検便などを実施されていると思います。
この定期検便は、仮に上記の感染症の菌を保有していても症状に出ない人もいます。
その人は、自分では菌を持っていることに気が付かず、会社内のトイレだったり、食品に触れて、大規模な集団発生を起こしてしまう危険があります。
そのため、定期的に検便をして、病原菌を持っていないかチェックをしているんです。
これが、臨床検体になります。
菌株と臨床検体の違い
では、臨床検体から菌株は取れないの?
と疑問に思われる方もいると思います。
正確には、臨床検体から菌株は取れます。
しかし、臨床検体(ここでは便を例に出します)は、
菌を保有しているかどうかを確認するのが主な目的でしたよね。
では、感染症になって薬を飲んで数日経過している人から便を取ったとします。
その人は、菌を100%持っていると言えるでしょうか?
もうすでに、身体から菌が排出されている可能性がありますよね。
ですから、臨床検体だと100%菌を保有しているとはいいがたいんです。
だから、菌株(原因の菌自体を増やしたもの)を臨床検体とは別で集めることが大切になります。
終わりに
皆さん、菌株と臨床検体の違いをご理解いただけたでしょうか?
少し、専門的なお話になりましたが、医療従事者の方などは、特に理解しておいた方が良いことなのかなと思っています。
僕自身も、初めてこの質問をされた時、全然答えられませんでした。
かなり解釈が難しいことですので、上手くお伝えできているかわかりませんが、僕なりに全力で解説させて頂きました。
ご質問等ありましたら、気軽にコメントしてください!
また、僕の解釈に誤りがある場合は、教えていただけると幸いです。
というわけで、本日も最後までお読みくださりありがとうございました!